小鉢ひろかの旬だより

NO.11 苦いのはお好きですか?ゴーヤーの苦味の活かし方

苦いと分かっているのに、食べたくなるゴーヤー。ビールとゴーヤーチャンプルーは夏の二大ご褒美に認定したいぐらいです。

ゴーヤーの特徴でもある苦味は、「毒に近い味」と本能的に危険な味として認識されています。そのため、甘味や塩味に比べて約千倍も感じられやすく、ちょっと苦いだけでも「うわっ」と敏感に感じる方も多いでしょう。

そんな苦味も大人になると急に好きになる方も多くいらっしゃいます。ビールやコーヒー、グレープフルーツ、ゴーヤーなど…。なぜ大人になると苦味が好きになるのでしょうか。これは、「苦いものは楽しい・健康的・安全だ」という良いイメージと共に重ねた経験が、苦味=食生活を豊かにする味として、苦いのがおいしい!という感覚に擦り変わるからだそうです。

つまり、苦味は経験による差が大きいので、好き・嫌いがあっていいのです。苦味が苦手な方は無理せず苦味を和らげる方法を。好きな方は苦味を生かす方法を。と、今回は皆さんの苦味好き度合いに合わせた下処理をお伝えします。

前置きが長くなってしまった、さぁ!今週の特集は「ゴーヤー」です。

苦味が苦手な場合はどうすればいい?

苦味は無理して食べなくてもいいですが、先に良い情報をお伝えしますね。良いイメージと共に重ねた経験が苦味を好きにさせるので^^

ゴーヤーの苦味成分は「モモルデシン」。抗酸化作用からか癌や老化予防、コレステロールの排出、胃粘膜を保護して食欲アップなどの効果が期待されます。その他、ゴーヤーにはビタミンC(抗酸化作用、老化防止、ストレス軽減)、カリウム(むくみ予防、トマトやきゅうりの5倍含有)などの栄養素が含まれます。

苦味を消すために長時間ゆでたり、何度もゆでこぼす調理法もありますが、そうすると水溶性のビタミンCやカリウムも流れてしまい、栄養価的には「それならきゅうりを食べた方がいいかも、、、」というほどに落ちてしまいます。

そこで、栄養素も守りながら、苦味を抑える方法を3つご紹介します。

①さっとゆでこぼし

グツグツ煮込まず、30秒程度ゆでたらすぐにお湯を捨てましょう。これをするだけでもかなり苦味は抑えられます。ゴーヤーのビタミンCは加熱しても壊れにくいので、長時間、何度もゆでこぼさなければ大丈夫です。

②塩もみ

薄くスライスして塩もみして置き、軽く絞るかサッと水で洗い流しましょう。私はいつもこの方法です。

③砂糖もみ

薄くスライスして、砂糖でもむ方法もあります。苦味に対して逆の味を加えると苦味が弱まる作戦です。生でサラダにしたいときなどに使われます。

下処理したゴーヤーを、電子レンジで1分加熱し、塩とごま油で和えたゴーヤーのナムルはいかがでしょうか。下処理で苦味を和らげる+油を絡めることで、舌で苦味が感じにくくなり食べやすくなりますよ。

 

苦味を生かすのは〇〇を足そう!

苦味が得意な方は、上記の下処理なしで、切ってすぐに料理をはじめましょう。苦味をしっかり感じることができます。苦味の好き・嫌いに合わせて下処理を進めた後は、より苦味をおいしく楽しむために旨味を合わせてみましょう。

ゴーヤーの代表料理「ゴーヤーチャンプルー」が多くの方に好かれる理由があります。それは、旨味の多い食材を組み合わせているから。ゴーヤーチャンプルーには、豚肉やカツオ節の「イノシン酸」という旨味がたっぷり。我慢して苦味を楽しむのではなく、おいしい苦味に変身させるには組み合わせが大事です。旨味と合わせ、苦味を楽しんでくださいね。

【うまみ一覧】
イノシン酸 かつお節、魚類
      鶏、豚、牛など肉類
グルタミン酸 しいたけ、マッシュルームなどのキノコ類、昆布、トマト、チーズ、ブロッコリー
グアニル酸 干し椎茸、海苔、ドライトマト

定番のゴーヤーの佃煮も、煮汁を煮詰めた最後にカツオ節の旨味を合わせるとグッと食べやすくなりますよ。カツオ節が煮汁を吸って調味料が絡みやすくなるのもポイントです。

こんな食べ方あり!?実はワタも食べられる

ワタをしっかりとった方が苦味が弱くなる、と言われたりしますが、実はワタには苦味はなく、栄養素もある食べられる部分です。中の種は未熟でやわらかいので、種ごと調理してOK。種はポリポリした食感です。

輪切りにしたゴーヤーを、カレー粉を混ぜた天ぷら粉で揚げると食べやすい夏のおつまみに!「ワタも種も食べられるなんて知りませんでした…!」と私のインスタグラムでは何人もの方が作レポを送ってくださり、プチ種わたブームが起きていました。食べたことがない方はぜひ試してみてくださいね。

夏の疲れにゴーヤーがおすすめな理由

苦味をもたらす成分には、ストレス解消に役立つはたらきがあります。今週は急に寒くなり、体もストレスを感じているでしょう。そんな時は、ゴーヤー料理で夏のストレスを解消しませんか。苦味があると、献立全体にメリハリがついて全体の満足度が上がっておすすめです。

ご紹介したゴーヤーのレシピはこちらにまとめています。ぜひご活用ください。

 

 

次回の特集は「つるむらさき」。食べたことない方、必見です!

また来週も、月曜朝6:00にお会いしましょう。

 

小鉢 ひろか 副菜料理家/管理栄養士

instagram: https://www.instagram.com/kobachi_hiroka/

☆今回特集したゴーヤーも入った、「まつのFresh!宅配」はこちらから!

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