小鉢ひろかの旬だより

NO.31 野菜が古くなったらどうなるの?スナップエンドウで解説!

料理家としてお仕事する中で、ずっと疑問だったことがあります。なんで、世の中のレシピは全て品質の良いものだけを扱っているのだろうと。

撮影前になると、全ての材料を新しく新調します。シナシナになったレタスは、撮影では使われません。

でも、

シナシナのレタスだって、まだ食べられる。

 

新鮮な野菜をお届けする会社様のコラムで、古くなったものを扱うのはきっと非常識でしょう。でも、鮮度を大切にする流通の会社様の場だからこそ「では劣化したらどうすればいいの?」という出口の観点もお伝えすることで、みなさんがもっと野菜が身近になれば嬉しいなと思います。今日のコラムは、新鮮ではない食材はどうしたらいいんだろう?というテーマでお伝えします!

スナップエンドウは「口を書くように」筋をとる

特集野菜はスナップエンドウ。エンドウ豆には、さやごと食べる「さやえんどう(絹さや、スナップエンドウなど)」と、さやの中の実を食べる「実えんどう(グリンピース)」があります。和風なイメージで日本の野菜のように見えますが、スナップエンドウはアメリカ生まれ。さやまで水分が豊富で、パキンと折れる意味からSnap(スナップ=パキンと折れる)という名前がつけられました。甘味もあり食べやすいので、ついついつまんでしまうという意味で「スナックエンドウ」とネーミングした種屋さんがいるほど、多くの方にとって食べやすい野菜なのではないでしょうか。

スナップエンドウは筋が強いので、筋取りをして食べていきます。一番スムーズに筋とりできる方法は、先端からスタートし、真っ直ぐな面を通って、帽子の部分をとり、カーブしていく部分を取る。漫画の口(^∇^)を書くように、真っ直ぐ→カーブです。(文章で伝えるのは難しいですね…!)どちらにせよ、両側の筋を取るのが大事です。

甘みのある野菜なので、シンプルに塩茹でするだけで十分おいしく食べられます。塩を入れた熱湯で2分ほど茹で、ザルにあげて冷まします。余熱でも火が入っていくので、少し硬めに茹でるのがおすすめです。パキンというスナップな歯応えをお楽しみください。

野菜が古くなるとどうなるの?

青果は食材の中でも珍しい特徴があります。それは、収穫した後も生き続けていること。根や茎から切り離されても、呼吸という活動を続けています。 呼吸をすると、貯蔵していたでんぷんを使うため、古くなった野菜は本来より甘みが少なくなっている可能性があります。調味料などで味を整えてあげれば、おいしく変身することが可能です。

古くなると栄養がないから食べても意味がない!と言われてしまうことがあるのですが、減る栄養素と、減らない栄養素があります。(詳しくは今後、私のnoteで解説していきます)残っている栄養素に着目すれば、まだ栄養素はしっかり残っています。

黄色く変色したり、味がなくなった!と感じたりするのは緑の成分「クロロフィル」の変化によるもの。ポジティブに書けば、緑くささが減って野菜が苦手な方には食べやすい。野菜独特の香りが減るので、他の香りやうま味で補うことがポイントです。

つまり、甘みうま味香りなど調整すれば古くなってもおいしい料理は作れます。古くなったら、料理すればいいんです。 改めて、料理ってすごいことだなと思います。

少し古くなってしまったスナップエンドウは、ゆでた後にみりん(甘み)と醤油で炒め、鰹節(うま味)をふりかけます。これは沖縄料理のチャンプルーの調理方法。暑さはどうしても劣化が早くなります。暑い沖縄で、おいしく食材を食べる知恵が詰まった食べ方です。

ゆでたスナップエンドウに、ケチャップ(うま味)とマヨネーズ(甘み)、ゆで卵を合わせて混ぜ合わせます。いつもなら塩ゆででおいしいスナップエンドウも、古くなってしまった時は調味料の力をかりれば、新たな顔を出すことが可能です。シャキシャキの食感に、ケチャマヨの甘酸っぱい味がよく絡みます。

野菜が劣化した先には、腐敗という食べてはいけない状態があります。だから、どれだけ古くなっても食べられるわけではありません。でも、ちょっと鮮度が落ちたぐらいなら「おいしくないから捨てよう」じゃなく「私がおいしく変身させよう」と考えることだって可能です。何より大切なことは、野菜だって頂いている命であると感じる心です。肉や魚のように、野菜だって生き物ですから大切に扱いたいものです。

でも結局、野菜は塩が一番!

古くなってしまったものを料理するようになると、新鮮なものに対してシンプルな調理で満足できるようになります。焼くだけ、切っただけ、ゆでただけ。「野菜の味」を感じる感性が育ちます。

私の一番最初のコラムでも、「同じきゅうりだって産地や季節、状態が変われば味も違う。だからレシピは地図でしかないから、素材をよく見てね」というお話をしました。新鮮な状態も、少し古くなってしまっても、食材をよく見ると答えが聞こえるようになります。そうやって、料理を楽しむ方が増えるといいなぁと狙っています。料理ってすごい!を、ぜひ体感してみてくださいね。

 

 

また次回の更新で、4/12(火)朝6:00にお会いしましょう。

小鉢 ひろか/社会問題を料理で解決する 料理コンサルタント
instagram: https://www.instagram.com/kobachi_hiroka/

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