小鉢ひろかの旬だより

NO.32 #捨てない料理チャレンジ、はじめます

ジワジワとした蒸し暑さを感じると、10年前の京都時代を思い出します。

静岡に生まれ、18歳から京都で料理を学びました。

私の専門は京料理です。

 

京料理の料理感は精進料理に通じます。その中でも、『典座教訓』(曹洞宗の道元禅師が修行僧の食事を作る心得を著したもの)の一節を大切に、日々仕事をしています。

縦い莆菜羹(ふさいこう)を作るの時も、嫌厭軽忽の心を生ずべからず。縦い頭乳羹(ずにゅうこう)を作るの時も、喜躍歓悦の心生ずべからず。

 

莆菜羹とは菜っ葉汁、頭乳羹は牛乳入りの上等な汁を表します。

例え、質素な菜っ葉汁を作るときも、嫌だなぁと粗末に思う心を持たず、例え、すごく貴重な牛乳入りの汁を作るときも、それを特別扱いしてはいけません。食材や料理に上等も粗末もないのだから、質素な食べ物も賎しんだり軽んじたりすることなく、上等な食材に対して自然と丁寧に扱うのと同じような心持ちで扱う必要がある。という内容です。

 

 

例え直売所で採れたてのとうもろこしが買えた時も、例え忙しさで冷蔵庫で寝かせてしまったシナシナのほうれん草と目があった時も。

 

食材の状態に心を左右されず、感謝の気持ちを込めて丁寧に、絶対捨てずに「おいしい」料理にすること。これが、私の使命であり、みなさんに届けたい一番の思いです。

 

1年間の感謝と、今後の挑戦について

ちょうど1年前に、こちらのコラムがスタートしました。まずは素材のことを知って欲しいと書き始めたコラムも、30回以上投稿させていただきました。まつの様には感謝の気持ちでいっぱいです。

 

料理が苦手な母を助けたくて料理人になりました。26歳、フィリピン留学先で米とケチャップしかない食卓に出会いました。

世界には食糧難で悩む人もいれば、捨てたくないのに食材を捨ててしまうことに困っている人もいます。例え食糧支援をしたとしても、食材を使いきれずに捨ててしまう苦悩は起こりうると感じています。限りある資源です。経済状況に左右されず、誰もが最後まで丁寧に食材をいただく料理を伝えたいと、わたしはいま「捨てない料理人」として活動しています。

 

料理はキッチンからできる社会貢献です。

 

限りある資源を循環させ、みんなに健康が届くよう捨てるを終わらせることに挑戦しています。

忙しくて、急な予定で、料理が苦手で。様々な理由で捨てたくないのに捨ててしまう瞬間はあると思います。でも、それも今日で終わりにしましょう。大丈夫です、どんな食材も捨てずに料理する方法があります。捨てずに料理することの象徴を、 #捨てない料理チャレンジ と名付けました。応援していただけたら心強いです。

https://note.com/kobachi_hiroka/n/n407801fb2a5e

 

私が作りたい世界は、100年先もおいしいが循環している未来です。そのために、日本の食卓から捨てるを終わらせたいです。中途半端に残った材料、古くなった食材もおいしくする料理の方程式を公開しています。捨てたくないけど捨ててしまう、そんな悩みがある方は是非一度覗いてみてください。

https://note.com/kobachi_hiroka/n/naf1b91815916

 

本日をもって、こちらのコラムは最後となります。まつの様の鮮度の良い野菜と共に、読んでくださっている皆さんお一人お一人のおかげで続けることができました。初回のテーマは「レシピに頼らず料理を広げる方法」でしたが、まさに今まとめている捨てない料理の方程式の根本となっている考え方です。1年前から私が伝えたかったのは、レシピではなく考え方だったのだなと感慨深くなりました。

長きにわたり、自由に書かせていただき本当にありがとうございました。心から感謝しています。

 

次の挑戦は、日本を変えたいという大きな目標です。SNSだけでなく、メディア、事業、様々なことに挑戦していきます。未熟な私ですが、皆さんの応援を力に変えて大きく羽ばたけるよう精進していきます。

こちらのコラムを通して、Instagramにメッセージを頂戴したこともあります。読んでくださった皆さんと繋がれて嬉しかったです。いつでもお気軽に、ご連絡ください。「言葉」はなにより心が強くなる力になります。

 

それでは、1年間ありがとうございました。

 

 

皆様の捨てる瞬間が、「食べたい」瞬間にかわりますように。

小鉢ひろか( https://aboutme.style/kobachi.hiroka/ )

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