小鉢ひろかの旬だより

NO.12 つるむらさきのような人になりたい!カッコいい、つるむらさきの魅力

最近、私は一流の変態になることを目指しています。

どうした小鉢さん、、、と一行目で驚かせたらごめんなさい。

私の目標は「全ての食卓に野菜を一皿増やす」こと。海外旅行中に感じた野菜の選択肢の少なさに衝撃を受け、「日本の副菜ぐらい野菜を身近にし、自分を大切にする人を増やしたい」という目標を持ちました。変態なほど追求し、頼れる野菜の変態になるべく、がんばります。

さて、今週の特集は「つるむらさき」

つるむらさきは花を咲かせます。花言葉は「頼りにします」。豊富な栄養素と、生命力の強さが特徴の、力強く美しい野菜です。使ったことがない!という方も多いので、今日は切り方など普段より丁寧に、つるむらさきの魅力をお伝えしていきます。

カッコイイつるむらさきの唯一の弱点

つるむらさきの旬は7〜10月。青菜が少ない夏に旬を迎えるので、貴重な夏の葉っぱ野菜(青菜)です。

沖縄の島野菜でもあり、沖縄では「ジュビン(ジービン)」と呼ばれます。暑さに加え、台風にも強く重宝されています。

つるむらさき

▲(写真はつるむらさき)

同じ夏の青菜で有名なのがモロヘイヤ。モロヘイヤは北アフリカが原産で、”クレオパトラも愛した 王様の野菜”と呼ばれる一方、つるむらさきは東南アジア原産、”インドのほうれん草“と呼ばれたりします。

どちらの野菜も、β-カロテン(ビタミンA)、ビタミンC、ビタミンEが豊富で、抗酸化作用が強く、紫外線からの回復に(美肌効果)、抗ガン作用、老化予防などの効果が期待できる栄養価の高い、夏の最強の野菜です。

モロヘイヤ

▲(写真はモロヘイヤ)

特につるむらさきは、ほうれん草に比べてカルシウムは3倍。アクも少ないので下茹でなしで料理ができる。青菜が少ない夏に出回る…など、絶対好かれる条件で旬を迎える勝ち組野菜です。

が、

そんなに人気がない。。。なぜでしょう。

実は、食べると感じる土臭さが好き嫌いを分けています(これが特徴でもあるのですが)。では、つるむらさきの特徴「土臭い味」を楽しむ方法を紐解いていきましょう!

まずは切り方を工夫する

つるむらさきは茎が太い野菜です。土臭い味に加え、そもそも固くて苦手な方も多く、味も入りにくいので切り方から工夫しましょう。

指ほど太い茎の場合、まずは葉と茎を分けます。

茎は斜めに薄切りに。こうするだけで火が通りやすく、繊維が断たれて味が染み込みやすくなります。

茎が小松菜ほど(7~8mm)の場合は、ザクザク切ってもOK。茎と葉に分け、茎からゆでて、葉はあと入れ。茎は2分、葉は柔らかいので1分未満を目安にしましょう。

アクのない野菜なので、直接炒めてもOKですが、茎が固いので必ず柔らかくなるまで加熱してくださいね。

ポジティブに、味を濃くしよう!

味を濃くすると聞くと「塩分が…」「野菜の味を損ねていいの?」と嫌悪感を抱かれるかもしれませんね。土臭さには、それをカバーする香り旨味を足す必要があります。調味料全体を増やすのではなく、この2つを意識して味を濃くしてみましょう!

定番のつるむらさきのおひたし。

茹でたつるむらさきを調味液につけるときは、ぜひ二度漬けを意識しましょう。日本料理ではこれを「地洗い」と言います。地=調味液のこと、ゆでた野菜は水っぽいので、一度調味液の中で洗い、絞って、新しい調味液に漬け込みます。これをするだけで劇的におひたしはおいしくなる!このときの調味液は、だしをしっかり効かせた薄味で。だしの旨味と野菜がマッチして、本当のおひたしのおいしさに気づきますよ。


ごはんも進む、つるむらさきの味噌炒め。

香りを足して土臭さをカバーするという意味で、こっくりした味噌やマヨネーズ、にんにくなどを効かすと俄然つるむらさきは食べやすくなります。黄金の味噌炒めは、味噌:みりん=2:1、先に野菜をごま油で炒めるとさらに香りが足されてコク深く仕上がります。

つるむらさきのような人に。

一度根づくと種を落として新しい芽を出すほど生命力が強く、台風の雨風にも負けずに育つつるむらさき。夏の葉野菜は暑さによる「溶け」が出やすい一方、艶やかな緑で凛として並べられ、葉野菜が高騰する時でも値段も一定。まさに頼りになる夏の野菜です。

かっこいい野菜ですね。

今後目標を尋ねられたら、野菜界のつるむらさきのような人にと言おうかな。なんて思うほど、魅力のある野菜です。ぜひ食べたことない方は、お試しください。夏しか食べられないので今だけです。

 

次回の特集は「冬瓜」。これまた渋い野菜が続きますね〜。

また来週も、月曜朝6:00にお会いしましょう。

 

小鉢 ひろか 副菜料理家/管理栄養士

instagram: https://www.instagram.com/kobachi_hiroka/

☆今回特集したつるむらさきも入った、「まつのFresh!宅配」はこちらから!

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