小鉢ひろかの旬だより

NO.19 捨てないためにできること。茨城県 四季菜くらぶ様の視察レポート

秋晴れの10月、茨城県結城郡の 農事組合法人四季菜くらぶ 様に見学に行かせていただきました。まつの様とは、玉レタス・キャベツ・リーフ類・ほうれん草・きゅうり・ニンジンなど多くの野菜のお取り扱いがあり、新入社員さんの研修先としてもお取り組みがあるそうです。

まつのと四季菜くらぶ様とのお取り組みについて

現場を知ることで言葉は磨かれます。きちんと畑や生産者の皆様とお話できる機会があるのは素晴らしいですね。

私も今回、畑を巡り農家の皆様とお話する機会を頂きました。どんな話をしたか、レポートしたいと思います。

食べられるのに出荷しない理由は?

今回私が見学させていただいた理由は、「産地ではどこまでを出荷するのか」考え方を知りたかったからです。2016年、私は青果店で「まだ食べられるのに明日は売れない(=廃棄になる)野菜」を料理に変える飲食店の立ち上げをしました。そのままではおいしくなくても、料理によって生き返る食材を何度も見ました。どうしたら食材の命を最後まで活用できるのか、料理人の私にできることはなんだろうという問いを生産者さんの声を聞いて考えたかったのです。

ふわふわのレタス。水分量、甘み、香り、食感も最高!

さて、レタスは通常外葉は出荷されません。外葉とは、緑の濃いレタスの外側の葉っぱですね。

繊維もキツく、苦味もあっておいしさが落ちる点や、農薬や土と触れ続けている衛生面など様々な理由でで、通常は農地で落とされて出荷されます。

わかりやすい写真がなかったので、これはお隣にあったキャベツの収穫後の畑。外側の葉っぱは残ったままですね。

正直、私はまだ食べられるのだから一緒に出荷したらいいのにと思っていました。でもこの外葉、一緒に出荷するとどうなるでしょう?

結局スーパーでお買い物をした後、家で捨てることが多いのではないでしょうか。(捨てていいよとスーパーにゴミ袋が置いてある場合もあります) 市場、小売店、工場でも、結局捨てられます。「ゴミ」になった時点で、処理するコストが必要です。お金だけでなく、焼却する場合、生ゴミは水分があって燃えにくいため、余計な燃料が必要になります。

つまり、ゴミになると余計な輸送や焼却により環境を圧迫するなど弊害が出る。そうしないためにはゴミにしないことが大切なのです。

そこで、産地では外葉はつけずに出荷する工夫をしています。畑で捨てられた葉はどうなるの?というと、そのまま土と混ぜて堆肥になったり!畑では外葉はゴミではないんです。

もし外葉がついているレタスを見つけたら、少し固くて苦味もありますが、加熱すればおいしく食べられます。家ではトマトの旨みや卵の甘みでレタスの苦味をカバーした「レタスとトマトの中華スープ」にするのがおすすめです。

まだ食べられる外葉も、場合によってはゴミになってしまいます。それそれの立場の工夫次第で、外葉をゴミにしない工夫は可能です。自分の手元に外葉があったら、どうすればゴミにせずに活用できるだろうかと、一度考えてみてくださいね。

「捨てない」より、1番大事なこと

食品ロスに注目が高まり、通常廃棄されるB品の活用や皮まで料理する、いわゆる「捨てない」活動が増えてきました。

これも大事な食材を大切にするアクションですが、本当に私たちがするべきことは

 

「旬の買い物をすること」です。

 

産地では、おいしい野菜を捨てざるを得ない瞬間があります。晴れが続いてたくさんできすぎてしまった(需要より供給が多くなった)時、台風など悪天候で痛む前に収穫した時…。自然の生き物を扱っているので、どうしても一定の出荷はできません。

そんな時、私たちができることは「買って、食べること」です。

たくさんレタスができても、1億人が今晩レタス料理を作ったら?遠くから輸入されたり、季節を超えて無理して作れたものを食べずとも、近くで取れた恵みをいただく人が増えれば、本当の食品ロスって防げるのではないでしょうか。

私、小鉢ひろかとしてできることは、料理をする人を増やすことだと感じました。食べたい時期、料理の方法、裏話を伝えることで、料理をする人が増えれば本当に無駄な廃棄は無くなります。使命感に燃える日になりました。

そしてもう1つ、私たち消費者がやるべきことがあります。

私たちはもっと食材に興味を持つべきです。

例えば、冬のブロッコリーは紫色になる時があります。寒さから身を守るためです。この紫はポリフェノール系色素のアントシアニン、がん予防効果が期待できる立派な栄養素です。しかし、紫のブロッコリーは「気持ち悪い」と思われ、なかなか売れません。取引さえしてもらえないこともあります。そうすると、種を操作して冬でも紫にならない品種が改良されることもあるんです。

見た目が違う、これだけで種が変わる。多様性が失われ、種が弱くなることもあります。

寒さから身を守る自己防衛反応がダメと判断されてしまう。とても人間都合だと思いませんか。

種を変えるのではなく、自分たちが変わりましょう。

そのためには、皆さんお一人お一人の力が必要です。

皆さんはもう、紫色のブロッコリーは健康的でおいしいと知れました。知ると選択肢が増えますね。そして、買って作る、行動に移す機会を増やして頂きたいです。これだけで、種は守られます。

料理って社会を変える物凄いパワーを持っています。自分だけがおいしければいい、おいしいだけの時代は終わりました。1日3回、食材を、他者を、社会を想う時間を持ってみてくださいね。

 

 

 

次回の更新からはまた野菜の特集です!

すっかり寒くなってきましたね、秋冬野菜がどんどんシーズンを迎えてきました。次回の更新も、どうぞお楽しみに。

 

小鉢 ひろか 社会派料理コンサルタント/管理栄養士
instagram: https://www.instagram.com/kobachi_hiroka/

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