小鉢ひろかの旬だより

No.7 乾燥輪切りもいいけれど、夏はフレッシュの唐辛子を使おう!

暑い国の料理はなぜ辛いものが多いのでしょう。

タイやインド、メキシコなど暑い国の代表料理を思い出すと、グリーンカレー、トムヤムクン、スパイスカレーにタコス。背筋にゾクっと電気が流れるような、辛く刺激的な料理を思い出しませんか。

暑い国で辛い料理が食べられる理由は主に2つ。

①辛さにより汗を出して、体を冷やすため

②食品の腐敗を防止するため

「辛い」は夏を生き延びるための天然のお薬のような働きがあるんです。

今週の特集は「唐辛子」。なかなかメインで使われることが少ないので、注目されにくい野菜ですが夏を生き抜く特効薬!?そのおいしさを冒険していきましょう!

「甘い」と「辛い」唐辛子の種類を知ろう!

唐辛子には少量で強い辛味を出すものと、実全体を丸ごと食べられる甘い唐辛子に分けられ、その種類は様々です。

<甘い唐辛子>

・ししとう ・伏見とうがらし ・万願寺とうがらし

<辛い唐辛子>

・鷹の爪 ・島とうがらし ・ハバネロ ・ハラペーニョ ・韓国唐辛子

唐辛子の辛さは種を支える白いワタの部分にあるので、辛味が気になる・お子様も一緒に食べたいというときは、種とワタを丁寧に取り除きましょう。

時々、ロシアンルーレットのように甘い唐辛子に辛いものが混じっていた経験ございませんか?BBQ、みんながおいしいと言って食べていたししとうが自分のだけ辛かった…など。(あるある)

甘い唐辛子でも、育つ過程で日光不足や水不足などの『ストレス』を受けると、品種改良で表に出なくなった辛み成分が、強く出て1本だけ辛い!といった野菜ができてしまうそうです。見た目では区別しにくいので、こればかりは最初にお伝えした「辛さは夏を乗り越える天然の特効薬!」と思って、おいしく食べましょう。

 

夏の唐辛子は主役で使おう!

隠し味程度に使われることの多い唐辛子ですが、旬でおいしくなった夏の唐辛子はぜひ主役で使ってみましょう!

ししとうがらしを10本使って、油淋鶏風の甘辛タレに!青臭い夏の香りと、時々当たるピリッとした辛みで食欲の出ない夏のおかずにぴったりです。小口切りにしたししとうと、みじん切りにした長ねぎに、おろしにんにく 少々、酢・しょうゆ 大さじ1、砂糖 小さじ2で混ぜたら完成!鶏肉や豚のしゃぶしゃぶ、そうめんのタレにもおすすめです。

ししとうや万願寺、伏見唐辛子などの甘い唐辛子ならたっぷりと、辛味の強い青唐辛子なら1本程度。乾燥唐辛子で作りがちなアヒージョも、夏はフレッシュ唐辛子で作ってみてはいかがでしょうか。たっぷりキノコ類とにんにく、塩、具材が半分浸かるまでのオリーブオイルを入れてグツグツ5分煮込むだけ!ビールにもよく合う1品です。

フレッシュ唐辛子は、ミネラルやビタミンもとれて香りも高い!輪切り乾燥の赤唐辛子も便利ですが、夏はぜひ乾物ではない唐辛子も楽しんでくださいね。

大きな万願寺とうがらし。私は京都で10年料理を勉強してきたので、京野菜である万願寺とうがらしは大好きで馴染み深い野菜の一つです。万願寺とうがらしは比較的ロシアンルーレット的な辛いものは少なく、「甘長ピーマン」と呼ばれるほど甘みと肉厚のある野菜です。

おすすめはにんにく、オリーブオイル、塩と少量の水と一緒に蒸し煮にすること。クタっとした万願寺とうがらしに、野菜の旨味の溶け出た煮汁をかけるだけで最高の前菜に。冷やしてもおいしいので、たっぷり作って夏の常備菜にどうぞ。

見飽きたな、と思う時が実はおいしい時期だったり

夏野菜のイメージが強い唐辛子類ですが、実はミネラルの含有量は夏より秋の方が2倍多く、ビタミンCも秋の方が多くなります。野菜にとって一番パワーが出たり、おいしく完熟する時期と、私たち食べ手が「おいしい」と思う時期は少しズレていたります。

それは植物も人間も、一緒に生きているから。

暑さが続くことで、野菜は完熟したり栄養がギュッと凝縮したりしますが、私たち身体も暑さから体を守るために野菜の完熟を待てず、”今この瞬間” に必要な栄養分を求めがちです。また、心を楽しませるために、野菜が完熟した頃には次の秋野菜に目が引かれることも多いですね。

野菜は出始めの時期を「走り」と言いますが、走りや旬の時だけでなく、ちょっと見飽きた時期もおいしい野菜はたくさん。時々戻るかたちでもいいので、長く、じっくり野菜のおいしさを楽しんでくださいね。

 

次回の特集は「枝豆」おいしい時期ど真ん中ですね!

また来週も、月曜朝6:00にお会いしましょう。

 

小鉢 ひろか 副菜料理家/管理栄養士

instagram: https://www.instagram.com/kobachi_hiroka/

☆今回特集した万願寺とうがらしも入った、「まつのFresh!宅配」はこちらから

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