ベジフルサポータージャーナル

山梨県11年以上の歳月が醸す漆黒の「BALSAMIC VINEGAR」

まつのベジフルサポーターレポート

山梨県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・フードツーリズムマイスターの村上由実です。

日本有数のぶどうの産地であり、国産ワイン発祥の地でもある山梨県。今回は半世紀以上山梨のぶどうに向き合っているワインビネガー専用メーカー「アサヤ食品株式会社」を訪ね、山梨県産ぶどうを絞るところから、一貫生産でワインビネガーとバルサミコ酢を造る過程を取材しました。
熟成ワインビネガー
原料となるぶどうは、地元の生産者様が丹精込めて育てたものの中から、形や色が悪く市場に出せない規格外品を使います。ぶどうの収穫量全国第1位(2017年産農林水産省統計)の山梨県ですが、その分規格外品が多く、廃棄されてしまうケースも少なくありません。大切な地域資源であるぶどうを無駄にしないこの取り組みは地域産業資源活用事業計画第26号(平成27年7月6日)として国から認定を受けています。

この日見せていただいたぶどうがこちら。
規格外品のぶどうたち
生食用のシャインマスカットやピオーネ、甲斐路、マスカット・ベリーA、ロザリオビアンコ、バイオレットキングなど。醸造用のピノノワールなどもあります。調味料として使うワインビネガーは、品種が多いほうが深みが出るそうです。

最初の過程は除梗(じょこう)。ぶどうを実と茎に分けます。
除梗
分けた実の部分から、果汁を搾ります。こちらが圧搾機。
搾汁
できるだけ圧力をかけずに搾ることで、味や風味を損なわないようにしています。
果汁たっぷり
搾りたて果汁を取って飲ませていただきました。
搾りたてぶどうジュース
様々なぶどうが混ざっているため、このような色合いですが、香りや味の深みは最高です!
贅沢な搾りたて
次に搾った果汁に酵母を加え、金属タンクでアルコール発酵を行ない、ワインもろみを醸造します。できたてのワインもろみがこちら。
ワインもろみ
フルーティーで飲みやすいヌーボーのような若いワインができています。このワインもろみに酢酸菌を加えて酢酸発酵させ、5年以上醸造するとワインビネガーが完成します。長期間熟成することで、酢の角が取れ、まろやかなコクが出るとのこと。
ワインビネガー
純国産のワインビネガーです。

今回、3種類のワインビネガーと輸入ものの飲み比べをしました。
ワインビネガー飲み比べ
巨峰やマスカット・ベリーAなどを原料とした「熟成ワインビネガー(赤)」は、柔らかい酸味と濃厚で深みのある味わいが特徴。一方甲州やシャインマスカットなどを原料にした「熟成ワインビネガー(白)」は、まろやかな酸味とコクのある味わいが特徴です。どちらも色と味が濃く、ツンとくる強い酸味が感じられません。これは多くの品種を使い、時間をかけて造られたからでしょう。

また「スウィートビネガー桃」は、ゆっくり煮詰めた県産桃果汁とワインビネガーを絶妙なバランスでブレンドした甘酸っぱいフルーツビネガー。ワインビネガーよりさらに酸味がまろやかになるので、酸味が苦手な方にもおすすめ。炭酸などで割ってドリンクとして飲むのも良いですね。

さて、ワインビネガーの完成までに5年以上の歳月がかかることが分かりましたが、バルサミコ酢ができあがるまでの工程においてはまだ中盤。

イタリアで作られる伝統的な「バルサミコ」と、一般的な「バルサミコ酢」の違いをご存知でしょうか。前者は「Tradizionale(トラディツォナーレ)」の文字の入った瓶に入ったもの。添加物の使用は一切認められておらず、産地や製造メーカー、樽の種類、瓶の形状などが細かく決められ、熟成期間や製法にも基準があり、厳しい審査をクリアしたものだけが世に出ることを許されます。
伝統的なバルサミコ
しかし、国内外で流通しているバルサミコ酢のほとんどは後者で、ぶどう果汁とワインビネガーをブレンドして木樽で熟成させるもの。ぶどうや樽の種類、添加物の有無、熟成年数などに決まりはありません。そのため、品質や価格の差が大きくなります。

こちらで使われているバルサミコ酢専用の木樽は樫・桜・栗・桑・アカシア・トネリコ・ジュニパーの7種類。圧力をかけず果実自体の重さで自然に搾った極上のぶどう果汁を丁寧に煮詰めた「モストコット」と自社製熟成ワインビネガーをブレンドし、7種類の木樽に入れて熟成させます。
7種類の樽
今回特別に樽を開けていただき、熟成中のバルサミコ酢とご対面!
熟成中のバルサミコ酢
少量でも、ふわっと立ちのぼるかぐわしい香り。
熟成中のバルサミコ酢
熟成期間は6年。7つの木樽でそれぞれで熟成したバルサミコ酢をブレンドし、やっと完成したのがこちらの「BALSAMIC VINEGAR」です。
無添加の純国産バルサミコ酢
ワインビネガーがつくられる期間を含めると最低でも11年の歳月がかかります。「1本に20キロのぶどうを凝縮しています」と社長の杉山弘子さん。カラメルなどの添加物を一切加えない無添加純国産バルサミコ酢は、毎年1,000本限定です。全ての瓶に記されたシリアルナンバーは弘子さんが全て丁寧に手書きしています。せっかくなので私も1本購入しました!
社長と私
実はバルサミコ酢の試作を始めた当時薬剤師だった弘子さん。患者と接する中でワインビネガーの健康効果について考えるようになり、肥満や糖尿病の予防効果、整腸作用、抗酸化作用など、病気になる前の予防の段階で多くの効果が期待できることに気が付いたそうです。

そして、当時社長だったお父様の雨宮高明会長から会社を引き継ぐことを決意し、2011年に代表取締役社長に就任。親子2代の夢が詰まったバルサミコ酢は2016年から販売が始まり、次回の発売は2018年11月22日。今年も1,000本限定です。20キロものぶどうの美味しさを凝縮した漆黒のソース、堪能してみませんか。

山梨県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・フードツーリズムマイスターの村上由実でした。

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