和歌山県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・発酵食スペシャリストの阪口理紗です。
毎年、寒い冬になるとご家庭で味噌作りをされる方も多いのではないでしょうか?私も毎年この時期に1年間分の味噌を仕込んでいます。1月から2月にかけての寒い時期に仕込みを行うことを「寒仕込み」といい、この「寒仕込み」の味噌が一番美味しいと言われています。
それは、冬から春にかけて気温が低くてじっくり発酵が進み、雑菌も繁殖しにくく、夏になると気温が高くなって一気に発酵が進みます。さらに秋になると気温が下がり発酵も収まって香りが深まり…と、四季の移り変わりや温度変化によって美味しい味噌ができあがります。
この味噌作りに欠かせないもの、いや、味噌を含めた日本の伝統発酵調味料である醤油、味醂、酢、そして日本酒にも欠かせないもの、それが「麹菌」。この「麹菌」を蒸した米や麦、豆に繁殖させたものが「米麹・麦麹・豆麹」として使われます。
今回は和歌山市唯一の麹屋の麹屋 久保味噌本舗を取材してきました。こちらが四代目の久保公一社長です。
1926年創業の「麹屋 久保味噌本舗」は、昔ながらの製法や道具をそのまま生かし米麹や麦麹、米味噌、麦味噌、金山寺味噌などを製造。
こちらはできあがったばかりの米麹と金山寺味噌用の麹です。
原材料は全て国産の素材を使用し、米麹は国産うるち米(新潟、富山、秋田、兵庫、和歌山などのこしひかり、あきたこまち、きぬひかりなどの1、2等米)を自家精米しています。また、麦味噌や合わせ味噌に使われる麦麹においても国産(香川、愛媛、岡山などのいちばんぼし)を使用して製麹しています。
こちらは大豆の粒が見えますが、金山寺味噌用の麹です。
夏の金山寺味噌は全て和歌山県産の茄子や瓜、大葉や紫蘇などと混ぜて漬け込みます。ちょうど瓜や茄子を塩漬けしていました。
常にお客様に新鮮で品質の良い新鮮な麹を一年中提供するため、麹の供給を調整し、必要に応じてその日に自家精米し、すぐに洗米・浸漬するこだわりです。また、精米機・釜で蒸す・煮る(圧力釜不使用)・味噌擂り漉し機など製造工程で機械を使用する以外は全て手作業で行われ、創業当初の昔ながらのやり方を継承しています。
麹の品質にこだわり、より新鮮で力強い生糀を提供するため、1日目は国産うるち米を精米→洗米→浸漬し、2日目は水切り→蒸し→放冷→麹菌で種付け→麹室へ。3日目は手を入れながら盛り込み培養→麹蓋へ盛り込み培養。4日目は品質を確認し、麹室から出して完成。4日間にもわたる作業を職人たちが丁寧に行なっています。
店舗では蔵出しの味噌や金山寺味噌の量り売りを行なっています。
和歌山は醤油や金山寺味噌発祥の地で、麹屋も多くありましたが今では少なくなりました。伝統を受け継ぎ、長寿国日本の食の要である発酵食品(味噌、醤油、日本酒、焼酎等)の原材料の【麹】をこれからも古き良き時代の中に残していけるよう、私も「食べて」応援、発酵食スペシャリストとして「伝えて」応援していきたいと思います。
和歌山県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・発酵食スペシャリストの阪口理紗でした。