ベジフルサポータージャーナル

青森県百年後の子供たちへ伝えたい伝統野菜「南部太ねぎ」

伝統野菜・食文化

青森県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、ベジフルビューティーアドバイザーの欠畑(かけはた)睦子です。

紅葉が美しい晩秋の青森県三戸郡南部町から伝統野菜の「南部太ねぎ」を紹介します。

今回は標高615mの名久井岳の麓、馬渕川沿いにある沼畑総合ファームの沼畑俊吉さんのハウスを訪ねました。


「南部太ねぎ」は1918年地元農家の工藤幸五郎さんと留目忠男さんにより長年研究され1955年後半、農林水産省に品種登録されました。その名の通り、とても太く加熱するととても甘いのが特徴です。大きなものでは白根の太さが4センチもあり長さは1メートルを超えるまでに成長します。

緑の葉の部分が長くて大きいため太陽の光をたくさん吸収し、秋口の寒暖差も加わり、より甘く柔らかくなり丸ごと食べられます。一般的なねぎの糖度は4~6度ですが、南部太ねぎは7~8度あるといわれ、糖分が蜜となって葉からあふれ出すほどです。

舐めてみると少し粘りがあり、ねぎとは思えません!まるで水あめのように甘くさっぱりとしていて、これにはとても驚きました。手に塗るとすべすべして保湿力もあるとか。新しい可能性をも感じますね。

沼畑さんはりんごや梨(ゼネラル・レクラーク)などの果樹農家で育ちました。上京後Uターン、28歳で就農し、現在は養鶏を行いながら、ぶどう(シャインマスカット)とトマトを栽培。そして5年程前からこの南部太ねぎの生産を始め、ハウス3棟で8000本ほど出荷しています。

在来種のため形質が不安定で病気にも弱く、深く植えられたねぎは葉が柔らかいため収穫は慎重にと全てが手作業。伝統野菜の栽培はとても手間がかかかるそうですが、「命をつくる尊い職業です」と話してくれました。

5月に播種、6~7月に定植しますが、分岐しやすい品種の太ねぎは土寄せ時に分岐部分に土が被ると病気になりやすいことから、白マルチの上からあらかじめ40センチほどの深さの穴を掘り、土寄せをしなくてもいい「竪穴法」で育てます。1畝6~7本、熱がこもらないよう間隔を空けて一本一本手作業で定植、しっかり除草管理をします。白マルチの土中にはパイプが通っており、水と液肥が施されています。

実は、この不安定な形質で病気に弱く全てが手作業という、栽培の難しい手間のかかる在来種「南部太ねぎ」は絶滅の危機にありました。それを救ったのが、地元南部町にある名久井農業高校伝統野菜班の生徒たちでした。町内にただ一人残っていた栽培者から種を譲り受け、当時3人の生産者と試行錯誤を繰り返し2014年に初出荷出来たのです。そのプロジェクトは現在、NPO法人青森なんぶの達者村と沼畑さんを含め6名ほどの若手生産者を巻き込み、生産技術の確立と販路拡大を目指して、産地化・ブランド化に取り組んでいます。

そんな名久井農業高等学校の三浦正志先生からお誘いをいただき、文化祭へ足を運びました。


45坪のハウスで栽培している「南部太ねぎ」。生徒たちは土をかけないよう注意しながら、大切に収穫し、袋詰めしていました。


今年は新たに遮光シートを使っての栽培を試しました。交雑しないよう生産性をも考えた新しい取り組みは、今後さらなる生産面積の増加を願ってのこと。

「焼いて食べるのが一番おすすめですよ!」と生徒たちが試食販売する中、「粘りがあって甘くておいしい!」と午前の分は完売でした。

実は南部町には毎月22日、ふう~ふ~(22)といいながら鍋を囲み笑顔と健康を願う「鍋条例」というものがあります。「鍋と言えば南部太ねぎ!」と、これからの寒い季節の学校給食でも郷土料理の「ひっつみ」などで、子供たちに喜ばれているそうです。

ねぎは古くから薬効成分のある野菜と言われ、薬味や臭い消しに使われてきました。ビタミンCやカロテン、カルシウムが豊富で、香り成分の硫化アリルは血行促進作用が期待できます。熱を加えると甘みが増すのでお味噌汁はもちろん、シンプルに焼いて塩をかけたり、きんぴらや天ぷら、酢味噌和えも定番です。

沼畑さんおすすめはコロッケ。長芋とねぎの白い部分を使ってクリーム仕立てに。ジャガイモと葉の一口コロッケも作りました。

1センチの輪切りにし軽く塩をふりかけレンジで加熱。そのままお浸しでもいいですが、バルサミコ酢(白)とビネガー、オリーブオイルで簡単マリネにも。冷やしてどうぞ!

高校生の思いが若手生産者に受け継がれ町を巻き込み「100年後の子供たちが食べているねぎに!」を合言葉に、子供たちの体験学習の場を提供したり、美味しさと種を次世代へ残していきたいという沼畑さんたちが手堀りされた「南部太ねぎ」。厳しい出荷基準をクリアして、12月初旬まで順次出荷されます。

青森県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、ベジフルビューティーアドバイザーの欠畑睦子でした。

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