北海道のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエの福島陽子です。
昼と夜の寒暖差に秋を感じる季節となりました。北海道では収穫も終盤の9月末、江別市篠津「芝木農園」を訪ねました。早春のアスパラガスから始まる生産で市内のスーパーや直売所に積極的に供給。雪が降るまで地元の食卓を支え続けるこちらの農園から、レポートをお伝えします。
取材した時期はお米の収穫シーズン。家族経営の芝木農園では、お父様がコンバインを乗りこなし、黄金色の稲を丁寧に刈り取っていました。石狩川流域にひろがる江別市は自然環境にも恵まれ、稲作、畑作、酪農、施設園芸など多彩な農業を展開しています。芝木農園がある篠津地区も屯田兵により開墾された地域だそうです。
芝木農園は約6hの畑、12棟のハウスで農業を営んでいます。有機質肥料を使用して健康な土作りを行ったり、農薬の使用回数を極力減らすなどしてこだわりの野菜作りをしています。
主力のアスパラガスは、5月から8月まで長期的に出荷されています。ほかにもトマト、ピーマン、きゅうり、ズッキーニ、レタス、サニーレタス、フリルレタス、パプリカ赤・黄、ナス、ブロッコリー、とうもろこし、大根など、少量多品目で美味しい野菜を栽培されています。
篠津の産直市場をよく利用する私ですが、今年は5月のアスパラガスからはじまりズッキーニ、じゃがいも、レタスなど芝木さんの作る野菜を楽しませて頂きました。どれも濃く旨みのある野菜本来の味。力強い石狩平野の元気をいただきました。
芝木農園の芝木達也さん、芝木玲奈さんご夫婦にお話を伺いました。毎日、野菜の成長に向き合いながら農業をされています。消費者の思いを大切に、地域の食卓を支えている芝木農園。有機JASなどの認証は受けていませんが、飲食店や八百屋とのつながりを持つことで信頼を得て、生産物の安全性などについても説明しやすい環境が出来ているそうです。
これからの季節におすすめの野菜はレタス。この秋は沢山のレタスが仕上がっており、色も味も良く美味しいので、ぜひ食べてみてほしいとのこと。外葉の枯れもなく綺麗です。1日100玉ほど収穫し、鮮度やお客様のことを考え、多少手間はかかりますが自分たちで袋詰めされます。
1列に250株も並ぶ露地栽培レタス畑は壮観でした。美味しいレタスは歯触りがやわらかく、シャキシャキしています。芝木農園では5月末位から11月頭まで毎日切らさないようにレタスを作っていますが、雨や乾燥などその月々によって味や色が全然違うそうです。
この時期には稲穂が揺れ、壮観なレタス畑やブロッコリー畑が広がる芝木農園ですが、年間の主力品目は、アスパラガス。
成長した茎の根元に、馴染みのあるアスパラガスの姿を発見しました。
今期の収穫を終え、来年のため養分を蓄えながら成長する秋のアスパラガスは、ふさふさの擬葉と沢山の赤い実を付けているものもありました。アスパラガスはメスとオスがあり、メスは赤い実をつけ、オスは花をつけたものも。今年の収穫は終了しましたが、来年春のアスパラガスの時期にまた農園を訪れたいと思います。
少量多品目でシーズン中は野菜を切らさず栽培されている芝木さんは、育苗もほとんど自分たちでしています。雨続きで種をまくのが遅れると栽培時期が遅れ、収穫もずれ込む、という厳しい条件。今年は夏場の天候不良で成長が遅く、農産物には厳しいシーズンだったところに9月初め、台風の被害を受け、翌日には大きな地震。被災した地域も少なくありませんでした。
この台風は全道に大きな被害をもたらしました。芝木農園でもズッキーニやピーマン、ナス、トマトのハウスの一部の骨組みが崩れたり、ビニールが剥がれる被害がありました。
今年の北海道農業は、心配事の多い1年でした。それでも生産者さんは日々、野菜を育てながら地域の食卓を支えています。「あと2か月、無駄なく野菜が採れるように頑張ります!」と仕事する芝木さんご夫婦の笑顔と出会い、私たち消費者も北海道野菜を楽しもうと思いました。2か月後にはこの畑も雪の下になっています。
こちらは大きな台風被害を免れたハウスで、今年最後のトマトのハウス。この後の時期には、暖房を入れて育てるそうです。
芝木農園の野菜は、野幌ゆめちからテラス「のっぽろ野菜直売所」、「野菜の駅ふれあいファームしのつ」、コープさっぽろ各店「ご近所やさい」コーナーなど、江別市近郊で購入することが出来ます。
また札幌を中心に厳選したお肉を提供する「焼肉徳寿」全店では、芝木農園の野菜を使用しています。徳寿野幌店、福住店2店舗では、芝木農園でその時期採れるおすすめ野菜を使用したサラダバーも実施されています。
芝木さんのフリルレタスで「レタスとキヌアのサラダ」を作りました。シャキシャキのフリルレタスを、必須脂肪酸がバランスよく摂れるヘンプシードオイルのドレッシングで和え、美味しく頂きましたよ。皆さんも芝木農園さんの元気な野菜を見つけたら、ぜひ食べてみて下さいね。
北海道のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエの福島陽子でした。