青森県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、ベジフルビューティーアドバイザーの欠畑(かけはた)睦子です。
スーパーの店頭でお目にかかるにはまだ少し早く、でもショートケーキのトッピングに欠かせないイチゴ。今は年間を通して消費され需要の高い果物の一つで、近年はオリジナルの新品種が次々と開発されています。そこで今回はあまり知られていない「夏秋イチゴ」を紹介します。
青森県下北郡東通村の「ドリームファーム下北」代表で下北夏秋苺出荷組合の村田睦夫組合長のイチゴハウスを訪ねました。
下北半島の北東部に位置する東通村は太平洋と津軽海峡に面したエネルギー産業と漁業が盛んな場所。平坦ながらも標高の低い山が点在しているここは、やませ常襲地帯で夏場の気温は20度前後と冷涼なため、暑さに弱いとされるイチゴの生産に適しています。
夏秋イチゴといえば北海道が有名ですが、魚市場のセリをしていた村田さん、夏季冷涼な気候にあって日照時間が長く夏秋期の需要が見込めるイチゴに魅せられ、北海道北見で3年間の学びを経て、13年程前から生産に取り組みはじめました。現在は100坪のハウスが25棟にまで増え、下北夏秋苺組合では18名70棟ものハウスで生産、青森のイチゴとして広く知られるまでになりました。
主力品種は四季成りで赤くふっくらとした球円錐形が特徴の「すずあかね」と「赤い妖精」です。収量性が高くて病気にも強く、栽培管理がしやすいといわれています。製菓店や大手飲食店など、主に業務用として6月から11月まで出荷されます。
この日の気温は21度。ハウスに入ると地温の上昇を抑える白いマルチとその足場にもネットが敷きつめられています。雑草の発生防止と泥の跳ねあがり、害虫防止のためと、厳しく衛生管理に努めています。
苗は北海道旭川、札幌から購入し春と秋の2回定植します。8時間の長日とハウス内温度を常に20度に保つよう、ソーラー発電で自動開閉管理されています。イチゴの果実成熟は単に温度変化だけではなく積算温度が関係しています。夏場40日で600度になるよう調整し、うまみ成分を充分に蓄積させ、色と甘みをのせ酸味とのバランスを整えて収穫します。
気候や経済情勢により変わる価格の変動への対応にはとても苦労されたそうですが、現在はほとんどが契約栽培でクリアになりました。取引きでは常にwin-winになるよう契約者との信頼関係を築き何より大切にしているそうです。
収穫したイチゴはすぐに冷蔵庫に入れられ、順番に一個一個手作業で選別、出荷されます。この作業はとても手間がかかります。
酸味が強いイメージの夏秋いちごですが、この「赤い妖精」は大きく、酸味と甘さのバランスが絶妙で、果形も光沢も申し分ありません。切ってみると中まで真っ赤です。
果皮がピンと張っているため貯蔵性と輸送性にも優れており、日持ちが良いのが特徴で、業務用として高い評価を受けています。また、下北夏秋イチゴの生産拡大に向け、新規就農者への研修指導にも力を入れており今後が楽しみです。
今回いただいたイチゴは潰して手作りの甘酒に加え、フルーティーにしてみました。ほんのりとした酸味と甘い香りは一日の始まりにぴったりです。
しかし、国産の夏秋イチゴは生産量が少なく高価なため、一般消費者はなかなか手に入れられません。そこで、貴重な下北イチゴを使ってジャムを作っているむつ市奥内の「チャーリーズジャム」へ。
自家栽培のラズベリーの収穫からジャム作りが始まり、冬は青森県産のりんごなどの季節の食材を使ってジャムを手作りしています。
チャーリーズジャム
http://www.Charlies-jam.jp/
夏秋イチゴブレンドは、それぞれラズベリーとすぐりの2種があり、早速チーズにのせていただきました。ほどよい甘さとチーズのクリーミーさがお酒やお茶にぴったりです。
今だけの国産夏秋イチゴ、ぜひ探して食べてみてくださいね。
青森県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、ベジフルビューティーアドバイザーの欠畑睦子でした。