北海道のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエの福島陽子です。
北海道では10月中に初雪が降り、これから訪れる真冬の景色を少し憂鬱に感じる道産子も多いのではないでしょうか。今日は、そんな季節を楽しみながら頂きたい北海道余市産の初雪りんごをご紹介致します。
11月上旬、北海道余市にある「ファーム月うさ」の果樹農場へ伺いました。余市は明治初期から果樹の栽培が試みられた結果、果実の農業産出額が全道一(※平成27年市町村別農業産出額(推移) 農林水産省)を誇るフルーツ栽培のさかんな町です。
取材させていただいたのはファーム月うさのご主人、木戸英人さん。プロのカメラマンでもある木戸さんにお話を伺いました。ファーム月うさは米ぬかをはじめとする有機肥料を使用し、出来る限り農薬に頼らない減農薬栽培を行っています。ベリー類の果樹園と加工場のある赤井川村の農場のほか、今日ご紹介する余市の農場は、樹齢25年を超える味の良いさくらんぼ、そして初雪りんごなどを栽培されています。
初雪りんごの糖度は16度。初雪が降る10月下旬頃まで収穫せず、寒気にあてることで糖度を極限まで上げた樹上完熟のりんごです。厳しい自然環境を利用し、りんごの持つ生命力を引き出します。
初雪りんごの品種は昴林。枝を揺らすようにたわわに実っているりんごの樹を見ると、幸せな気持ちになりますね。
美味しさを見るポイントは、りんごのおしり。ここが真っ赤なものや、黄色いものが完熟のサインです!
気温10度前後の寒空の下、初雪りんごの収穫を行う木戸さん。この季節になるといつ大雪になるかわからないため、周りの農家さんは既に収穫を終えています。完熟したりんごは軟らかいため、収穫や運搬にも気を遣います。
こちらの農場の地形も、りんごにとって好条件です。余市のシンボルにもなっているシリパ岬(アイヌ語でsir=山pa=頭の意味)、そして石狩湾を望む陽当たり抜群の丘にあります。まるでヨーロッパの田園風景を彷彿とさせる美しい風景でした。
やや小ぶりですが、絵本から飛び出してきたような愛らしい初雪りんご。
農業を初めて6年目という木戸さん。こちらの畑を譲ってもらった当初は、無農薬でりんごを育ててみましたが、虫は入り、樹は枯れ、りんごは全然生らなかったそうです。そこから試行錯誤し、虫などを見極めながら農薬の希釈を最大限に薄くしたり、散布量を減らしたりして、減農薬を行っているそうです。「ぴかぴかの芸術品みたいなりんごありますよね。そういうりんごは目指していないんです。形や汚れはあって見た目はよくないかもしれませんが、安心して食べられる美味しいりんごを目指しています。」
取材のあと選果場へ戻ると、収穫したばかりの初雪りんごをカットして下さった素敵な木戸さんの奥様。写真は奥様による選果の様子です。
昴林は雨などの影響でツルの元に亀裂が入る「ツル割れ」しやすい品種とのこと。実はツル割れをするものは完熟している状態で、とても美味しいのだそうです。
お土産に初雪りんごを沢山頂きましたので、輪切りにしてみたり、カット方法を変えて味と食感を楽しみました。口の中に広がる甘さと瑞々しさが抜群でした。
そのままで美味しいりんごですが、「さつまいもと初雪りんごのカラメル煮」も作ってみました。部屋中に広がるりんごのいい香りと、さつまいもとレーズンとの組み合わせに幸せな気分になりました。
厳しい自然環境のなか、樹上完熟で糖度を上げた木戸さんの初雪りんご。札幌市の宮の森にあるフーズバラエティすぎはらで販売されています。季節ものなので売り切れてしまう場合もありますが、すぎはらさんにはファーム月うさの自家製ジャムなど加工品もございますので、ぜひ手に取ってみて下さい。
道外からご購入をご希望される皆様は、下記のお問合せフォームからご連絡頂けると幸いです。
北海道のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ 福島陽子でした。