ベジフルサポータージャーナル

長野県天然醸造の信州味噌~味噌造りに込めた職人の想い~

まつのベジフルサポーターレポート

長野県まつのベシフルサポーター 野菜ソムリエプロ ジュエルフルーツクリエイターの戸谷澄子です。

味噌といえば信州味噌。ここ信州ではもちろん、毎日の食卓でおなじみの方も多いのでは?今回私は、長野県岡谷市にある「松亀味噌株式会社」を訪ねました。

松亀味噌株式会社は、創業1933年(昭和8年)。味噌を造り続けて85年になります。

先月行われた全国味噌鑑評会で、マツカメみそ「天然醸造 赤粒」が「農林水産大臣賞」に選ばれました。なんと昨年から2年連続での受賞です!

こちらは取締役工場長の木下吉信さん。天然醸造の味噌造りのこだわりや、岡谷の味噌作りのルーツについていろいろとお話をお聞きしました。

岡谷、諏訪の地域には味噌蔵が多く信州味噌の本場でもあります。味噌蔵が多いのは、適した気候であったことはもちろんですが、「シルクのまち岡谷」と関連があるとのこと。岡谷市は明治から昭和初期にかけて日本の主要産業であった製糸業が盛んな町でした。その産業を支えたのは、県内外から集まった大勢の女性たちでした。

少し昔の映画になりますが、「あゝ野麦峠」でもおなじみですよね。製糸工場に集まった多くの女工さんたちの食事のために、製糸業の傍ら、味噌も仕込むようになりました。腕の良い女工さんを集めるためにと、それぞれの工場がおいしい味噌造りに励んだそうです。

ところが、昭和初期になると、世界恐慌や化学繊維の発明などで製糸業は衰退し、多くの製糸工場は操業が困難となり、やがて作っていた味噌を販売するようになったそうです。岡谷の気候や水のおいしさ、そして製糸業から続くものづくりの技術の高さで、その味噌の美味しさが評判となり、信州味噌として広く愛されるようになりました。

(写真提供:松亀味噌株式会社)

味噌は材料(米・麦・豆)や、色(白・赤など)の違いで分類され、それぞれ種類があります。信州味噌は、大豆、米麹、塩で作る米味噌で、塩分は12%と少し辛めの味噌です。味噌の製造は、大きく分けて、米に麹菌をかけて麹をつくる「製麹(せいきく)工程」と、蒸した大豆に麹と塩を合わせて熟成させる「熟成工程」の2つがあります。

工場内を案内していただきました。まずは麹をつくる【製麹工程】です。

米を洗い、水に浸し、蒸します。米は会津の米を中心に、東北3県から取り寄せているそうです。

蒸された米は38度まで冷却され

麹菌が種付けされます。

種付けされてから約48時間発酵させ、麹が作られます。良い麹をつくるためには水分管理がとても重要だそう。室内は麹の発酵が進んでいて酸欠状態。ドアを開けて写真を撮らせていただきましたが、酸素が少ないので中に入るのは危険です。

麹ができあがりました。ここでは家庭での手作り味噌用に袋詰めされていました。麹は生きているので、袋の左上に小さな空気穴が開いています。

次に【熟成工程】です。まず、大豆を洗い、大きな釜で蒸かします。大豆も会津の「あやこがね」が使われていました。あやこがねで造る味噌は、色みがきれいにつき、おいしく仕上がるそうです。

蒸かされた大豆は、28度まで冷却されながら運ばれ、

潰されて、ミンチ状になり出てきます。


塩と麹と大豆が、ここで混合されます。

その後、樽に仕込みます。1つの樽には約4トンの味噌が入ります。樽がいっぱいになったら、中の空気を抜きながら、味噌を平らに踏みならしていきます。そして蔵に運ばれ、約6~8か月という長い時間をかけてじっくりと熟成させます。

蔵は土蔵でした。夏は風も通り、涼しいそうです。天然醸造は文字通り、天然の気候の中で仕込みます。味噌は長い時間かけて熟成させた方が美味しく仕上がりますが、夏場の暑い時は熟成が早く進みます。逆に、冬の仕込みはゆっくり熟成するため、寒仕込み(1~2月の仕込み)味噌は、より一層おいしい仕上がりになるそう。また寒暖の差が大きいほど、おいしく仕上がるので、ここ岡谷の気候が味噌造りに適しているのです。

蔵の中には大きな木樽がずらりと並んでいました。長年仕込んできた味噌の香りが染みついていました。木樽で仕込む味噌は、香りが高く、塩の角が取れて、まろやかな味に仕上がるそうです。現在では木樽を作る職人が少なく、なかなか新調することも難しくなり、ステンレスの樽で仕込む業者がほとんどだそうです。

松亀味噌では、昔、酒蔵で使用されていた樽を譲り受けたりしながら、古いものでは100年以上も大切に大切に使われてきました。工場内には約80本の樽が置かれ、年間に2000トンの味噌が造らるそうです。毎年気候は違いますが、熟成に欠かせない微生物たちがしっかり働けるように環境を整え、常に安定した品質で出荷できるよう心がけているそうです。

できあがった味噌は、安心して食べていただけるように品質検査が行われます。そして、関東圏を中心に出荷されていきます。

地元の方々にもおいしい味噌を存分に味わってほしいと、松亀味噌では月に1度、第4週の月曜日を「みその日」とし、味噌の詰め放題を開催。1キロ入りのカップに、木しゃもじで盛れるだけ盛り込みます。農林水産大臣賞に輝いた、松亀味噌こだわりの天然醸造赤と、白の2種類が、なんと1キロの値段680円で詰め放題ということもあって大人気!毎月多くのお客さんが列を作って並びます。

(写真提供:松亀味噌株式会社)
桶の反対側で松亀味噌の社員の方たちが、大きくビニール袋を広げて「もっと入る!もっといける!」と構えてくれています。「お味噌、たくさんあっても、色が変わっちゃうから…」と話すと、「味噌は冷凍保存できるし、カチコチに凍らないから冷凍庫から出してもすぐに使えるよ」と教えてくれました。そんな和気藹々なふれあいも楽しくて、私も何度か挑戦しましたが、たっぷり3キロ以上は詰め込みましたよ。

この他にも健康ニーズに応えた「健康長寿 減塩みそ」
ごはんが進む、辛味噌やにんにく味噌などもありました。

現在、スーパーの店頭には、その手軽さと安さから「だし入り味噌」が売り場の多くを占めていますが、大豆と麹と塩のみ、他の調味料を使わず、しっかり発酵させて作った昔ながらの味噌を求める声も多くなりました。岡谷や諏訪地域の味噌蔵は、松亀味噌のように、味噌本来の品質を大切にし頑張りぬいてきた小さな蔵が残り、高品質な信州味噌を造りを続けています。

(写真提供:松亀味噌株式会社)
木下さんは「おいしさを届けて健康づくり」をモットーに、「マツカメみそ」85年の伝統の味を守りつつ、新しい技術を加えながら日々作業をしています。「だし汁の香りに負けない、味噌本来の味と香りをみなさんに楽しんでいただきたい!その一心で、これからも精一杯おいしい味噌を造っていきます」と話していました。

日本食に欠かせない味噌。ほっと癒される香りと味わい。明日の朝のお味噌汁は、職人こだわりの信州味噌で味わってみませんか。

長野県まつのベジフルサポーター 野菜ソムリエプロ ジュエルフルーツクリエイターの戸谷澄子でした。

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