まつのベジタブルガーデン

東京都「りんご」が美味しくできるまで

野菜・果物品目レポート

東京都のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエの大内優紀枝です。
今日は秋の果物の中から、私が最も詳しい「りんご」をご紹介します。

りんごの全国の生産量(2015年度)は、811,500トンで、1位青森県470,000トン、2位長野県157,200トン、3位山形県50,600トンとなっています。

私はりんごの生産量全国1位を誇る青森県に生まれ、9月から春頃までりんごに囲まれた食卓で育ってきました。りんごは9月に津軽や早生ふじが市場に出回り、それからどんどん品種が変わっていきます。数えきれないほど品種はありますが、最も身近で代表的なりんごの品種と特徴を収穫期順に紹介します。
【9月中旬】
「つがる」紅色で全体に薄いしま模様があり、果汁が多く酸味が強い。
【9月下旬から10月中旬】
「早生ふじ」ふじの枝がわり。味はふじとほとんど同じで、収穫が1ヶ月ほど早い。
【10月上旬】
「トキ」果汁が多く、甘酸適和で、香りも食味も良好。
【10月中旬から下旬】
「ジョナゴールド」酸味と甘味が適度にきいて、紅玉に似た風味。
【10月中旬】
「紅玉」
色で果汁が多く、少し酸っぱく爽やかな味。
「世界一」名前の通り、最高クラスの大きさが特徴。
【10月下旬】
「陸奥」青森生まれの「キングオブアップル」と呼ばれる。
【11月上旬】
「ふじ」ごたえがよく、果汁が豊富で甘味も強く、人気がある品種。
「サンふじ」ふじに袋をかけずに、太陽の恵みいっぱいに育てたもの。
「王林」薄い緑色で果汁が多く、強い甘さと香りは独特の風味。
「金星」明るい黄色で、酸味が少なく甘味が強い。
青森りんごの品種別生産割合は、「ふじ」が5割を占め、ついで「つがる」「王林」「ジョナゴールドとなっています。

既にスタートしたりんごの出荷。買い物の際には、この順に店頭に並んでいくのを楽しんでくださいね。ちなみに、青森ではつがるの収穫は終わり、現在はトキなどに手をかけています。

『りんごができるまで』
たくさん太陽を浴びて美味しくなるりんご。それでは、どんな風に生長し、手入れをされているのか、お伝えします。
(1)枝切り 
真冬の1〜3月は木の中まで日光が十分入るよう、枝の剪定作業を行います。
(2)肥料まき
雪が溶けた4月頃、土が見えてきたら肥料をまきます。
(3)草刈り
有機物を補給したり、傾斜地の土が流されるのを防ぐために、草を生やします。しかし、伸びすぎるとりんごの木と養水分の奪い合いをするので4〜6回刈り取ります。
(4)薬かけ
病害虫の予防のために農薬をかけます。農薬は環境に優しく、安全なものを適正に使用しています。
(5)受粉
りんごの花のめしべに、おしべの花粉をつけて各自に実るようにします。大変手間がかかるので、マメコバチに受粉させることが多くなっています。
(6)実すぐり
りんごの実が大きく色良く育つよう、育ちの悪いものを摘み取る「実すぐり」という作業を行います。
(7)袋かけ
病害虫の予防と色づきを良くするため、りんごに袋をかけます。
袋をかけたりんごは有袋(ゆうたい)りんご、袋をかけないりんごは無袋(むたい)りんごと呼びます。
(8)袋はぎ
9月半ばから下旬、袋をはいで、太陽に当てて色付けします。袋を一度に剥がすと、日焼けを起こすので、外袋、内袋と2回に分けて取り除きます。
(9)葉とりと玉回し
袋を剥いだら、果実の回りの実を取り、太陽の光が当たるようにします。そして、りんごの玉を回して、色をムラなくつけます。
(10)収穫
食べ頃に育ったら、傷がついたり、つるが抜けないように注意して摘み取り、選果・出荷作業を行います。
(青森県りんご対策協議会の資料から引用)

(画像早生ふじ)

『りんごを食べて元気になろう!』
「りんご1個で医者いらず」という言葉があります。毎日果物200グラムが目標ですが、私はりんごを1日1個食べることをオススメします!

りんごに含まれるポリフェノール成分は、動脈硬化の抑制作用、アトピー性皮膚炎、花粉症、アレルギー症状を抑える作用、美白効果といった効果が期待されます。りんごポリフェノールが最も多いのは皮に近い部分なので、皮も一緒に食べてりんごポリフェノールを摂取してくださいね。主成分のプロシアニジンは果肉にも豊富に含まれているので、皮を剥いても、りんごポリフェノールは摂取できます。

(画像トキ)

『りんごの謎』
りんごで一番多い質問は皮のベタベタについて。「それは農薬なの?」という質問が多いのですが、それはりんごの成熟に伴い、リノール酸やオレイン酸などの脂肪酸が増えてきて、ロウ物質が皮に出たものなのです。あのベタベタしたワックスのようなものは、りんごが自分の実を守ろうとして出す成分。その成分には美容効果が期待できるそうです。

体には良い成分なので、皮ごと食べる時は軽く水洗いして、皮を拭き取る程度で良いと思います。どうしても気になる場合は、つがるや、千秋、ふじ、王林などの品種はあまりベタベタしないので、ぜひ見比べてお好みのりんごを探してみてください。

『アップルパイレシピ』

材料(6個)
りんご 2分の1個
パイシート 2枚
プリッツ 2本
クリームチーズ 20g
ココナッツオイルまたはバター 15g

作り方
(1)オーブンを220度に温める
(2)りんごの種の部分をカットし、3ミリ程度にスライスする。
(3)フライパンを温め、ココナッツオイルか、バターを入れ、スライスしたりんごを両面焼く。
(4)パイシートをセルクルやコップで丸く型抜きして、その上にクリームチーズを塗り、真ん中が小さい花びらのようになるようにりんごを重ねて、中央にプリッツを刺します。この時、りんごの形に似るように、反対側もへこませます。
(5)オーブンで17分ほど焼けば完成。

オーブンはご家庭により、温度差がありますので目安にしてください。我が家のオーブンはやや弱めなので220度で焼きました。

また、以前にりんごを使ったケーキ「ガトーインビジブル」をご紹介しましたので、こちらもご覧く下さい。
フルーツたっぷり!フランス発の「ガトーインビジブル」

今が旬のりんごを楽しみながら、食べて健康になっていただけたらと思います。
東京都のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、食育インストラクターの大内優紀枝でした。

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