ベジフルサポータージャーナル

熊本県「水の国くまもと」にあふれる清冽な天然水

伝統野菜・食文化

熊本県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロの佐藤真美です。

生きていく上で、水は欠かせないもの。人間の身体の約60%は水でできていることはご存知かと思います。年々夏の最高気温は記録を更新し、2018年の猛暑は災害とまで言われました。蛇口をひねれば水が出てくるのは当たり前と思っていましたが、水の大切さを考えさせられた一年でもありました。

(阿蘇 鍋ヶ滝)

熊本は「火の国」と呼ばれていますが、「水の国」とも呼ばれているのをご存知でしょうか?熊本の子供たちは、小学生の頃から水の大切さを学んでいます。今回は、私も子供の頃から学んできた熊本の水についてご紹介します。

(熊本市 江津湖)

さて、皆さまの自宅の水道水はそのまま飲めますか?生水は飲めない、一度沸かしたら飲める、ミネラルウォーターを買っている…など、飲料水に関しては各地で様々でしょう。熊本市の水道水は100%地下水で賄われています。熊本市の人口は約74万人。人口50万人以上の都市としては日本で唯一なのです。

なぜこのように地下水が豊富なのかというと、その答えは約27万年前の阿蘇にありました。阿蘇火山は約27万年前〜約9万年前にかけて4度に渡り火砕流噴火を起こしました。火砕流は阿蘇から熊本市へと流れ、現在の大地をつくっています。火砕流で流れた石は軽石でできており、水が通りやすく、さらに水を貯蔵しやすい層となっているため、阿蘇で降った雨水が大地を流れ、平地で地下水として湧き出ているのです。

阿蘇から熊本市までの地下水は2つのルート層に分かれており、1〜3回目の火砕流でできたルート層、4回目の火砕流でできたルート層があります。

1〜3回目の火砕流ルート層は、健軍水源地という地下水を管理している施設内の井戸から湧き出ており、特に5号井という井戸からは一日の取水能力が15,000㎥もあり、この井戸だけで市民6万人以上を賄えるそうです。

(5号井の井戸 展示物撮影)
4回目の火砕流ルート層は、水前寺公園近くの藻器堀川(しょうけぼりがわ)で見ることができます。川の淵から、地下水が湧いてあふれ出ていて、地下水が豊富なことがわかります。

熊本市の地下水に触れてみると、水温が少し温かめで驚きました。また透明度が高く、底まで鮮明に見えるくらい本当に綺麗です。

この湧水を利用して熊本市の水前寺地区では、農作物も栽培されてきました。熊本市が指定している「ひご野菜」の一つ「水前寺もやし」。長さ35㎝ほどに成長し、長寿や健康を祈願する縁起物として、雑煮などに入れて食べる風習があります。年末は収穫の真っ盛り!この水前寺もやしは、冬でも温かく湧き出る地下水を利用して栽培されます。

また「スイゼンジノリ」は美しい水と一定の水温が保たれた場所でしか育たない淡水のりで、江津湖にはスイゼンジノリ発生地があり、国の史跡名勝天然記念物に指定されています。現在も水前寺とは別の場所ですが、スイゼンジノリの保護や育成がなされています。


さらに、水前寺公園内で栽培されている「水前寺菜」も湧水を利用して栽培されています。

水が美味しいと、米や野菜も美味しいですね!熊本で米を生産している野田哲誌さんに、農作物と水の関係についてお聞きすると、「水の良し悪しは、その田んぼや圃場に住む生物の環境に大きく影響を与えています。生物が活発に動ける圃場は土壌の地力も高くなるので、米や野菜が美味しくなります。水が良いと土壌がよくなり、うまい作物ができる!という形式は、やはり水の力が一番重要で、それが熊本の持ついいところですね!」。さらに「水が美味しいのは阿蘇からの恩恵です」とのことです。
田植え
「阿蘇からの恩恵とは?」その秘密を探りに、早速、阿蘇の水源地へ行ってみました!南阿蘇村にある白川水源。熊本市を流れる白川(しらかわ)の最上流部です。毎分60トンが湧き出ており、池はまるでエメラルドのようにブルーやグリーンに輝いており、水の美しさは圧巻です。このような阿蘇からの水が熊本市へと流れ、私たちの飲料水や生活用水、農業用水などに使われています。

湧き出てすぐの水を飲んでみると、冷たすぎず、少しぬるめの水温で、雑味のないスッキリとした深い味わいでした。透明度の高さに惹かれます。毎日飲んでいる水の源に来て、水の大切さ、ありがたさを改めて感じました。

私たちが生きていくために必要な水。そして、米や野菜が美味しいのは水のおかげです。蛇口をひねれば出てくる水は当たり前すぎてありがたさを忘れがちですが、1日に1回でも「ありがとう」という言葉を添えていただきたいものですね。

熊本県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロの佐藤真美でした。

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