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福井県えっ!コシヒカリは福井生まれ?!

まつのベジフルサポーターレポート

皆さま、こんにちは。
福井県のまつのべジフルサポーター野菜ソムリエだしソムリエ認定講師水嶋昭代です。

稲穂が黄金色に色付きはじめ、今年も新米の収穫の季節がやってきました。早生の新米が店頭に並び始めてますよ。日本人の主食、毎日食べているお米ですが、皆さん、どんなお米を食べていますか?

現在日本で栽培されている米の種類はうるち米で約200種類と言われています。その中で、長年作付面積、生産量ともトップなのは、「コシヒカリ」です。
(平成27年度米穀安定供給確保支援機構資料より)

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「コシヒカリ」といえば、新潟県のお米という印象が強いと思います。いえいえ、実は、コシヒカリは福井県で生まれたお米なのです。今年は、誕生から丁度60年!今回は「コシヒカリ」誕生のお話をいたします。

1956年(昭和31年)コシヒカリが誕生しました。その誕生までには、多くの方々のご苦労がありました。
1944年(昭和19年)新潟県農事試験場において、「農林22号」を母に「農林1号」を父に【交配】が行なわれました

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母(めしべ)「農林22号」晩生、背丈高い、いもち病に強い。
父(花粉) 「農林1号」早生、背丈中、いもち病に弱い。

稲は自家受粉する植物です。別の品種と交配するには、【温湯除雄法】

1.43度のお湯に7分浸けて、花粉の機能をなくす。

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2.開花していない花を、すべて取り除く。

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3.父の品種の花粉を振りかける。

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この技術が採用される前は、一つ一つの花のおしべを取り除いて、交配されていたそうです。気が遠くなる作業です。更に、コシヒカリの両親のように、開花時期が異なる品種を交配する場合、日照時間を調整して開花を合わせます。

1947年(昭和22年)雑種3代(F3)の20粒が福井県農事改良実験所(現福井県農業試験場)に送られ、石墨慶一郎博士が中心になって、特徴を安定、固定する選抜、育種が繰り返されました。

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石墨博士は、「コシヒカリの父」と呼ばれ、生まれ故郷の福井県坂井市丸岡町にその銅像が建立されています。長靴に白衣姿、手にはコシヒカリの穂を握っています。育種一筋だった、お人柄が偲ばれます。
ここで、疑問に思われるかと思います。コシヒカリを作ったのは、【交配】を行った新潟県では?と。
実は、コシヒカリと同じF3の米から育種された品種が他にもあります。「ホウネンワセ」「越路早生」「ハツニシキ」など。
人間の子供が同じ親から生まれても、性格も性質も違うように、稲も育った環境や育てられ方によって、性質の違うものになります。何年もかけて、性質を安定させて、一つの品種が生まれるのです。
コシヒカリを作ったのは、【育種】【選抜】した福井の気候や風土であり、その開発に携わった方々のお力によるものなのです。とは言いますが、コシヒカリがここまでのお米になったのは、「交配」し「奨励品種」に指定した新潟県の功績が大きいです。「コシヒカリ」の誕生までにはいくつかの苦難がありました。

1948年(昭和23年)M7.1の福井地震が起こり、多くの人々や家、田畑が被災しました。しかし、20粒の米は難を逃れ、無事育つことが出来ました。戦後の食糧難の時代、多収、耐病性のある品種を作るために、何年もかけて育種、選抜を繰り返し、「コシヒカリ」は誕生しました。
昭和30年新潟県と千葉県で奨励品種に指定され、農林100号と品種登録されました。農林100号は、交配した新潟(越後)と育種した福井(越前)共通の「越(こし)の国でひかり輝く」という意味を込め、「コシヒカリ」と命名されたそうです

コシヒカリを育てた福井県がなぜすぐに奨励品種にしなかったのか。それは、コシヒカリが持っている特性にありました。コシヒカリは背が高く、いもち病にも少し弱いのです。同じ両親を持つ「ホウネンワセ」は、倒れにくく、いもち病にも強いということで、福井では多く栽培されていました。
ただし、コシヒカリは粘りや甘味があり大変おいしい米です。肥料を与えすぎないなどの工夫をすることによって、倒れやすさを改善でき、次第に多くの地域で栽培されるようになりました。

福井県でも、昭和47年に奨励品種になりました。

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日本のうるち米の作付割合の約35%。日本一の作付面積、生産量を誇る品種であり、(平成27年米穀安定供給確保支援機構資料より)多くの都府県で栽培されています。今回、コシヒカリの誕生について、福井県農業試験場のご協力を得て、誕生に関するお話をお聞きすると共に、貴重な資料の写真掲載をさせていただきました。

現在、福井県農業試験場では、美味しく、作りやすく、環境に優しい「ポストこしひかり」の開発が進められ来年には新しい米が誕生する予定です。

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冷めても美味しいコシヒカリは、ただの塩むすびでも、具を入れてもとっても美味しいです。

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【季節の野菜で手毬ずし】

  • 黄色い花オクラやみょうがの甘酢漬、サーモンや生ハムで包んだり、
  • 梅を混ぜたご飯を薄焼き卵で巻きました。

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【ライスバーガー】

  • ご飯にごまと塩と片栗粉を混ぜて、丸い型で成型します。
  • ごま油をひいたフライパンでこんがり焼いて、醤油を塗ります。
  • 具はお好みで。焼肉やきんぴらごぼうなど。今回は、鶏そぼろと揚げなすとトマト。

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もう間もなく、今年の収穫が始まります。どこのコシヒカリにも負けないくらい、福井のコシヒカリも美味しいです。

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さあ、どう食べましょうか?楽しみです。

福井県のまつのべジフルサポーター、野菜ソムリエ、だしソムリエ認定講師の水嶋昭代でした。

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