まつのベジタブルガーデン

山梨県朝日をたっぷり浴びて育った穂積の柚子

まつのベジフルサポーターレポート

山梨県のまつのベジフルサポーター、ジュニア野菜ソムリエ、フリーエディター&ライターの藤原恵里です。

今回は山梨県が誇る柚子の産地を訪問。たわわに実る柚子の様子をご紹介します!
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【穂積の柚子の歴史】

山梨県富士川町(旧増穂町)穂積地区はユズの産地として知られています。明治時代に入ってからユズが植樹され、細々と栽培が行われていたものの、養蚕業が主流だったので、当時は一面に桑畑が広がっていました。しかし、戦後になって、国内の養蚕・製糸業の衰退とともに桑畑はユズの栽培へと切り替わり、穂積地区はユズの産地としての歴史を刻み始めます。

この地に日出づる里活性化組合という名の生産組合が設立されたのは約10年前。今も約100人の生産者が所属し、ユズの生産や加工に積極的に取り組んでいます。こちらは組合長の細川勝男さん。
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この地域では古くから育つユズの木から種を取って選抜しながら徐々に畑を増やしてきたそうです。

【柚子の栽培から出荷まで】

穂積地区は、標高400〜700mでユズ栽培には最適だそう。また、西側に大きな山があり、日照時間は短いものの、夏の強い西陽が当たらないことがユズにとっては良いそうです。東側は開けているので、朝日はたっぷり降り注ぎます。

そんな穂積地区で育ったユズの特徴を「とにかく香りが強い」と語る細川組合長、しかし「ユズは生育が旺盛なので、剪定や収穫はとても手間がかかる」と仰っていました。桃やブドウと違って実のつく場所が予測できないので剪定作業は難しいそうです。また、表と裏の年があるため、剪定や肥料を調整しながら、その生産量の差を少なくしようと努めています。

ちなみに、今年は収穫量が多いといわれる表の年にあたり近年稀に見る豊作だそう!しかし、全国的に出荷量が多くなり、市場価格が下がってしまい、出荷を制限される事態に…そこで、収穫しても引き取ってもらえないものは加工に回しているそうです。

さて、こちらが穂積地区のユズの畑です。
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普通に歩くのも大変なくらい勾配のきつい山の斜面に、ユズの木がたくさん立ち並び、辺り一面が黄色く染まっています。
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3m以上にもなる巨木を前に、収穫作業が大変だろうなぁ〜と実感。
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木のてっぺんにもユズの実が鈴なり!どれもとても立派な大きさです。例年、収穫は11月初めからクリスマス頃まで。ちょうど今は冬至を控えて収穫作業に追われる毎日です。

ところで、ユズの葉の形をご存知でしょうか?
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よ〜くご覧ください。付け根の方にくびれがあるでしょう?とても特徴的な形をしています。

しかも、枝にはトゲがあるんです!
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この長くて鋭いトゲが収穫作業を困難にさせています。長いハサミや革手袋を使わないと
とても危険ですし、収穫した実が触れてしまうと傷がついてしまいます。

収穫したユズは選果場へと運び、このような箱に詰めて出荷されます。
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関東一円に出荷されるほか、地元の直売所や道の駅でも販売されています。

【加工品で柚子の魅力を発信】

こちらは同組合が運営するほづみの郷加工直売所。
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地元で育ったユズを原料とした加工品を製造・販売しています。その商品ラインナップは多彩。
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ゆずポン酢をはじめ、ゆず胡椒、ゆず味噌、ゆずジャム、ゆずうどんにゆずラーメン。
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ゆず餅やゆずジュース、ゆず酒、ゆずワインまで…
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ユズを使った加工品がずらりと並んでいます。特におすすめなのが、ゆず絞りという名の柚子酢。
収穫直後の果実を絞ったもので、まさに果汁100%!1本にユズ30個分の果汁が詰まっていて、本来の味と香りがたっぷり楽しめます。

「ユズの木は地域の宝。富士川町の産物としてこの地で育まれてきたものだから、私たちの手で大切に守り、後世に受け継いでいかなければならない。ユズは少し添えるだけで料理の味を引き立ててくれる。そんなユズの魅力も伝えていきたい」

と、細川組合長は語ります。
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畑には小さな苗木もたくさん植えられていました。これからこの木々が大きく育ち、たくさんの実をつけるのでしょう。穂積地区の方々はこれからもユズとともに生きていくのですね。
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朝日をたっぷり浴びて育ったユズはひときわ美しく、華やかな香りが漂い、独特の存在感を放っていました…

こうして実際に産地を訪ねると、生産者さんの苦労や熱い想いがストレートに伝わってきます。何よりユズの芳しい香りに包まれ、とても幸せな気持ちになりました!いよいよ今年も残りわずか。新年を元気に迎えるために、今月22日の冬至には柚子湯を楽しんでみてはいかがでしょうか?

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