ベジフルサポータージャーナル

千葉県落花生の世界へようこそ!新品種「Qなっつ」デビュー

畑の社会見学

千葉県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロ、アンチエイジングフードマイスターの栗原美由紀です。

日本一の落花生産地の千葉県(2018年農林水産統計より)。作付けされている品種は「千葉半立ち」「ナカテユタカ」「郷の香」「おおまさり」。千葉半立は、千葉県を代表する落花生で、県内の2017年の品種別作付け面積では、65.6%作付けされている晩成品種。煎った時の香ばしい香りと味の良さが特徴の高級品です。同じく煎りさやのナカテユタカは栽培しやすい早生品種で収量は多いです。千葉半立との見分け方は、豆を包んでいる渋皮の裏の部分の色で判断します。白いものがナカテユタカ、赤いものが千葉半立です。

そしてこの秋、新品種の落花生がデビューします。名前は「Qなっつ」。千葉県では幅広い世代の方に落花生の普及を目指して、昨年に新品種の愛称を公募し決定したのが「Qなっつ」。アルファベットの並び順でピーナッツの「P」の次が「Q」というところから、「これまでのピーナッツを超える味」という意味が込められています(ちなみにピーナッツとは落花生の殻を取った中の実のことです)。
落花生

今回は千葉市の大野真三さんの畑を訪ねました。県内では八街市についで生産量の多い千葉市。大野さんの畑のある千葉市若葉区は、千葉市の中でも緑豊かな地域で、とてものどかな景色が広がります。
落花生

大野真三さんと奥様の秀子さん。落花生を栽培されて5代目だそうです。
落花生
年間3,000キロもの落花生を出荷されていて、重労働の畑作業もお二人でこなすとてもお元気な大野さんご夫妻。「体が動けるうちは幸せ」といつも笑顔の秀子さん。

1ヘクタールの畑には「千葉半立ち」「ナカテユタカ」「Qなっつ」の3品種が植えられています。
落花生

千葉県が落花生の産地になったのは、適地適作で土の中で育つ落花生は、火山灰土など柔らかな水はけのよいふかふかの土を好むから。そもそも落花生とは他の豆と違い、その名前の通り、花が落ちて土の中で実が生まれます。枝にぶら下がってさやに包まれて実る豆ではなく、土の中にさやに包まれた豆が育つというのはとても神秘的ですね。ではその神秘的な世界をご紹介します。

見てください。綺麗にびっしり張られたマルチ。大野さんご夫妻の落花生に対する思いが伝わってきます。5月、この美しいマルチに種を植えていきます。穴に2粒ずつまいて、土をかぶせます。
落花生

芽が出て、花が咲き始めたらマルチをはがします。
落花生

こちらは落花生の花。真夏の暑い時期に可憐な黄色い花を咲かせます。種をまいてから40日ほどで花が咲き始めます。
落花生

この可愛い花は1日で枯れてしまい、地面にたらんと垂れてきます。ここからが落花生の不思議なところ。
落花生

茎と花の間の子房柄が地面に向かって降りてきます。このように伸びた子房柄が地面の土に刺さります。この時、土が固いと地面に潜れなくなるので柔らかい土がいいのです。

落花生

土に刺さった子房柄の先端が土の中で膨らみ、さやができます。土の中の落花生を見てみましょう。
落花生

赤ちゃんのさやがたくさん育っています。1株に30個くらいの実がつくそうです。
落花生

さやを割ってみると、真っ白いふかふかのベッドに赤ちゃん豆が入ってます。殻の網目もなく、豆を包んでいる渋皮は真っ白。これから土の中でたくさんの栄養を吸収して、成長していきます。落花生は乾燥には強いと言われていますが、生育は天候に左右されます。真夏の暑い時期に雨が全く降らないと実の成長にも影響するので、「とにかく自然との闘い」と大野さん。

茎や葉の色が黄色くなり、枯れ始めたら収穫です。品種によっても違いますが、花が咲いてから75~95日後、掘り起こし作業を行います。
落花生
掘った落花生を逆さまにして1週間ほど干します。掘りたての落花生は、水分が多いので土につかないようにして自然乾燥させます。これを地干しと言います。地干しが終わるとぼっち作り。熟練の技が必要です。
落花生

地干しした落花生を大きな円になるように並べます。円の中にもみ殻を敷き、最後に縛り上げるための紐を十文字に置きます。その上にビニールシートを敷いて、落花生の豆を中側にして積んでいきます。豆に直接風が当たらないようにします。
落花生

まっすぐきれいに積んでいくのはなかなか難しいそう。作業する人の使いやすい高さに積み上げ、敷いておいた紐で縛ります。
落花生ぼっち

産地ではこれからの季節、このような光景があちこちに見られます。ぼっちを作り、ゆっくりと自然の力で1ヵ月ほど乾燥させます。そうすることででん粉が糖に変わり、どんどん美味しくなります。

そして11月には脱穀です。脱穀機で豆と葉と根に分けます。収穫された落花生は、加工業者にわたり、選別、焙煎されて店頭に並びます。このように落花生は播種から店頭に並ぶまでにおよそ半年の歳月がかかり、長い時間をかけてじっくり丁寧に育てられているのです。

ちなみに、落花生の実は、芽を出すための種でもあるので、栄養素がとても豊富に含まれています。落花生に含まれるオレイン酸は、コレステロールの値の改善(善玉コレステロールは減らさずに、悪玉コレステロールだけを減らす)、また血液の若返りが期待されています。渋皮には、レスベラトロールというポリフェノールの一種が含まれていて、抗酸化作用が期待されます。ぜひ渋皮ごと味わってくださいね。

収量が多く、白いさやで美しく、味は濃厚で甘味の強い「Qなっつ」、今シーズンから煎り落花生として10月中旬より販売が開始されました。美容や健康面でも話題の落花生。茹で落花生も煎り落花生もいろいろなお料理に活用できます。新豆がこれからたくさん出回りますので、神秘的な落花生の生い立ちを思い出しながら楽しんでくださいね。

千葉県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロ、アンチエイジングフードマイスターの栗原美由紀でした。

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