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静岡県さわやかな風味を満喫!青ゆず収穫体験ツアー【収穫編】

まつのベジフルサポーターレポート

静岡県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエの小櫛香穂です。

先日、静岡県中央部に位置する大井川地区川根本町へ「青ゆず」の収穫へ行ってきました。「青ゆず」とは夏から秋にかけての未成熟の柚子で、見た目は緑色、冬に収穫する黄ゆずに比べ成熟していないぶん、さわやかな風味が特徴です。

川根本町は大井川に沿った東西約23キロ、南北約40キロと南北に細長く、約90%を森林が占める自然豊かな山間の町。江戸時代から県内有数の茶の産地として知られていますが、実はゆずの収穫量が静岡県第一位でもあります。今回はふじのくに川根本町ユズ協同組合による「青ゆず収穫体験ツアー」の同行レポートです。

ツアー集合場所は「フォーレなかかわね茶茗舘」。特産品のお茶をキーワードに川根本町紹介する道の駅として平成6年にオープンしました。風景に溶けこむような癒しの建物で、ゆったりとした時間が流れているような場所。芝生の広場からは対岸を走る大井川鉄道のSLを見ることができるとっておきのスポットです。

建物南側には川根本町に自生する木々や植物を配置した日本庭園があります。その庭を望む茶室では丁寧に茶の淹れ方や楽しみ方を教えていただきながら、川根茶を最高の状態で味わう体験もできますよ。

さて、「あなたのお店で川根ゆずを使ってみませんか?現地で見て、触って感じてください」というコンセプトのもとに開催された今回の収穫ツアー、ホテルの総料理長や食の関係者、そして「ふじのくに川根本町ゆず協同組合」からメンバー7名が参加しました。生産者から直接そのこだわりや栽培の様子を聞くことができる貴重な機会です。

注目度の高い「青ゆず」は、まさに今が旬の食材であること間違いなし!参加者は集合場所から車で5分ほどの標高300~600メートルにある川根ゆずの圃場を訪ねました。8名の組合員が栽培する圃場は全部で約5.5ヘクタール(平成28年時点)。昼夜の寒暖差により果皮が厚く香り高い良質なゆずが育ちます。圃場は鹿による新芽の食害を防ぐため、周囲には高さ約2メートルのネットを設置しています。

「どれでも好きなのを採りな」という生産者の言葉に、参加者一同は真剣なまなざしで、ハサミ片手に圃場内をグルグルと歩きまわります。

ところで、ゆずの収穫の際には注意が必要で、ゆずの木の枝にはしっかりとしたトゲがあります。枝葉と色が同化して気が付きにくいので、手を伸ばす際には注意が必要です。ゆずを選んだらハサミを入れて切り落とし、その後は2度切りとして根元ぎりぎりのところにハサミを入れます。収穫した実が傷つかないための作業で、ミカンなどの収穫でも同様ですね。

ゆずはミカン科ミカン属に属する柑橘類。果実は比較的大きく、果皮の表面がでこぼこしています。ゆずの木は、寿命が長く病気に強いことが特徴ですが、一方で成長が遅いことでも有名です。「ゆずの大馬鹿18年」といわれるように、種から育てて実を実らせる場合には10数年かかることもあるそうです。

私も収穫させていただきました。大きいサイズを狙いたくても青ゆずが枝葉と同色で隠れています。欲張って上の方の大きな実を採ろうとするとトゲの被害に…結果、危険の少ない手の届く場所で収穫しました。もちろんハサミを入れる際には他の実を傷つけないように細心の注意を払いました。顔を近づけるとゆずの香りが鼻の奥をくすぐります。

収穫したその場でひとつカットしてみると…ゆずの香り成分は油胞に多く含まれるため指で皮をこすれば揮発性の香り成分を感じることができます。同じように果肉からも爽やかな香りがいっぱいに広がります。目にしただけでその酸味が想像でき条件反射でしょうか、口の中が酸っぱくなりました。

手のひらへ青ゆずを軽く絞って口にしてみました。先に爽やかさが広がり、後から酸味が広がるように感じます。香酸柑橘と分類されるゆずですが、糖度計で計測すると意外にも糖度10度はありそうです。

こちらが今回収穫した川根本町のゆず。枝葉を切り落とすのが基本ですが、せっかくなので葉付きのまま自宅へ持ち帰りました。自ら収穫した特権ですね。

収穫後は近くにある「川根和彩食堂あけぼの」で、川根ゆずを利用した料理を試食しました。ゆずを使った料理の数々は、次回のレポートでお伝えします。

静岡県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエの小櫛香穂でした。

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