まつのベジタブルガーデン

石川県能登の宝!厳選された最高峰の生椎茸『のとてまり』

まつのベジフルサポーターレポート

皆さまこんにちは。石川県のまつのベジフルサポーター 
野菜ソムリエプロの本田智世です。

世界農業遺産「能登の里山・里海」奥能登育ちの「のとてまり」
「のと115」の名称で出荷されている奥能登原木シイタケの中でも特に優れた徳秀品です。栽培の難しさ、収穫量の少なさから幻と言われる厚さ・香り・歯ごたえともに最高級の生椎茸をご紹介します。

 

①かさの直径が8cm以上
②かさの厚みが3cm以上
③かさの巻き込みが1cm以上

この3つの条件をクリアし更に形が揃っていてほぼ球形であること、特にかさの厚みが重要視され、非常に厳しい規格を満たしているものだけを「のとてまり」として商標登録し認定しています。8・3・1は「能登はやさしや土までも」という能登のあたたかい人情を表す言葉からきているそうです。さらに平成26年度より「プレミアム」という最上級の格付けが始まりました。

「のとてまり」一般的な椎茸と比べるとこんな感じです。

プレミアム のとてまりの中でも丸くてより肉厚で総合的に良いもの

「のとてまり」は生産者や石川県がつくる「奥能登原木しいたけ活性化協議会」がブランド化し2011年に初めて出荷しました。珠洲市、輪島市、穴水町、能登町の2市2町で生産されています。現在生産者は100名ほどで昔からの生産者が5割ほど、新しく始められた方が4割ほど、建設業者が1割ほど。昨年12月の金沢市中央卸売市場での初せりで、1箱6個入り15万円という過去最高の値が付くほど注目が高まっています。

日本きのこセンターが開発した鳥取生まれの肉厚・大型の品種「菌興115」鳥取では「茸王(たけおう)」石川県では「のとてまり」能登の気候風土に適して大きく育ち原木しいたけの品種「のと115」として栽培されています。七尾市の小・中学校では給食に「のと115」が出るそうです。

「のとてまり」生産者でもあるJA全農いしかわ 高森正治様とJA能登わかばの大野哲也様にお話を伺いました。

8・3・1になるものがどれだけできるかと言うと…1本の原木に始めから終わりまでに肉厚のしいたけ「のと115」が10~15枚出る。10枚として5本で50枚、15枚として5本で75枚の内、「のとてまり」は1枚あれば良いとおっしゃっていました。「のとてまり」の出荷できる率が少ないのが課題だそうです。

「奥能登原木しいたけ活性化協議会」設立の最大の目的は原木しいたけの産地の復活!!ブランド化し原木産地が残ることによって能登の里山が甦り維持できる。もともと能登は干ししいたけの産地で最盛期、昭和の後半は乾しいたけ100tほど生産されていましたが、中国産や、高齢化、山の原木不足などで現在は10tほど  1/10になっているそうです。

その中で生産者が山に入らないことによって、獣、林道、保水などの問題が発生しました。里山というのは人間の手を入れて下草刈りや原木の伐採をしているから維持できる。手を入れた以上、手を入れ樹を伐ることによって甦る。その手段の一つとして「のとてまり」のブランド化が出てきました。出稼ぎに出ていた奥能登の人たちの冬場の仕事としての役割りもあったようです。

コナラの原木の大きさ、今は直径24、25㎝の物も多く、10㎝位の物が理想ですが、20㎝位までの物はしいたけを植えようじゃないか。という事で進めているそうです。

気温が8℃くらいで発生し、成長には8℃~13℃くらいが理想です。自然としいたけ菌の特性をうまく活用して樹木の栄養分のみで育てる。冬の寒さの中で30日~50日かけてじっくり育つ「のとてまり」は肉質がきめ細やかで香りが良いのが特徴です。

ハウスに持ち込んでいる理由は冬場に雪が降るとほだ場まで行けない。雪でかまくら状態になっても内側にしいたけが出てくるので、雪が降る前に目の届く里に降ろしてくるようにし、雨や低温の時にしいたけがカチカチになるのを防ぐ。また温度を上げない!極端に下げないことが重要!日除けの遮光ネットで温度調節できるようになっています。

袋をかけるのは日が照っても中の水分で温度を上げないためや、かさが大きくなりほだ木に触れてできる黒ずみ防止のため。
芽が出たら芽切り→500円玉くらいの大きさまでに袋をかけピン止め→ある程度の大きさになったら一度袋をはずす→樹の跡を付けないよう袋をかけたり、挟んだりする→収穫1,2日前に袋をはずす。足の太いものは「のとてまり」になるとわかるとおっしゃっていました。

芽がたくさん出たらだめやから…。摘果もだめ。ぽつぽつ出るのを運を天に任せ待つしかないと我が子を見守るようなやさしい笑顔で話されていました。高森さんのご厚意で貴重な「のとてまり」を収穫させていただきました。左右ににひねって、根元をもってねじるように。

贅沢な体験に緊張しましたが立派なしいたけ、しっとりとした感触。思わず顔がほころびます。

出荷時期は12月中旬から3月末頃。今季、8・3・1は3万玉ほど出るだろうと計画しているそうです。採り頃は巻ぐわいで見極め、適当な大きさじゃないと美味しくないそうです。8玉と6玉では値段が違うので週3回の選別の日に合わせ適当なところで折り合いをつけて出荷する。そしてここは1枚からでも出荷できるんです!責任を持って一緒に詰められる!これは強い信頼関係で結ばれている奥能登だからできること。人も自慢だとおっしゃっていました。

高森さんのご厚意で植菌作業も体験させていただきました。コナラの原木を持たせていただきましたが、すごく重い…。ハウス一棟 300本×4列 1,200本。慣れれば大丈夫とおっしゃっていましたが重労働です。

植菌は2月~4月 梅の花が咲く頃から桜の花が咲くころまでが適しているそうで原木に菌を入れて最初の収穫までに7~9か月ほど、種駒だと1年目からしいたけがでるとのことで種駒は生ものなので1週間しかもたないそうです。高森さんはこれから後、2,000本植菌しなければならないとおっしゃっていました。

穴あけもさせていただきました。専用ドリルでコナラの原木に穴を開け種駒を入れます。「のとてまり」になりますように。と植菌させていただきました。

 

2月4日(土)のとてまりブランド誕生5周年記念・感謝祭が金沢近江町市場で行われました。生産者らが「のとてまり」「のと115」を販売。きのこ鍋・餅つき実演の無料振る舞いもありました。

会場では原木しいたけの栽培を通じて能登の里山里海の魅力発信に貢献している地元穴水高校の生徒が育てた「のと115」

手作りキッシュも販売されていました。

「のと115」を食材に金沢近郊で行われていた、食べあるきマンスリー・スタンプラリー カフェHUN&Go#「のと115とカマンベールのキッシュ」

肉厚、うま味たっぷりの「のと115」をトマトソース、チーズをのせてピザ風に

オーブンで焼いてもこの厚さ。柔らかくぷりぷりで食べごたえがあります。

冷凍し、だしで煮るとそのムッチリとした食感はまさに山のアワビ

能登が残っていくには地域が自然と共に発展していかなくてはいけないとおっしゃっていた高森さん。能登を愛する人たちが自然の豊かさが魅力の能登の気候風土で育てた「のとてまり」ぜひ一度ご賞味ください。

石川県のまつのベジフルサポーター 野菜ソムリエプロの本田智世でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石川県の記事