まつのベジタブルガーデン

高知県まるでチーズ!大道地区秘伝の味噌漬け豆腐とは?

まつのベジフルサポーターレポート

みなさんこんにちは。高知県のまつののベジフルサポーター

野菜ソムリエ上級プロ 食育マイスターの斉藤香織です。

今回は豆腐を使った伝統食をご紹介します。高知県西部の四万十町大道(おおどう)地区は、四万十川沿いの十和(とおわ)からさらに車で30分山を上ったところにあります。平家の落人伝説も残っている山間地。ここで昔から保存食の一つとして作られてきたのが、味噌漬け豆腐です。

大道地区には今でも店がほとんどありません。冬は降雪に閉ざされることもあります。(高知県は南国のイメージがあると思いますが、森林率日本一!特に中山間地域では結構降るんですよ!)このような土地で、生活の知恵として伝わってきた味噌漬け豆腐とは一体どんなものなのでしょうか?

高岡郡四万十町大道地区の風景


ここで、現在三人の元気なおばちゃんたちによって、味噌漬け豆腐が作り続けられています。

こちらが「大道の看板娘」武内栄さん 川上久恵さん 竹内稲穂さんです。では早速味噌漬け豆腐の作り方を見ていきましょう。まず地元の豆腐屋さんに特注してつくってもらった豆腐を半分に切り、炭火で炙っていきます。

焦げないように見張りながら、各面まんべんなく返していきます。その焼き時間はなんと2時間!じっくりと根気が必要な作業です。

1日目はここまでで終了。。そして翌日もこれを同じ作業の繰り返しで、さらに2時間焼きます。なんと二度焼きしているのですね!その間お喋りも弾むけど、ちゃんと見てないと焦げるけん〜おばちゃんえらい手間ひまかかっちょるよね!

二度焼きした豆腐が冷めたら、地元でとれた大豆で作った、おばちゃん特製の味噌に漬け込んでいきます。大きな樽に漬け込むこと一ヶ月。やっと味噌漬け豆腐の完成です!

取り出して味噌を拭き取り、切ってみると、、、しっかりとした食感はまるでチーズのようです。噛むごとになんとも言えない味わいが出てきます。ご飯のおかずにもお茶請けにも お酒のおつまみにもぴったり!「気温や湿度で豆腐の焼き具合も変わるけん、一定の食感に揃えるのが大変よ」とおばちゃん。これはまさにベテランの
技です。

しかし考えてみるとおばちゃんたちもいいお歳なんです。まず二日かけて大量の豆腐を焼く手間。その後一ヶ月待ってできた味噌漬け豆腐を取り出し、ひとつひとつ丁寧に拭き、袋詰めや真空パックの細かい作業もあります。また重い味噌樽を運ぶなど、明らかに体力が必要な工程もあります。。おばちゃんたちにとって、年々負担が大きくなってきていることは事実です。しかしこのおいしい伝統食を残していきたい!そのために私たちができることは何なのか??

今年から、元農業普及指導員の森澤宏夫さんが中心となって、農業普及所、地域おこし協力隊、野菜ソムリエが集まり、味噌漬け豆腐の存続について考えはじめました。(県のアドバイザーにも指導を受けています)もしちょっとでも時間的な手間が省けたら、おばちゃんたちは楽になるかもしれない!実験してみました。

これは1日焼いた豆腐を漬け込んだもの。(いままでの半分の時間です)一ヶ月後に取り出してみると、、ちょっと柔らかめだけどしっかり味の付いた味噌漬け豆腐ができました!

これは炭火で炙る工程を省き、生の豆腐を味噌に漬けたものです。一ヶ月後に取り出すとこちらはクリームチーズのようにとろりとした食感になりました。オリジナルとは別物ですが、ご飯よりパンに合いそうです!しかしこの柔らかさでは、今まで通りの袋詰めは無理ですね。。そこで瓶に詰めてみました。豆腐を漬けた後の漬け味噌や、おばちゃんたちが家庭で毎年作っている、ゆずの甘煮と一緒に詰めたら、また違う味わいになりました。味にバリエーションを増やしたら売れるかも?ディップやパテのような新しい使い方は提案できないだろうか?

地域の伝統食を残していきたいという思いは誰もが同じです。しかし、この中山間地域で後継者を作っていくことはとても難しいのです。なにせ人がいないのですから!この伝統を継承していく。そしてオリジナルの味噌漬け豆腐は残しながら作りやすいものも考えていく。そして時代に合わせた売れるものも考えていく。難しい問題だけれど、私たちはいま模索の時期に来ているのだと感じています。「えいもんやけん残していきたい!」この気持ちを大切に、これからもみんなで知恵を絞って試行錯誤していきましょうー!

そしてこの伝統の味噌漬け豆腐、ちょっと工夫すればこんなおしゃれなおつまみにもなるんですよ。11月といえばボジョレーヌーボー。今年は19日が解禁日ですが、ワインのお供に味噌漬け豆腐はいかがでしょうか。

『大道秘伝の食 味噌漬け豆腐』は「道の駅四万十とおわ」のホームページのおかいもの(四万十とおわ村)でお求めいただけます。http://ec-shop.shimanto-towa.jp/fs/kuri/p_sau_tofumisodsuke

高知県まつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ上級プロ 食育マイスターの斉藤香織でした。

高知県の記事