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京都府安楽寺の中風まじない鹿ケ谷カボチャ供養

まつのベジフルサポーターレポート

こんにちは。
京都府まつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ上級プロの中本絵里です。

皆様、そろそろ夏の休暇の予定をたてるころではありませんか?
どこにいこうか悩んでおられる方は、是非、夏の京都へお越しください。

2014年に約半世紀ぶりに祇園祭の後祭の山鉾巡行(7月24日)が復活し、7月下旬の京都はおススメです。翌日の7月25日には、安楽寺にて「中風まじない鹿ヶ谷カボチャ供養」が行われます。24日の祇園祭の後祭を楽しんだあと、25日に中風よけと違った京都の行事を体験されるのはいかがでしょうか?

カボチャ供養の行われる住蓮山安楽寺は、京都市左京区鹿ケ谷にあります。毎年7月25日の9時から15時(入山)まで行われています。カボチャ供養に使われるカボチャは、京都の伝統野菜の鹿ケ谷(ししがたに)カボチャです。例年、安楽寺の山門前には、京野菜や果物が売られ、鹿ケ谷かぼちゃがたくさん並び買い求めることができます。

鹿ケ谷かぼちゃは、ひょうたん型の美しい姿が特徴です。江戸時代に津軽から伝わった菊座かぼちゃが、鹿ケ谷で栽培するうちにひょうたん型になったと伝えられ、あっさりとした味でしっとりとした食感です。ゴツゴツした見た目とは違いとても柔らかく優しい味わいのお野菜です。

ちなみに鹿ケ谷カボチャは時間が経ち熟するとみどりから、白い粉をふき飴色に変化します。
*こちらは熟したもの

さて、安楽寺の「中風まじない鹿ヶ谷カボチャ供養」は、江戸時代に安楽寺の真空上人が、夏の土用に南瓜を供養すれば病から逃れることができるとの夢のお告げを受け、仏前にかぼちゃを供えて供養し食したことから始まったそうです。参拝者に鹿ヶ谷カボチャの煮物がふるまわれ、中風にならないよう祈願します。
(※中風とは 脳卒中の発作の後遺症として主に半身不随となる状態)

美しい姿の鹿ケ谷カボチャですが、実は、こちらの安楽寺も美しい景色が魅力です。特に茅葺の山門前は、秋には紅葉が色づき人気の紅葉スポットとして有名です。普段は一般公開をされておらず、春はさくら・つつじ・サツキの頃、秋はもみじの頃のみ公開日を定めて公開されています。夏の一般公開日は、このカボチャ供養の7月25日のみなのでとっても貴重です。

実は安楽寺には、悲しい物語があります。鎌倉時代の初め、現在の安楽寺より1キロほど東に法然の弟子の住蓮上人・安楽上人が、鹿ケ谷草庵をたて、布教活動をしていました。この二人のもとに、後鳥羽上皇の女官であった松虫姫・鈴虫姫の二人が教化をうけ、ひそかに出家したことが、後鳥羽上皇の立腹となり念仏が禁止され、法然上人、親鸞聖人は流罪、住蓮上人・安楽上人の両上人は死罪となりました。これがいわゆる建永二年(1207)の法難と言われています。室町時代に両上人のために再興されたのが現在の安楽寺です。

本堂でお話をうかがいった後、カボチャをいただくお部屋へ向かうと、美しいお庭に目を奪われます。京都の暑い夏を忘れてしまうくらいですよ。

美しい庭と、美しい鹿ケ谷カボチャの前でいただくカボチャの煮物。

実になめらかな舌触りでほっとする優しい味付けです。
京都には、野菜にまつわる行事が多くあります。7月21日、土用の丑の日には京都市北区の神光院ではきゅうり封じが行われます。祇園祭だけでなくこのような京都の行事にも参加してみてくださいね。
以前のきゅうり封じのレポートも是非ご覧になってくださいね。

京都府まつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ上級プロの中本絵里でした。

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