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佐賀県ホクホク感抜群!「しろいし蓮根」を食べとかんば~【料理編】

まつのベジフルサポーターレポート

佐賀県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ・食育マイスターの前田成慧です。
 
前編では佐賀県白石町の「しろいし蓮根」の栽培の様子をお伝えしました。今回はその蓮根を使った料理をご紹介します。

こちらは、蓮根を収穫している黒木農園の黒木啓喜さん。
 しろいし蓮根
豊かな自然に恵まれた白石町、有明海のミネラル分の多い干拓地で栽培されている「しろいし蓮根」は、一般的なシャキシャキした食感の蓮根ではなく、柔らかくホクホクとした食感が特徴です。時には「蓮根じゃないみたい」と言われるほど、ホクホク感が抜群!
 しろいし蓮根
蓮根は節によって食味が違い、部位によって適した料理があります。一節目は柔らかく繊維質が少ないのでサラダや酢バス、炒め物に向いています。二節目と三節目は肉詰め、フライ、はさみ焼き、天ぷら、煮物、きんぴらなど。四節目以降はつみれ、お好み焼き、ハンバーグ、チップス、れんこんもちなどにぴったり。蓮根は大きく育つほど繊維質が多く硬くなるそうです。
しろいし蓮根  
黒木農園では、蓮根のきんぴらに「湯びきくじら(鯨の背中の部位、皮が黒、白い身の薄切り)」を加えるそう。代々伝わる「黒木家のきんぴら」、早速私も作ってみました!普段蓮根のきんぴらに鯨は入れないのでお聞きした時はびっくり。独特な鯨の香りで風味が一変して、海の香りが感じられるきんぴらに仕上がりました。
しろいし蓮根
いつも蓮根のきんぴらは横にスライスして作るのですが、黒木さんが教えてくださった切り方は「縦切り」。縦に切ったほうが食感が良いとのこと。少し固めに仕上がりますが、子どもが食べる際に顎を使うので良いですね。鯨入りきんぴらは、小さく刻んでご飯に混ぜるのが黒木さん流。
  しろいし蓮根
定番メニューの蓮根のはさみ揚げも作りました。子どもから大人まで大好きですよね。食感が良くなるように、肉のたねには粗く切った蓮根も入れました。私は豆腐ハンバーグを挟むことも多いです。大根おろしと醤油で食べてもさっぱりして美味しそう。
しろいし蓮根 
蓮根のはさみ揚げ
(材料)
れんこん 2節
豚ひき肉 300g
卵  1つ
片栗粉 大さじ2
醤油・みりん 各1
塩  少々
サラダ油 少々
大葉  適量

(作り方)
1.れんこんは皮を剥き8ミリの厚さに輪切りして水にさらす。1/4節は粗みじん切りにする。
2.ボウルにひき肉と卵を入れて粘りが出るまで混ぜ、醤油、みりん、粗みじんのれんこんを加えてよく混ぜる。
3.れんこんの片面に片栗粉をつけ、ひき肉をのせてさらにもう一枚片面に片栗粉をつけたれんこんを上に乗せはさむ。
4.サラダ油を引いたフライパンで両面焼き色がつき、火が通ったら完成。皿に大葉を敷き、盛りつけたらできあがり。

黒木さんに「採れたての一節目は素揚げにしてみて」と言われたので、縦切りで素揚げにしてみました。
しろいし蓮根  
ねっとりとした肉質で食感は柔らかくてホクホク。土っぽさは全くなく、アクも少ないのが最大の特徴。糸がしっかりひいて粘り気のある「しろいし蓮根」らしさを濃厚に感じるシンプルな一品です。

煮物にも蓮根は欠かせません。
しろいし蓮根 
厚切りでも柔らかく美味しく頂けます。

蓮根を使った精進だんご。
しろいし蓮根
我が家では海老のぶつ切りを加え、下味に塩胡椒と粉末の和風だしを加えます。すりおろした蓮根を油で揚げると、外はカリッと中はもちもちとして美味しい精進だんごになります。皮も節も丸ごとすりおろして作れます。また、和風スープの具としても、醤油とみりんを同量煮立たせて甘辛く煮ても美味しいです。

蓮根をすりおろして、水分を絞り片栗粉を少々入れて揚げずに作る「蓮根だんご」は、スープに入れるともちもちのとろとろに。
 しろいし蓮根
身体に優しい味わいで、離乳食後期や病床時の疲労回復にもおすすめです。

昔から民間療法で活用されてきた蓮根。中国では肥大した地下茎はもちろん、葉や花、おしべ、花托、種子などは漢方薬の材料として使われているそう。でんぷんなどの糖質が多く、ビタミンCも豊富。でんぷんがビタミンCをコーティングしているので、加熱しても壊れにくいのです。カリウム・リン・マンガンなどのミネラルや食物繊維も含んでいます。

切った後に切り口が褐色になるのはポリフェノールの一種「タンニン」が含まれているから。タンニンは緑茶にも含まれている成分で、腸の働きを整えてくれます。
  しろいし蓮根
蓮根は冬になると甘味が増します。我が家では蓮根のしぼり汁をスムージーに加えてホットスムージーにしたり、ココアや紅茶に加えて飲んでいます。タンニンは抗炎症作用や収れん作用により喉の炎症や腫れを鎮める効果が期待できます。風邪のひき始めにも蓮根汁は大活躍。最近は蓮根だんごを作る際に搾った蓮根汁を型に流して冷凍保存し、いつでも蓮根パワーを摂取!

さて、黒木農園では、蓮根入りの味噌や粕漬け、蓮根パウダーや蓮根酢など、「しろいし蓮根」を使った加工品が多数あります。
 しろいし蓮根
蓮根を90日発酵させ、さらに90日熟成させて作った「蓮根酢」は、原材料が蓮根だけというこだわり。味見すると蓮根の風味が強く、そのままでも美味しいのですが、オリーブオイルとともにサラダにかけるだけで野菜を美味しくしてくれるような旨みを感じました。素材の良さが生きたまろやかな味わいです。

 ところで、ひーらいたー、ひーらいたー、れんげのはーながひーらいたー』というわらべ歌がありますが、この歌の「レンゲの花」は、野に咲く「レンゲソウ(ゲンゲ)の花」ではなく、実は「ハスの花(蓮華)」のことです。ハスの花は朝早く開いて、お昼ごろにはまた閉じてしまう美しく神秘的な花。
 しろいし蓮根 
仏教でいう「極楽浄土」はハスの花がたくさん咲いているところと考えられています。お釈迦さまがハスの花の上にのっている絵や仏像も多いですね。
 しろいし蓮根
(真宗大谷派大福寺の阿弥陀如来立像)

【食育メモ】
蓮根は精進料理に良く使われる食材で、穴の開いている姿から「先の見通しが良い」「見通しが明るい」や、芽が先へ先へ伸びることから「運が上向く」など、縁起物として食べられています。九州では炭鉱地区で「落盤事故にあわない」といって縁起を担いでいました。お節料理にも良く使われる縁起の良い野菜です。

蓮根は泥つきのものは泥を取らずにそのまま濡れた新聞紙にくるみ、ビニール袋に入れて冷蔵庫で保存すれば長く保存できます。秋に肥大した地下茎はハスの田んぼの中で空気や光が遮られて湿った状態で翌年春まで保存できるので、田んぼと同じような環境を保つように心がけましょう。

蓮根は料理法によって「ホクホク」「ねっとり」「シャキシャキ」と、いろいろな食感を楽しめる野菜。収穫時期も秋から翌年の春にかけて長い期間採れるので、様々な料理で楽しんでくださいね。

佐賀県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ・食育マイスターの前田成慧でした。

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