まつのベジタブルガーデン

岡山県冬の贅沢~納得おいしい!岡山備南(びなん)千両ナス

畑の社会見学

皆さまこんにちは!

東京都のまつのベジフルサポーター

冷凍生活アドバイザー・ 野菜ソムリエプロの増田智子です。

先日、私の第二の故郷ともいえる岡山県に行ってまいりました。目的は…冬に贅沢な!黒々つやつやの千両ナスの圃場を見たくて!

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夏が本来の旬である「ナス」をあえて秋から春まで作っている岡山県。

「どうしてこの時期に作るの?」
この素朴な疑問の答えを求め、主産地の岡山市備南(びなん)地域を訪ねました。

備南地域と呼ばれる岡山市南区や玉野市のあたりは、児島湾の干拓によって生み出された広い干拓地の一部で、晴れの国と言われる岡山県でも特に温暖な地方です。 
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(大麦がちょっぴり芽をだしていて、まるでグリーンの絨毯のようでした)

さえぎる物のない広い大地ではお日様をいっぱい浴びることができます。元は海だったことから、ミネラル分豊富な土壌は野菜の栽培に適しているといいます。大きな河川や用水路があることから水もたっぷり。土、日当たり、水に恵まれ、県内でも有数の野菜の産地でナスのほかにもレンコン、 稲、大麦なども栽培しています。
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千両ナスの産地であることから通称「千両街道」と言われている、まっすぐな道を走っていくと選果場が見えてきます。東京へ出荷している千両ナスのほとんどはこの備南のものです。 
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まずは選果場を見学させていただきました。

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千両ナスの出荷は昨年は9月15日から始まり、年末12月31日と年始1月1日に休んだ以外は6月末までずっと休みなしで稼働しているそうです。朝採りですでに生産者さんが9段階にも選別されてくるのですが、さらにこの選果場で機械を通してもっと細かく選別。
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最後には人の手と目を使って確認し、素早く、丁寧に箱に詰めていきます。写真の奥から左手前にむけてベルトコンベアーに流れている千両ナスがわかりますか?
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このうち一番いいものを一番前の方が拾って箱に詰め、2番目の方が次にいいものを…と詰めていきます。
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一つのレーンには3~4人ほどの方が並んで作業されていました。色つや、形、傷の有無、大きさなど、この等級には外れてしまうものが端に集まってきます。
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私の目にはこの箱のものも十分つやつやで形もいいように見えるのですが… 細かく階級分けされた上位のものには当てはまらないよ うです。

岡山では他の産地でも農産物へのこだわりは相当強いと思っていましたが…こちらでもやはり!出荷一つとってもこだわりがあるんですね!千両ナスの出荷のピークは4~6月。この3か月で全体のほぼ半分量が出荷され、選果場も大忙しとなるそうです。

続いては、実際千両ナスの圃場へ。備南施設茄子部会 部会長でこの道48年の大ベテラン、榊原治男さんのハウスをご案内いただきました。 
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入ってまずびっくりしたのはハウスの中の暖かさ。私は厚手の上着を着ていたので汗をかくほどでした。 
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重油を焚いて温度を上げ、夜でも13度を下回るようなことがないよう気を付けておられるそうです。温暖な岡山南部の気候ですが、さすがに冬の寒さには加温が必要。このところの重油の値上がりには心配されているそうです。でも今が踏ん張りどころ。 

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美味しい千両ナスを作るため、ハウスの中はお日様の力も借りナスにとって快適な状態になるようととのえられています。ただし、暑くもなりすぎないように気をつけねばなりません。

換気扇を回し空気を循環、こまめな換気をし温度を調節。一気にビニールを開けると寒風に当たり、 それだけでナスは弱ってします。 
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受粉作業も一つ一つの花を人の手で行っています。ミツバチを使ったこともありますが、つやが良くならなかったり種が固くなったりと、試行錯誤の末今の方法になりました。また、花が落ちた後も果肉に色むらがないよう残った花を手作業で取り除いたり。 

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鋭いとげが作業中の手を刺すことも!) 
  葉も茂りすぎないよう、かといって減らしすぎないよう、 量を調節します。 冬の時期は栄養分を集中させるために、芽の数を制限もします。ナスの様子を見ながら、ナスと相談しながら、まめにお世話をして、とても手をかけて育てています。

害虫駆除には天敵を導入! 「ミナミキイロアザミウマ」を 食べてくれる 「タバコカスミカメ」 
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いた!これ!これ!
このちいーさな虫も千両ナスを作るのに一役かっているんですね~! 天敵のおかげで減農薬が実現し
農薬散布の手間も省けているそう。こうして、 大事に大事に育てているのは千両ナスの最大の特徴である、濃い紫色で歯切れがよい皮、  密で柔らかい果肉のため。

生産者さんのこだわりもわかったところで、いよいよ私の疑問をお聞きしてみました。 
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「なぜ、ナスの旬の夏じゃなく、秋から春に栽培しているんですか?」

旬とは違う時期に栽培することで高く売れるってこともあるけれど、岡山備南の千両ナスにとっては旬のおいしい時期だから!

い時期に露地栽培もできるけれど直射日光に当たると皮が固くなってしまう。千両ナスの柔らかさ、歯切れの良さを出すためには、 ビニールハウスによる施設栽培が欠かせません。 しかし、まさに夏の7月8月のハウス内は40度を超える温度!千両ナスにとっても、栽培する人間にとっても、 栽培に適した時期とは言えません。 
  備南の千両ナスの最盛期は4~6月。このころのハウス内は、日照時間も8月と同等となり、温度もまさに夏!ナスの栽培に最適の温度となるわけです。

なるほど~!!納得。

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圃場見学のあとは、備前施設茄子部会婦人部のみなさまが用意してくださった試食をごちそうになりました。ナス料理を作り続けて48年!のベテランお母さんの味!
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千両ナスの辛子漬け。最高です!柔らかい皮にびっくり。 そして、ピリッと辛みが追いかけてきて・・・これは~お酒にあう!

さらには、浅漬けの作り方もご指導くださり私もその場でモミモミ。翌日おいしくいただきましたよ~!!
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婦人部の皆さまに千両ナスの一番おいしい時期をお聞きしました。

やっぱり、冬かねえ~

4~6月の最盛期はもちろんおいしいですが、夏とは反対の時期の冬においしく食べられるってことは…相当の贅沢ですよね!個人的にもお鍋などの熱い料理の箸休めにナスの漬物。最高だと思います!とろけるアツアツのグラタンもいいかなあ。

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今回千両ナスの圃場を見学して、ますます岡山の農産物やそれに関わる皆様の熱い想いとこだわりを感じました美味しいものを作るためには手間ひまは惜しまず、妥協はしない。いいものを作る!その高いプライドに感動しました。

今年も『東京都の』まつのベジフルサポーターですが、岡山も応援をしていきます。

最後になりましたが、備南施設茄子部会の皆さま、婦人部の皆さま、JAの皆さま、県の関係者の皆さま、本当にありがとうございました!

以上

東京都のまつのベジフルサポーター

冷凍生活アドバイザー・ 野菜ソムリエプロの増田智子でした。

 

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