ベジフルサポータージャーナル

青森県在来津軽「清水森ナンバ」の可能性を探る

まつのベジフルサポーターレポート

みなさま、こんにちは!青森県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、ベジフルビューティーアドバイザーの欠畑(かけはた)睦子です。

今年も「ヤーヤドー」という掛け声とともに、笛と太鼓の音が響き賑わう「弘前ねぷた祭り」が盛大に開催されました。武者絵の「鏡絵」と幽玄な「見送り絵」の対比が印象的な扇型が特徴の「弘前ねぷた」は、国の指定重要無形民俗文化財でもあり、弘前ねぷた囃子は「日本の音風景100選」に認定されています。
そんな歴史のある城下町・弘前から、私自身もまだ一度も生で食べたことがない在来トウガラシ「清水森ナンバ」(しみずもりなんば)を紹介します。
今回、「津軽藩ねぷた村」を訪ね、理事長でもあり「清水森ナンバ」ブランド確立研究会会長の中村元彦さんからお話を聞くことができました。

お会いして早々「激辛もありますよ!」と微笑む中村さん、ほんのり上品で甘辛な「清水森ナンバソフトクリーム」をご馳走してくださいました。

弘前在来トウガラシは400年前に津軽の藩祖、津軽為信が京都伏見から持ち帰り広めたと伝えられ、古くから栽培されてきました。昭和30年頃には10ヘクタールほど作付され、全国でも有数のトウガラシ産地でしたが、昭和40年代後半から安価な輸入物の影響により作付が激減し、平成10年頃には20~30アールのみとなりました。

生産者は平成元年頃まで清水森地区でただ一人自家採種をしながら特有の形と味を維持し、栽培していた故・吉川兼作さんだけとなり、その存続が危ぶまれていた矢先、弘前大学のトウガラシ名誉博士と呼ばれた故・嵯峨紘一教授の目にとまり、中村さんを含む民間有志で勉強会が始まりました。

平成16年には「在来津軽・清水森ナンバブランド確立研究会」が発足され、現在2代目トウガラシ博士の前田智雄先生、弘前大学、青森県特産品センター、弘前地域農業改良普及センターなどが加わり、徐々に生産者数や生産面積も増え、産地として復活。弘前の地域ブランドとして注目されています。

清水森ナンバは露地栽培で1人200本まで苗の供給が受けられるとあり、現在生産者は70名あまり、生産量も22トンまで増えました。清水森ナンバは1本から3~5キロ生産でき、作業負担も少ないため、高齢者でも栽培可能な作物としても広まり、現在80歳の生産者さんもいるそうです。

弘前大学では、系統維持のため隔離圃場で採種し、苗は小堀農園で、混在しないよう徹底した種苗管理を行い、研究会加入者限定で生産しています。また、地域の教育現場での活用や実業高校での栽培・加工実習に取り入れられたりと、地域の宝として認知度を上げています。

みなさんもご存じの映画「八甲田山」。実際に八甲田雪中行軍が靴の中に忍ばせ、軍人の足の保温、凍傷を防ぐ役目をしたという偉大なトウガラシでもあります。

それでは、弘前城下町伝統的建造物保存地区内にある清水森ナンバの畑へ向かいました。
ここは周辺の料理人の方々に自由に使ってもらえるよう開放している畑だそう。ここでは漁師さんから譲ってもらった網を枝の支えとして利用し、整枝・誘引しています。黒いビニールマットで除草し、経費や作業の軽減、リサイクルにも努めています。株間は45~70センチで1本植えとし、収穫は6月中旬から10月初旬まで行われます。

弘前在来トウガラシ「清水森ナンバ」は伏見品種群に属し、ヘタに近いほど角張っているのが特徴で、時には20センチにもなる大長型で、枝は1メートルにも成長するそうです。
私が訪問したときは濃赤色の成熟果にはまだ少し早かったようです。

使用目的に合わせて収穫できるよう疑似トウガラシなるものがあり、既定通りに収穫されます。

収穫されたトウガラシは主に加工販売用。清水森ナンバで作ったペーストはマイルドな辛さが特徴で、グリーンカレーにも使用され好評を得ています。


清水森ナンバは、青から赤へ成熟するにつれて穏やかな辛みが増し、成熟果でも一般的な鷹の爪の3分の1の辛さだそう。糖分含有量は他品種より多く、甘みがあり、とても香りが豊かです。なんとビタミンACEの含有量は日本在来トウガラシ品種の中ではトップクラス。
(参考文献:「弘前在来トウガラシ・清水森ナンバ-その由来と栽培法」より)

薬膳にも取り入れられる「トウガラシ」はナス科トウガラシ属、原産地は熱帯アメリカ。多年生ですが冬の津軽では越冬できないため一年生。

トウガラシに含まれる辛みのもとであるカプサイシンは消化吸収を助け、食欲増進効果があります。血行を良くし体を温め、エネルギー代謝を促進してくれますから肥満防止やダイエット効果も期待できます。ただ、高血圧や更年期症状がある方は控えたほうがいいでしょう。

収穫した貴重な生の清水森ナンバを使い、念願の台湾料理「小魚花生(シャオユイホワション)」ピーナッツと小魚のピリ辛炒めを作りました。カルシウムやビタミンがたっぷり、ほどよい辛さと甘さでついつい食べ過ぎてしまいます。

栄養面から見ても食品価値の高い「清水森ナンバ」。「なぜ在来野菜種なのか」と、来年は園芸学会でも発表されるそうです。また、現在は子供でも食べられるトウガラシや種が発芽しない赤の完熟果を生で提供できるよう共同研究も進んでいます。医学界においてもトウガラシに含まれるカプサイシンは麻酔覚醒効果が期待され、研究が進んでいるようですね。在来作物トウガラシ「清水森ナンバ」の可能性は広がるばかりです。

青森県まつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、ベジフルビューティーアドバイザーの欠畑睦子でした。

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