まつのベジタブルガーデン

サクランボの新しい栽培方法を開拓!【箭本農園】

野菜・果物品目レポート
山梨県のまつのベジフルサポーター、ジュニア野菜ソムリエ、フリーエディター&ライターの藤原恵里です。

サクランボというと山梨県では南アルプス市が有名ですが、甲州市や山梨市、笛吹市、甲斐市、北杜市など、県内の至るところでサクランボは生産されています。

先月中旬のことですが、甲斐市でサクランボ農園を営む「箭本(ヤモト)農園」箭本孝徳さんを訪ねました。早速、ハウスの中に入ってみると…

サクランボの木が整然と並び、その枝が真っ直ぐに横に伸びています!!

想像していたサクランボ園とは全く違うその様子に驚かされ、これまでのイメージが覆されました!

脚立の移動を楽に行い、作業をしやすくしようとこのような仕立て方法を思いついたという箭本孝徳さん。

ハウスを増やすにあたり、より省力化を図ろうと、枝を横に誘引することで一列に這わせる方法を考えついたそう。横にまっすぐ伸びる枝には、真っ赤で大粒なサクランボがたくさん実っていました!

木の上部と下部で果実の品質が異なると、1箱の中で味のムラが出てしまう…そのムラをなくしたいと、できるだけ広く間隔を空けて、日光が下まで届くようにしたそうです。でも、このような仕立て方法だと、やはり収量は減ってしまいますが、「品質にムラのない美味しいサクランボを作りたい」という想いを貫いた箭本さん。「これだけ木々の空間が広いと、風通しが良いので病気にもかからないし、農薬の回数も減らすことができます」

また、こまめに摘芯をして、葉を半分に切っておくのが箭本さん流。

果実にしっかりと日光を当てることで、鮮やかな真紅色のサクランボになるそうです。

さて、今回、試食させていただいたのは、佐藤錦紅秀峰の2品種。そのどちらもが濃厚な赤色に染まり、驚く程甘みがのって、糖度が高くなっています。


どの木のどの部分の果実を取ってみても、どれもが甘みたっぷりなのには本当にビックリでした!見事に味の統一を実現されています。


糖度の高いサクランボを作るため、窒素分の少ないそばがら堆肥を使ったり、固くしまった土壌はサクランボに悪影響だと、草生栽培でふかふかの土にしています。除草剤を使わずに済むだけでなく、このようにミミズもいっぱい!

「品質の良い美味しいサクランボをつくりたい!」その強い想いが原動力となり、試行錯誤を重ねて独自の栽培方法を確立し、高品質のサクランボの生産を可能にした箭本さん。その功績は高く評価され、今年の春、「第42回日本農業賞山梨県審査会個別経営の部最優秀賞」を受賞されました。

今年のサクランボの収穫はすでに終わってしまいましたが、また来年、箭本さんの美味しいサクランボに出会えるのを楽しみにしています…!!

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