熊本県まつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロの佐藤真美です。
今回は、松野社長と長崎県東彼杵(ひがしそのぎ)郡の「小串トマト(おぐしとまと)」を視察して参りました。
小串トマト…トマトが串に刺さっているのかな〜?と社長と話していましたら、小串とは地名のことで、小串郷と呼ばれる地域で生産されているため「小串トマト」と呼ばれています。
小串郷の直売所「グリーン東彼杵新鮮市場」に立ち寄ると小串トマトがズラリ!
それも見て下さい!このトマトに入ったスターマーク(星状の印)!社長もこのスターマークを見て、とても甘そうだと驚かれていました。
トマトのおしりの部分だけスターマーク(星状の印)入っているのは見かけますが、葉の近くまでくっきり入ったスターマークを見たのは初めてでした。
ほとんど箱単位で売られており、地域でも人気が高いのが伺えます。ポップに幻のトマトと書かれていますが…小串トマトとは、一体どんなトマトなのでしょう?
ご案内していただいたのは、小串トマト組合で生産者でもある、一瀬 薫さん。私たちは、一瀬さんのハウスを訪問させていただきました。
ハウスに入るとまずトマトの香りで包まれました。
「トマトの香りが強いですね!いろんなトマトのハウスに行ったけれども、こんなに強い香りがするのは珍しい」と社長。
そして、トマトにガブリ!「甘い!」真っ赤に熟れたトマトは、甘さはもちろん、酸味のバランスもよく、塩分も感じられ濃厚な旨みもありました。
小串トマトの品種は「華美」というもの。12月後半から5月、6月頃にかけて栽培されますが、1月から3月後半まで水を与えないということでした。
「大丈夫なんですか?葉が枯れたりしないんですか?」との質問に、「葉が枯れても、茎がしなっても、ギリギリまで水をあげないことがこの甘さに繋がる。一滴もあげません。」とのこと。トマト自体が根や茎に生えている産毛から水分を吸収しているため、トマトが枯れることはありません。
実は私もトマトを栽培していますが、葉が垂れてきたら水を与えるものだと思っていました。
そして、この水を与えないことに至った経緯には、ある一つのストーリーがあったのです。
一瀬さんの生産歴は約30年。ある年、トマトが「すじ腐れ」という病気にかかってしまいました。すじ腐れとは、まだトマトが完熟されてないときに、土に含まれるチッソが過剰であったり、カリウム不足である状態で水を与えると、そのままトマトが水を吸い上げるため、トマトの果皮の色や形、固さなどが悪くなることです。
そこで一瀬さんは、追肥をせず元肥中心にし、水を与えないという選択をしました。
すると、どうでしょう!
綺麗なスターマークの入った甘いトマトが実ったのです。その後、栽培しているすべてのトマトをそのような栽培法に変え、小串トマトは幻のトマトとして生まれ変わったのでした。
また、この地域は大村湾という海辺に近い場所で、日当りもよくトマト栽培には適した地なのですが、やはり冬はハウス内の温度管理が大切です。
「冬の温度管理は大変でしょう?結構燃料代がかかるのではないですか?」と社長からの問いかけに、
「いや。エアコンにしてから安くなりました。」と一瀬さん。
昔は重油を使ってハウスを温めていたそうですが、エアコンにしてコストダウンし、さらに除湿もしてくれるので、トマトが病気になりにくくなったそうです。
小串トマトは、おいしさの追求のため収量が採れないということもあり、まだまだ認知度が低いとのことですが、現在では地産地消を目的とし、長崎県と福岡県を中心に販売。ドレッシングや鍋スープといった加工品も販売されています。
お問い合わせ:JAながさき県央
その地域に行って、現地を視察し、生産者から直接話しを聞いたからこそ感動する野菜がたくさんあります。社長も「小串トマト、よかったな〜!」と帰りの道中でも、小串トマトの余韻に浸られていらっしゃいました。先ほどの直売所にて、小串トマトのお買い上げ。帰られてからも、甘い小串トマトを堪能されたことでしょう。
熊本県まつのベジフルサポーター野菜ソムリエプロの佐藤真美でした。