提携産地レポート

千葉県JA長生施設野菜部会青年部 交流会リポート

商品部の甲(こう)です。千葉県の東部に位置し九十九里浜最南部にあるJA長生(ちょうせい)トマト部会青年部の、年に一度の出荷先取引先交流会に参加させて戴きました。


「長生トマト」は春トマト、抑制トマト、越冬トマトと周年栽培を行い、九十九里浜の温暖な気候と砂地という環境、首都圏から1時間という立地条件を活かし、樹上で完熟させてから収穫を行っています。

2016年3月には青年部会石井さんを筆頭に農事組合法人『長生フロンティアファーム』約16,500㎡(5,000坪)を起ち上げ、総合環境制御など最新鋭トマトハウスを増設。

ロックウール栽培で越冬長段作、温度、湿度、CO2を最適なコントールを可能とする最新鋭の設備を導入されました。

ロックウールとはその名の通り、岩石(鉄鉱石)を繊維状に加工したもの。溶融炉の高温で岩石を溶かし、遠心力で吹き飛ばすことで綿アメの要領で繊維状の素材になるのです。

ロックウールは保水性と通気性に優れ、植物の根に水分と酸素を同時に供給できる優れた培地。農薬の使用を抑えながら連作も可能になるなど、さまざまなメリットが評価されています。


青年部部長室川さんは以前までは土耕栽培でしたが、今年より土耕栽培に加えて長生フロンティアファームのロックウール栽培を行っています。

品種は麗容。8月に播種し9月に定植し現在18段開花しています。低温で日照時間が短い時期をいかに乗り超えるかが春先のトマトの収穫に大きく影響を受けるため温度、湿度、かん水、追肥と管理が多岐に渡ります。


「小さい時に食べていた美味しい長生トマトを作りたい」「糖度7度~8度のM、Lサイズを中心に栽培していきたい」「どんなに技術があって美味しい物を作っても、環境の変化についていけることが何より大切」「データーでも管理し、五感でも感じる」と熱く語っていた姿が印象的でした。

現在はハウスの増設を機に新規雇用をされ、人を育てるやりがいも感じて毎日が充実しているとのこと。

独自でも岩塩をロックウールの一部に撒いて試験栽培を行い、他産地へも足繫く視察に出向き『人生がトマト』という、トマトへかける情熱は益々パワーアップしておられました。

 

春トマト試験品種土耕栽培
長生施設野菜部会春トマト部、加藤さんのハウスも見学させて戴きました。

こちらのハウスでは一段に3~4玉と着果数を統一。節間が短く樹勢もあり、力強いトマトの香りが漂うハウスです。

こちらで試験栽培されるのは、桃太郎系の新品種と麗容系の新品種の2品種。青年部会に負けず、長年培った技術を活かして新しい取り組みにチャレンジされています。このような先輩が現役でおられる事も、青年部会の皆様のトマトへの探求心に火をつけているのだと強く感じました。

昨年は他県産地も含め、天候不良や病害等による作柄不良や生育遅れから、数量不足が例年になく著しい状況でした。そのため毎年行っている店舗への促進販売時には販促用のトマトの棚を十分に確保できず苦労されたそうです。

そんな中でも例年行っていることから「顔なじみのお客様もできた」と青年部会の皆さん。一歩ずつ前へ前へと進んでおられることを感じました。

2年前、2015年の本会で新規就農者としてお会いした田辺さんが、今年度の千葉県青年農業者会にて事例を報告し、意見発表の部で最優優秀賞を受賞されていました。

JA長生施設野菜部会(青年部会も含む)は現在148名。在籍人数は徐々に減少傾向ですが、収益性の高い一作長取りに取り組み『規模拡大』と『単収増加』を掲げ、若い担い手の育成や新しい事業の拡大を目標に、今季は『トマト年間出荷量120万ケース』を目指しておられます。またオリンピックを期に国際化を見つめGAPに取り組んでいくとの目標も伺いました。

地域のシンボルでもある、歴史ある長生トマト。『味よし、色よし、鮮度よし』をモットーに伝統を残し、新しいことにもチャレンジして行かれる姿、本当にこれからが楽しみな魅力的な産地です。

交流会時に宿泊した『一宮館』の朝食バイキングにてトマトが提供されていました。

宿泊されていたお客さんが『このトマト美味しい』と言ってお代わりされていました。長生さんの熱い思い、美味しいトマトがもう既に届いているんだと感じ、私も嬉しく思い心に響きました。もちろん、私もトマトをお代わり。いつまでも『熱い青年の心』をもったご自慢の美味しいトマト、今後も大切にお客様にお届けして参ります。

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