ベジフルサポータージャーナル

佐賀県ハウス極早生「さが春一番たまねぎ」はうまかばい!(後編)

まつのベジフルサポーターレポート

佐賀県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、食育マイスター前田成慧です。

前編に続いて毎年4月10日まで出荷される新たまねぎ【さが春一番たまねぎ】をご紹介します。

佐賀県杵島郡白石町はたまねぎとれんこんの一大産地。たまねぎの出荷量は佐賀県全体の48パーセントを占めるほど。たまねぎ農家の重富啓介さんは、ご夫婦で90アールの敷地にたまねぎを作付し、年間約5トンを出荷しています。

ハウスたまねぎは4棟、12アールで栽培していて、極早生品種でもハウス栽培ものを農協(JAさが)が商標登録している【さが春一番たまねぎ】として、そのほとんどを出荷しています。通称「春一番」と農家の方々は呼んでいます。
さが春一番たまねぎ
3月下旬、ハウス内の収穫風景を見せていただきました。
さが春一番たまねぎ
一週間前の訪問時よりも葉が倒れています。「そろそろ美味しいので収穫してください!」と、たまねぎたちの声が聞こえてきそうですね。
さが春一番たまねぎ
夫婦二人三脚の収穫作業。腰を折り、端からどんどんたまねぎを引き抜いていきます。
さが春一番たまねぎ
それから、しゃがみ込んで、ハサミで根の部分と葉の部分を切り落します。
さが春一番たまねぎ
ハウス内の収穫作業が終了すると、コンテナに入れて運びだします。
さが春一番たまねぎ
運び出されたたまねぎは選別機に入れます。回転するローラーによって表面の皮をある程度落としながら、コロコロと進んでいきます。
さが春一番たまねぎ
ベルトコンベアーのようにたまねぎが運ばれた先は、サイズを分けるライン。さが春一番たまねぎ
たまねぎが大小様々なサイズの穴を通りSS・S・M・Lといったサイズに選別されます。
さが春一番たまねぎ
機械に通しても斜めに落ちたりとサイズのムラが出るので、最後はたまねぎ規格版を使い目視で選別します。
さが春一番たまねぎ
【さが春一番たまねぎ】の箱には頭がたまねぎの「しろいしみのりちゃん」という白石町のゆるキャラが描かれています。たまねぎの他、いちご、れんこん、のり、米などのトレードマークです。
さが春一番たまねぎ
ハウス栽培の極早生たまねぎの収穫期間は1週間。葉が倒れてすぐに収穫したたまねぎは葉も美味しく食べられます。通常たまねぎは葉が枯れてから収穫する野菜なので、普段なかなか味わうことができません。さが春一番たまねぎ
重富さんは直売所限定で「葉付の新たまねぎ」 として販売をすることも。ただし、年に7日程度しか葉付のものは出回らないため大変貴重です。

重富さんの【さが春一番たまねぎ】おすすめの食べ方は、ぜひ生で!とのこと。
さが春一番たまねぎ
「生!これが一番うまい!!ごはんみたいにイケル!!」という重富さんの言葉に驚きました。ご飯のように食べられるとは?でも、実際に生で食べてみてわかりました。 辛味が少なく甘い!旨みもあり、さっぱりとしているのです。白米のように純白で美しい姿。重富さんはどんぶりでもりもり食べるのだとか。

本来の味を楽しめるように、ドレッシングなどはかけずに少量の醤油のみで、かつお節などもかけないそうです。縦切りと横切り両方のスライスを混ぜ込んで食感をハッキリさせるのも美味しく食べるコツ。
 さが春一番たまねぎ
葉付の【さが春一番たまねぎ】は中華風スープに。葉の旨みを感じる一品になりました。煮たり、焼いたりすると甘味を増すたまねぎの葉。葉の中に含まれるプルプルとした食感のゼリー状のものは、白ねぎなどの中に含まれるものと同じ粘物質(セルロールや水溶性ペクチンなどからなる多糖類)、甘味が多く身体を温めてくれます。
さが春一番たまねぎ
茹でて「ぐるぐる」にもしてみました。酢味噌で味わう一文字ぐるぐる(熊本の郷土料理、わけぎを使った料理)は、普段から長ねぎでつくるのですが、加熱すると柔らかく甘みと旨みがありました。
 さが春一番たまねぎ
焼いただけの葉は付け合せも手軽で美味しい一品。実は我が家もたまねぎと稲の二毛作をしています。今年は収穫前に自家消費用に葉もたくさん収穫しようと考えています。【さが春一番たまねぎ】は生食が最適ですが、焼いてもとても甘く旨みがあるので、どんな料理にも合います。輪切りのたまねぎを少しだけ焼き、すき焼き風にしたり、バーベキューも最高ですね。カレーはお子様向けの甘い味わいになるそう。   

【食育メモ】
たまねぎはどこを食べているのでしょう?球根?茎?正解は葉です。「鱗葉(りんよう)」(貯蔵葉)といいます。葉緑素がなく光合成をしないため色が白いのが特徴です。りん葉は6~12枚ほど重なっています。葉が倒れると30~60日間眠り、また新しい葉を伸ばします。収穫後の保管は吊り下げ、よく風が通るように乾かしましょう。たまねぎ農家は専用のたまねぎ小屋で乾燥させます。佐賀県では稲作が始まる6月上旬までに収穫を済ませ、たまねぎ小屋にたまねぎがぎっしりと並ぶ6月の風物詩です。
  さが春一番たまねぎ
実はたまねぎと人の歴史は古く、紀元前3000年頃の古代エジプトの壁画にたまねぎが描かれているほど。ピラミッドを造る労働者へ賃金として支給されていたという説もあります。日本には江戸時代に長崎に伝わりましたがその時は広まらず、1879年にアメリカから扁平で辛いたまねぎが導入されて本格的な栽培が始まりました。家庭の常備野菜として食べられるようになったのは今から100年ほど前からなのです。  

たまねぎは様々な料理に欠かせない野菜。栽培は気温や雨の降り方、日の長さなどが重要で、季節との関わりを理解し毎日観察しながら大切に育てられています。「言葉のない生き物のようだ」という人がいます。美味しく育てるために日々手入れをして、機嫌をそこねないようにたまねぎの気持ちをくみとらねばなりません。愛情のこもった「さが春一番たまねぎ」をたくさんの方に味わってもらいたいです。

佐賀県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエ・食育マイスター前田成慧でした。

参考文献:川崎重治(2005)そだててあそぼうタマネギの絵本,農文協

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