皆様こんにちは。DJコウこと、商品部の甲将明です。
今回は、秋田県鹿角市に位置するJAかづのに伺ってまいりました。当日は7月下旬までの曇天が嘘のような晴天で、気温は29度あり汗ばむ陽気。秋田県内では最高気温が35度を超える猛暑日が各地で何日も記録されるなど、冷涼なはずの東北の地でも暑い日が続いています。
トマトやきゅうり、アスパラガス、枝豆、長ねぎ等を生産されている産地ですが、お邪魔したのはトマト生産部会です。農業従事歴33年と大ベテランの工藤征悦さんのハウスを視察させていただきました。
栽培品種は「桃太郎ワンダー」。2017年6月に品種登録出願がされ、現在も出願中の注目の新品種です。果実の大きさ・形がよく揃って秀品率が高く、栽培後半、トマトの樹が疲れてくる時期にもスタミナが持続するため、最後まで安定した収量がとれるといわれています。
「昨年は小玉傾向だったけれど、今年は品種を変えたこともあり大玉傾向ですね。ただ、桃太郎ワンダーは今までの品種より水を多く必要とするので、水やりの管理が難しい品種です」と工藤さん。
「葉を弱らせないこと、樹をちゃんとつくる(育てる)こと、ちゃんと手を入れること」が工藤さんがトマト栽培で大切にしていること。
今年は樹が暑さに負け、根から養分を吸い上げる力が弱まるため、肥料をとかした水(養液)を葉に散布する「葉面散布」にも力を入れ、猛暑対策をされています。
ハウスの中の気温は外よりもさらに高く、暑い中での手作業になりますが、葉は根よりもトマトの実に近いことから葉面散布は即効性が期待できるため、手間ひまをかけておられます。
視察当日は気温が高かったこともあり、高温期のトマト栽培で見られる裂果や高温障害を防止する遮光シートをはり、
ハウスの上部を開けて風通しを良くし、室内の温度調節を行うなどの管理もされていました。
ハウスの入り口には防虫のための花を植え、農薬の使用をなるべく抑える工夫もされています。
そんな工藤さんのハウスですが、6月の初期の低温により生育に遅れが生じたうえに、7月の高温でトマト花が落ちてしまい、実がついていない段もあります。改めて野菜づくりの難しさを感じました。
現在は葉にしっかりとした葉脈もあり良い状態で、秋口には量もしっかり出てくる見込みだそうです。
そして生産者の方が収穫したトマトは選果場にてパートの方々が各等級ごとに分別確認し、カメラにてサイズや等級別に仕分けされていきます。
上の写真のレーンの色は「青」がA品(正規品)、「黄」がB品、「赤」がC品の印。はやいスピードで流れるレーンに対応して、パートスタッフの方がパッと直感的に仕分けできるよう、色で識別する工夫がされています。
お客さまに届けたいという思いから、つい収穫を急いでしまうことがあり、ハウス内で見ると赤く色づいてみえたトマトが、選果場で確認すると思いのほか色が回っていない、といったこともあるとのこと。選果場ではカラーチャート(色の基準表)に照らして、色回りがよくないものは厳しくはじかれてしまいます。
品質不良品の選果が厳しいことも、かづのの特徴です。不良が発見されたものは選果場では受け付けず、どこに問題があったか、該当する症状にチェックをつけた用紙とともに生産者に返品されるのです。
上のトマトの箱は「つゆ(ヘタ部分から果汁がしみ出ている)」「窓あき(生育途中で果皮の一部が破れ、窓が開いたようになっている)」「キズ果」「外形(変形)」にチェックがされています。
手間ひまかけて秀品率が高まるように育てたトマトも、こうした厳しい選果をくぐり抜けなければ出荷に至りません。返品を受けた生産者の方々は「次はもっといいトマトをつくろう」とさらに技術を磨きます。お客様によりよいトマトを届けたいという思いで一丸となった、農協と生産者との取り組みです。
秋田県の寒暖差のある気候の土地で自然とトマトと向き合い、手間を惜しまず大切につくられたかづののトマトは7月~9月まで、弊社に順次入荷しております。ぜひご賞味くださいませ!