まつのベジタブルガーデン

沖縄県とろっとほんのり甘いヘチマ「はえばる美瓜(びゅうりー)」

野菜・果物品目レポート

みなさまこんにちは。沖縄県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロの齋藤珠美です。

梅雨の季節、薄曇りの空から時より強い日差しに夏を感じる日々。沖縄の夏野菜と言えばゴーヤーと並び、ヘチマも定番野菜として親しまれています。

本土ではたわしや化粧水を想像すると思いますが、沖縄では夏を代表する伝統的農産物のひとつです。沖縄県の南風原町では食用ヘチマの栽培が盛んに行われており、平成24年に南風原町で生産されたヘチマを「はえばる美瓜(びゅうりー)」と呼び、地域ブランドとして発信するようになりました。「beauty(ビューティ)」と「瓜」を掛け合わせたネーミングは、健康にも美容にもよいヘルシーで美味しい野菜を連想させる名前ですよね。

別名は糸瓜(いとうり)、沖縄方言でナーベーラー。その昔ヘチマの繊維で鍋(ナービ)を洗っていたことから由来しており、「ナービアラヤー(鍋洗い)」が変化したものだそう。夏の野菜として県内では広く食されるヘチマですが、最近ではハウス栽培が普及し、一年を通して出荷が可能になりました。大きな葉とつるに覆われた中に、黄色の花が色鮮やかに咲いています。

今回、南風原町山川地区の生産者の神里靖さん、和美さんご夫婦を訪ねました。神里さんは400坪の敷地で、年間約10トンのヘチマを出荷しています。

種子は自家採取しており、ハウスの換気方法なども「こだわりをもって日々手入れをしています」と靖さん。収穫や出荷の袋詰めを担当するのは和美さん。袋の入れ方や入れる本数など、日々考えをめぐらせながら作業をしているそうです。ファーマーズマーケットで自分たちのヘチマが売れていると「とってもうれしくて!早く納品に行かなくちゃ」とにこやかに話します。

そんな神里さんのヘチマは、はえばる美瓜(びゅうりー)の名前の通り、スラリとしてビューティフル。大きくて鮮やかな黄色い花を咲かせるヘチマは、雄花と雌花がありハウス栽培では受粉作業を行います。

雌花は花の下に小さなヘチマの赤ちゃんがついています。

沖縄では繊維が発達しにくい品種を栽培しており、開花から2週間の若い実を食用とします。長さ20~25センチが食べ頃。ヘチマの旬は5〜9月で、ハウス栽培は11~6月まで、7月からは露地栽培のヘチマが出回ります。

神里さんの愛情がたっぷり注がれたヘチマは、主に農協・市場・近くのファーマーズなどに出荷されます。

「少しだけ栽培しているサラダヘチマがあるから見ていって」と和美さん。生でも食べれるヘチマ、見ての通り従来の細長いヘチマと比べると太くてずっしりとした重さの枕型。こちら、近所のおばぁ達には人気なんだとか。

ヘチマは水分が豊富で低カロリーな野菜。ゴーヤーやキュウリと同様、体温を下げる作用があると言われています。

「煮る・茹でる・焼く・揚げる」の調理法でヘチマ料理をご紹介したいと思います。まず下ごしらえの皮むきは、包丁で皮をこそぐか、ピーラーで薄くむくと鮮やかな緑色が残り、彩りも楽しめます。

こちらは、沖縄の多くの家庭で親しまれているヘチマ料理の定番、ナーベーラーンブシー(ヘチマの味噌煮)。ンブシーとは味噌を使った煮込み料理で、ヘチマと島豆腐(沖縄の木綿豆腐)、ポーク缶を入れて味噌で煮込みます。じっくり味を染み込ませたヘチマはとろりとした食感。煮ると独特の甘味のある汁がでてきて、これが味噌とからみ、ご飯によく合うんです。

サラダヘチマは、みずみずしく青臭さが少ないので、生で食べることができるヘチマ。また、さっと茹でることでさらに食べやすくなり、加熱しても黒ずみや変色が少なく、料理の仕上がりも美しいです。カラフルな野菜をのせて、「ゆでヘチマのサラダ カルパッチョ風」に。暑い夏につるりと食べれるサラダです。

独特の泥くさい匂いがちょっと苦手、なんて方はこちらがおすすめ。「ヘチマのチーズステーキ」2センチ程の厚めの輪切りにし、フライパンにニンニクオイルでじっくり火を通します。両面こんがり焼き色がついたら、仕上げにめんつゆで味付け、チーズをのせてニンニクチップを散らした一品です。
こちらは冷やして食べてもおいしい、ヘチマの揚げ浸し。つるりとしたのど越しに食欲もアップ、暑い夏にはぴったり。輪切りにするのが定番ですが、短冊状に切ったり乱切りなど、いろんな切り方をすることでアレンジの幅も広がります。

調理法に困ったときは、ナスやズッキーニの感覚で!ラタトゥイユやマーボーナス風、フライもおすすめです。

ヘチマの若い実を食べるのは沖縄ならではの食習慣。今年は健康と美容にもよい「はえばる美瓜(びゅうりー)」を食卓に取り入れ、これから迎える暑い夏を乗り切りたいと思います!

沖縄県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロの齋藤珠美でした。

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