提携産地レポート

長野県川上村 干ばつによるレタスへの影響(後編)

関東流通センター2部センター長の外山竜太です。今回は前編では書ききれなかったことをお伝えしたいと思います。

※川上村 干ばつによるレタスへの影響(前編)

品種について
前編で紹介致しました「ルシナ66」ですが、実は親品種にタンポポが入っているのです。とはいっても1%~5%ぐらいだそうですが、なぜタンポポに注目したかというと、実はレタスはキク科なのです。タンポポもキク科。そしてタンポポの根はレース2(線虫)に強いそうです。

自分の圃場にレース2がいなくても、近隣の圃場にレース2がいると風に乗って飛んできてしまう。つまり油断大敵ということでしょう。

そこでタンポポの特性に目を付けた種苗会社が品種改良をしてつくったのが、ルシナ66です。そのため育ったレタスを長期間そのままにしておくと、小さな菊の花が咲きます。

高原ならではの苦労について
川上集荷センター近くの圃場にはすぐ近くに川があり、山の上の方にも川が流れています。川に近い圃場は水を引くことができますが、以前の川上村では山の中間エリアには水の供給がなく、農業ができませんでした。

作物を育てるためには水は必要不可欠。ではどうするか。

現在の川上村では、以下の方法で2つの川から標高差のある圃場に水を供給しています。
・下の川から長いホースを使って圃場のある高い場所まで水を引き上げる。
・山の上の川から水を引く専用施設をつくり、下の圃場に供給する。

今回お伺いした小川グリーン研究会 原幸宏さんの圃場も、川上集荷センターから少し上、山の中間地点にあり、後者の方法で上の川からの供給を受けています。

下の写真は、専用施設から水を引くための水管。水管からホースを伸ばして畑に灌水しています。

いくつかの圃場をお持ちの幸宏さん。今回うかがった圃場はホースでの冠水ですが、他の圃場では50センチくらいのトラクターに当たらない大きさのスプリンクラーを使用しているそうです。

幸宏さんいわく、20年に1度ぐらいのペースで各農家さんが交代で、専用施設の管理当番をしているそうです。山の上のにある川から水を引いてくるため、水源に落ち葉や枯れ葉が溜まってしまうと水が圃場まで来なくなってしまいます。

そのため定期的に様子を見に行き、清掃などの管理をしているそうです。あまりにも各生産者さんが大量の水を使うと、専用施設とはいえ、最終的には水不足になります。そうしたときには使用規制がかかってしまうこともあります。

山の上で農業をするのは、私たちの知らないたくさんの苦労があることを学ばせていただきました。

雨の降りかたについて
雨が降ることは必要なことです。しかし、その降りかたが重要なポイントです。どのような降りかたが良いのか。それは、強すぎず、ゆっくりシトシトと長い時間をかけて降ることです。

通り雨や夕立ではどうでしょうか。実際に、強い夕立があった日に川上村の様子を見に行ってみました。

圃場の畝の間に水たまりができてしまっています。

また圃場同士の通路にも水が溜まっています。

こちらは道路の写真です。

時間でいうと10~15分程の雨でしょうか。すぐ止んだにも関わらず、このような状態になってしまっています。排水しようと、生産者の方々が必死に頑張っておられました。

それに比べ、この場所よりも少し高い場所にある幸宏さんの圃場は、同様に雨は降りましたが、土が乾いたままでした。強い雨や激しい雨の場合、土に浸透する前に全部水が流れてしまうからです。

美味しいレタスを提供できるのは
生産者の方々の愛情と信念があるからこそ
川上村レタスは、干ばつにより苦しんでいる生産者さんがいることが今の状況です。また、部分的には不結球が始まっています。

私たちが皆様に美味しいレタスを提供できるのは、生産者さんのレタスへの愛情と、どんな苦労があろうとも美味しいレタスを届けるのだという強い信念があるからこそだと、私は考えます。

今回は干ばつの苦しさと、その苦しさを乗り越えようと日々圃場に行き干ばつと戦う生産者さんのレタスへの愛情と強い信念、またレタス栽培のあり方や天候の重大さなど、多くの気づきと学びをいただくことができました。小川グリーン研究会の原幸宏さん、お時間をつくっていただきありがとうございました。

川上村レタスは干ばつの影響が少し見られますが、まだまだこれからが本番です。

長野川上集出荷センターより、まつの契約生産団体、小川グリーン研究会のメンバーをはじめ近隣の生産団体の方々、そしてまつの関東流通センター選抜メンバー一同、このシーズン、皆様に美味しいレタスをお届けできるよう、共に頑張っていきますので、ぜひ美味しいレタスを味わってください。

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