三重県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロの小畑貴子です。
そのまま飲んでも美味しい油をご存知ですか?今回は私が一口飲んで惚れてしまった「生搾りえごま油」をご紹介します。
水質が最も良好と認められた清流「宮川」が東西に細長い町を横断するように流れ、美しい大自然に囲まれた三重県多気郡大台町(参考:国土交通省一級河川水質調査)。
多気郡農協奥伊勢地区の女性部が2年半ほど前に特産物になる作物を模索したところ、獣害にも強く、自分たちの健康づくりにも役立つ「えごま」に注目。「奥伊勢えごまプロジェクト」として共同畑等でえごまの栽培を始めたのがはじまりだそう。その特産物第1弾として生搾りえごま油が生まれました。
福島などでは食べると「10年長生きする」といういわれから、「ジュウネン」と呼ばれているえごまは名前に「ごま」がつくのでごまの一種だと思われますが、シソ科の一年草で私たちには親しみがある青しその変種になります。青しそと比べて、葉が大きく、独特の強い風味があるので肉を巻いたりして食べると美味しくいただけます。
その実からとれるえごま油には身体では合成することができないα-リノレン酸を脂質の60%ほど含み、植物油の中ではトップクラス。 (参考サイト:国民生活センター・見た目だけではわからないえごま油の品質)α-リノレン酸は身体に入るとDHAやEPAに変化し、皮膚の健康維持を助ける栄養素で、生活習慣病予防が期待できます。 えごま油なら小さじスプーン1杯で1日の必要量が摂取できるので習慣として続けやすそうですね。
今回は「奥伊勢えごまプロジェクト」の中心となって活動されている多気郡農業協同組合奥伊勢営農センターの𠮷田みやこさんを訪ね、搾油の現場を見学しました。
こちらのえごま油は安心・安全にこだわり、種まきから収穫、洗浄、選別、昨年12月には直圧式圧搾機を導入して搾油までの一貫して行なっています。
「ゴミを取り除く作業は人の目でしかできない細かな作業で、時間と手間がかかります」と𠮷田さん。美味しいものを作るための苦労が伝わってきました。
去年の秋に収穫されたえごまの実は濾布に入れて圧搾機にセットします。最初はちょろちょろと最後にはポタポタとゆっくり黄金色のえごま油が絞られてきました。
贅沢にも搾りたてを飲ませていただきました。
コールドプレスの搾りたてはまったくクセがなく、粘りも少なく、まるでジュースのようなさわやかさ。
畑によって、味や風味が違うのだそう。私は2つの畑のえごま油を味見したら、まさにその通りでした。畑ごとに混ぜずに絞っていくので、それぞれ瓶ごとに風味が異なるのも手作りならではの楽しさですね。 2.5キロのえごまからとれる油の量はわずかに700〜900cc。貴重な油であることがよくわかります。
えごま油は酸化しやすいので、搾油したらすぐに瓶につめていきます。
心を込めて作っていることを形でも表したかったというハートの形の瓶。女子グループならではの発想に共感しました。
バレンタインの贈り物にもピッタリですね。 美味しさと安心が人気となり、28年度は約1100本ほどはすぐに完売し、29年度は栽培面積を増やしたので2500本ほど販売予定。
美味しい食べ方を尋ねると、「 生搾りえごま油は栄養価が損なわれるため、熱を加えずにそのまま味わってください」とのこと。クセが少ないので大根おろしにかけたり、ヨーグルトやサラダにかけたりしても美味しく、私はパンにつけて食べるのがおすすめです。
えごま油を絞った搾りかすです。
えごま油の搾りかす(おから)には3割ほどα-リノール酸が残っているので、これを使わないともったいないですよね。今のところは商品化されていませんがこれからの活用が楽しみでもあります。
以前、𠮷田さんがえごまおからでパンを作っていたので、私もえごまおから塩パンを考案して、実際に作ってみました。
焼く前だとえごまおからのつぶつぶ感がよくわかります。
良い色に焼きあがりました。
生搾りえごま油をつけながらいただきました。
えごまおからで香ばしさを増した塩パンにえごま油をつけていただくと旨味が加わり、シンプルだけどごちそうに。
特産物第2弾として、えごまの葉を使ったお茶もデビューし、えごまのさらなる可能性を実感します。そんなえごまの魅力を発信しようと、新たな特産物の開発を目指す女性たちの挑戦はまだまだ続きます。女性たちのパワーが巻き起こしたえごまによる町おこし、これからも注目していきたいです。
三重県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロの小畑貴子でした。