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2010年 10月 30日 (土)

雨の茨城〜四季菜くらぶ〜

by トマトラヴ

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エグミが少なく美味しいほうれん草
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歯抜けになっている人参の畑。土がたくさん見えています。
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すそ枯れ病では下葉がこのように枯れていきます。
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夏の干ばつと、病気を受けて品質悪く、まばらに収穫された畑。
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水分保持が比較的うまくできて育った畑。差が激しいです
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この電線から大粒の雨だれがレタスに穴をあけてしまうそうです。
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雑草など余計なものは生えていません。
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こげ茶色の土に緑のほうれん草の苗の色が映えてとてもきれいです。
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こちらはハウス。芽が出たばかりのほうれん草
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赤軸ほうれん草も芽が出たばかり。軸にほんのり色がついています。
本日は茨城県の四季菜くらぶに視察に行ってまいりました。
今日は台風の影響で雨。
更に10月の下旬というのに12月上旬のような寒さ。冷たい雨が吹きつけています。

まずは人参の畑
ここは四季菜くらぶの代表青木さんの畑。
青木さんの人参は甘く美味しい事で、まつのでも冬の人参として人気があります。
しかし...
今年は夏の異常な暑さの影響で、種の発芽率が1割を切る。という状況で、畑を見回し ても
葉が生えておらず、土がところどころむき出しになっている部分が多く、歯抜けの状態になっていました。

茨城全体を見てもこの畑同様の事が起こっており、更には隣千葉県や、そのあとに続く徳島などの産地も
同じく発芽率が悪く、生育もばらばらで状況は芳しくないようです。

この畑は金美人参。(黄色い人参です。)

普通の人参は、上記のように発芽率の問題でほとんど発芽せず、その後の生育も見込めない程散々な状況になってしまったので今年は通常の人参をあきらめて、早 々に畑をつぶしてしまったのだそうです...

幸いこの黄色い人参の畑1枚が残り、ゆっくりですが育っています。
このままちゃんと成長して出荷を迎えてほしいです。


次にレタスの畑に向かいました。

今年の夏はとにかく暑く、土の乾燥も異常だったので、梅雨が終わったころに畑にマル チを引いて水分保持した畑では何とかレタスが出来た状態。それ以外の畑は散々な状態だったのだそうです。

また、夏場は暑く虫が大発生
防除も間に合わない日が続いていたそうです。その後涼しくなってきて回復するかと思われましたが、この頃は降る雨が冷たい為に細菌性の病気(すそがれや斑点細菌病)が増えているのだそうです。

雨が降っても雨粒があまり冷たくなければ恵みの雨に、冷たいと病気の原因になってしまうというのは初めて知りました。

実際目の前に、またマルチを貼ったところとそうでないところと隣同士に畑がありましたが、その生育の違いの大きさに驚きました。

更にこちらの畑は大きな電柱の近くにあります。
太い電線が何本か畑の上に走っていますが、雨が降るとこの太い電線に溜まったとても大きな雨粒がまるで雹のようにレ タスの上に落ちてきて、電線の下にあるレタスは穴だらけになってしまったのだそうです。

どの畑を見てもレタスを端から順番にとっているのではなく、拾い採りしている状態。
抽苔や病気などで、順番にとれずにとても手間がかかってしまうのだそうです。
回り一面にあるレタスの畑は見るからに「異常」な状態でした...

次に向かったのはほうれん草の畑
現在も出荷されている四季菜くらぶのほうれん草は苦みが少なくとても食べやすいほうれん草です。
食べやすさの秘密は作り方にあるのか?
色々聞こうと畑に到着。

まず一番びっくりしたのは畑の色。
こげ茶色のきれいな土に、雑草が全く生えておらず整然とほうれん草の苗が並びとってもきれいな畑でした。

これは四季菜くらぶのこだわり「太陽消毒」による土作りの賜物。
その方法は、夏場透明なマルチを畑一面に貼り、太陽の光により熱を持たせ、強制的に土壌を発酵させることにより、病害菌や土壌に潜む害虫を殺し て、更には雑草の種まで死滅させてしまうというもの。
通常
虫が死ぬのが 35℃以上
悪い菌が死ぬのが 38〜45℃
良い菌が活発に活動して繁殖するのは 50℃以上。
雑草の種が死滅するのは65℃前後。


マルチを貼って太陽の熱で温められた土の中では温度変化によって様々な変化を遂げていきます。
特に今年はあの猛暑。マルチを貼った土はかなりの温度を保ち、例年では多少残る雑草の種も見事に死滅させてしまい、良質な菌がたっぷりの最高の土に出来上がったようです。

太陽消毒に使うのはマルチと後は自然の恵みおひさまの光のみなのでとってもエコ。更に雑草が生えないというのは畑仕事の中でもかな りの労力をかける「草取り」の手間も省けて経済的

農薬にも頼らないので安全な土作りです。
「農薬は良い菌まで殺してしまうので、極力農薬を使わずに太陽熱など自然なものをうまく使い、安心で更にコストも削減できるようにしています。」 と。

この良い土にまだ小さいほうれん草の苗がすくすくと育っています。

基礎になる土壌作りのほかにも、美味しく食べやすいほうれん草にする工夫が。
野菜には窒素(N)が不可欠。
しかしそれぞれの野菜によって好みの窒素が異なります。

ほうれん草は硝酸態窒素を好みます。しかしこの硝酸態窒素はエグミや苦みの要因にも なります。
そこで、四季菜くらぶでは硝酸態窒素の代わりにアンモニア窒素を土に混ぜて、ほうれん草的にはあまり食べなれない窒素で成長をさせる。
という方法なのだそうです。
アンモニア窒素で育てたほうれん草はエグミが少なく、子供やお年寄りにも食べやすいほうれん草で人 気。
実際の分析でも苦みが少ないというデータが出ています。

これから寒さが加われば更に甘さが加わって美味しくなります。

ハウスの中には12月の下旬、クリスマス前からスタートする赤軸ほうれん草も芽を出 していました。

種を植えて1週間。芽が出たばかりの状態です。
まだ赤軸ほうれん草の特徴はあまり見られませんが、これから成長するに従って軸が真紅に変化して甘いほうれん草に育ちます。

普通のほうれん草に加えてこのサラダで食べられる赤軸ほうれん草と今後も楽しみが増えました。
寒い中での産地視察でしたが、とても充実した視察が出来ました。


訪問者:杉山・黒木


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