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沖縄県命薬(ヌチグスイ)やっさ~!島にんじん

まつのベジフルサポーターレポート

こんにちは!
沖縄県まつのベジフルサポーター
野菜ソムリエプロ
沖縄野菜プロジェクト協同組合理事の堀基子です。

亜熱帯とはいえ北風が島を吹き抜け、沖縄がもっとも冷え込むこの季節に、伝統的な島野菜の一つである島にんじんが旬を迎えます。
ごぼうのように細長く、鮮やかな黄色がひときわ目を引く島にんじんは、沖縄の島言葉で「チデークニー(黄色い大根の意)」と呼ばれ、古くから愛されてきました。

にんじんの原産地はヒマラヤに近いアフガニスタンの山岳地帯といわれ、ヨーロッパからアメリカへと広まったおなじみのオレンジ色のものを西洋種、シルクロードを経て中国へ伝わったものを東洋種と呼びます。現代の食卓に登場するのはほとんど西洋種ですが、この沖縄に根付いた島にんじんは、お正月料理などに使われる鮮やかな紅色の金時にんじんと並び、今では希少な東洋種に属します。

島にんじんの黄色はカロテノイドの仲間であるキサントフィルという色素によるもので、すぐれた抗酸化力で知られています。さらに、ほうれんそうよりも豊富に鉄分が含まれており、産前産後や授乳中の方、貧血が気になる方など、女性には特におすすめです。

沖縄で島にんじんの料理といえば、「チムシンジ(肝煎じの意)」。豚肉やレバーと一緒に煮込む、伝承の家庭料理である煎じ汁です。
沖縄では、医食同源の考え方のもと、食材をクスイムン(薬)ととらえ、薬効を求める汁物料理を「シンジムン(煎じ物の意味)」と呼びます。この「チムシンジ」も、沖縄の知恵が生み出した病中病後の滋養食で、現代の栄養学から見ても素晴らしいメニューであるといわれています。

また、島にんじんはセリ科特有の爽やかな香りと、クセのない甘みのある味わいが魅力で、ソーキ(豚のあばら骨付き肉)汁など昔ながらの汁物にも欠かせません。

沖縄には「ヌチグスイ(命薬の意)」という言葉があります。それは、現代でいう薬とは異なり、心と体をやさしく癒し、和ませ、寿命を延ばしてくれるものを意味します。
母の手料理、美味しい食事、友人と酌み交わす島の酒、楽しい踊りや音楽、青く澄んだ美しい海、それもすべてヌチグスイ島にんじんをはじめ、島の自然の恵みも、もちろんすべてヌチグスイなのです。もしも運よく島にんじんに出逢えた方は、ぜひ沖縄のヌチグスイという言葉の意味に想いをはせながら、味わってみてくださいませね。

沖縄より愛をこめて。
沖縄県のまつのベジフルサポーター
野菜ソムリエプロの堀基子でした。

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