まつのベジタブルガーデン

佐賀県一度食べたら虜に!かねひろの「黒酢みかん」

まつのベジフルサポーターレポート

佐賀県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、食育マイスターの前田成慧です。

「五感を満たす町」として知られる太良町は、有明海の海の幸に太良山岳系の山の幸と温泉に恵まれた町。特に甘味と酸味のバランスの良いさまざまな種類のみかんが自慢です。

今回取材したのは、農業法人有限会社かねひろの「黒酢みかん」。

温州みかん、紅甘夏、ジャバラなどを栽培しており、樹園は約23ヘクタールの敷地面積に約5万本以上の露地みかんの木があります。

「黒酢みかん」とは、農園主の川崎豊洋さんが地中の微生物環境を整えるとされる黒酢アミノ酸に出会い1994年から玄米黒酢を薄めて散布したのが始まりです。現在、その栽培方法は商標登録されています。
 
川崎さんはみかん農家の末っ子で稼業を継ぐ気はなかったのだとか。先代の父親が体調を崩し、高校卒業と同時に4ヘクタールのみかん樹園を任されることになったのですが、ミカン栽培の知識はほぼゼロ。九州各地に足を運んで先輩農家を訪ねて学んだ川崎さん、「はじめは苦労の連続だった」とのこと。

そして、黒酢みかんについて「みかんの木の根の先にも根圏微生物がいます。黒酢アミノ酸を与えることで土壌の微生物が増え、窒素・リン酸・カリウムを食べて分解してくれる。そうすると、根が増え、葉が増える。葉は光合成して糖度を高めるので、甘味のある食味のよいみかんができる」と説明してくれました。

酢の殺菌効果は減農薬にもつながることがわかり、醸造酢メーカーと研究を重ね、2002年に黒酢栽培法を確立しました。現在は黒酢に米ぬか、魚汁を使ったぼかし肥料を含んだ黒酢アミノ酸の即効性肥料(ペレット)を使っています。

黒酢を使った栽培方法は最低5年は続けないと効果が出ないとのこと。何度もくじけそうになりながら「絶対うまいみかんが出できる!」と信じて頑張ったそう。

昨年の一年間の生産量は380トン(生果ベース)、出荷先はインターネット肥前みかん屋での直売、太良町のふるさと納税返礼品、2014年に開設した直売所「肥前めっけもん市」での販売です。「農家はうだつがあがらないというが、選果場に商品を納めて終わりではなく、お客様に納めて本当の終わりなんだ」と川崎さん。「どんなに地方にうまいみかんがあっても今まで人気は一番下、太良のみかんはうまいということを全国の人に知ってもらいたい」と、通信販売に力を入れています。

収穫作業の多い農繁期には15名ほど雇用して、みかんを手ちぎりします。なんと85歳の方も作業されていました。急傾斜地は高齢の方の負担となることから大規模な基盤整備を行い、傾斜を抑えたり、圃場にトラックが乗り入れられるようにみかんの木の間に舗装道路を巡らせたりと、効率的な圃場環境を作っています。

驚いたのは働いている方々が、もくもくと作業しながらも楽しんで取り組んでいること。それもそのはず、60歳代~85歳までの方でも作業しやすい樹園だからです。

黒酢みかんの栽培品種は、ニュー日南・由良・興津早生・瀬戸・古田などで、出荷の時期によって品種が変わり、品種リレーが楽しめます。どの品種も甘くて少しの酸味もあり食べやすいジューシーなみかんです。川崎さんは「自分が美味しいと思うみかんをお客様に届けたい!」と力強く語ります。

川崎さんが美味しいと思うみかんとは、糖度11度ほどあり酸味が0.8%ほど。

実際に食べてみると、酸味は少なくコクと旨みのある甘さが上品な絶品みかん!果汁が多く食感も固すぎず柔らかすぎず、「んん!これはみかんらしくて美味しい!」と、思わず声が出るほど。「黒酢みかんは食べやすいみかんでしょう。私のみかんを食べた人は皆『みかんらしい!』と言いますよ」と嬉しそうな川崎さん。

黒酢アミノ酸(ALA 5-アミノレグリン酸)で栽培することで苦味が抑えられるため、食味が向上し、より旨みやコクを感じることができるそう。「まろやかでコクのある食味の良いみかんをつくるため、土づくりや栽培には手を抜きません。何個でも食べたくなるような、小さな子どもが食べやすいみかんを目指しています」と川崎さん。こだわりの黒酢みかんは綺麗な橙色をしていて食欲をそそります。

また、川崎さんが注目しているという香酸柑橘類「ジャバラ」も見せてもらいました。香酸柑橘とは一般的なみかんと違い酸味が強くて生食に向かないレモンやゆず、ライムなどの仲間に分類される柑橘です。まだ未熟果のため緑色ですが、完熟すると下の写真のように色づきます。

このジャバラは「幻の果実」とも言われ、和歌山県北山村で栽培されているものを2005年にわけてもらい、佐賀県の太良町でも栽培しているそう。機能性成分であるフラボノイド系のナリルチンという成分が含まれ、花粉症やアトピーなどに効果があるのではないかと研究が進められています(資料:FRAGRANCE JOURNAL 2007,ジャバラ果皮エキスの美容効果)。

6次産業にも取り組んでおり、ジャバラの果皮や果汁を使ったジュース類も販売しており、炭酸で割ったジャバラスカッシュとジャバラ果汁のストレートジュースがあります。はちみつを加えてお湯割りにしたり、サイダーや焼酎割りにしたり、お浸しなどのお料理にも使える万能果汁です。

ジャバラゼリーも考案中とのこと。ジャバラはお正月に縁起物として「邪気を払う」意味から名前が付いたといわれており、お祓いゼリーというネーミングが試案されていました。
もちろん黒酢みかんのゼリーとジュースもあります。


これらは、直営の「肥前めっけもん市」やインターネットで購入が可能。「肥前めっけもん市」という直売所は鹿島市に開設しています(住所:佐賀県鹿島市納富分5013)。かねひろの黒酢みかんをはじめ、新鮮な野菜や果物や特産物を取り扱っています。

かねひろの黒酢みかん、一度味わってみませんか?

その旨みとコクに夢中になること間違いなしです!
佐賀県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ・食育マイスター、前田成慧でした。

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