まつのベジタブルガーデン

長野県赤い姿と甘い誘惑に引き込まれて…たどり着いた、リンゴの楽園!

まつのベジフルサポーターレポート

熊本県まつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロの佐藤真美です。

最近、リンゴに夢中になっています。長野県に訪れた時、リンゴの木を見て感動しました。「リンゴって、こんなに木に実をつけるんだ!」と。熊本在住の私は、これまでほとんどリンゴの木を見たことがありませんでした。道路沿いに広がるリンゴの果樹園、枝一つ一つにぶら下がるリンゴを見ていると、本当に可愛らしい!

詳しく長野のリンゴについてお話を聞くために、中野市の丸久(まるきゅう)果樹園をご訪問させて頂きました。ご案内して下さったのは、丸山直純さん。こちらの果樹園は、夏はプラム・桃、秋〜冬にはブドウ・リンゴと、品目を変えながらシーズン毎に楽しめる、果物のテーマパークのような果樹園です。

標高の高い場所に位置し、山の斜面に広がるリンゴ畑の先は中野市が一望。遠くに連なる山々にはかすかにスキー場も見え、なんと素晴らしい絶景!

まず驚いたのはリンゴの木です。「リンゴの木を描いて下さい」と言われたら、みなさんはどのような絵を描きますか?幹があって、葉が生い茂って、その中にリンゴが何個も実ってて・・・という絵を、私は描いてきました。リンゴの木はそういうものだと思い込んでいました。ところが!

剪定で、このような木の形にされているとのこと。「この木は極端ではありますが、枝を下に向けるように剪定してます。リンゴが高い位置にあると作業しづらいでしょ?作業効率をよくするためと、雪対策です。雪の重みで木の枝が折れてしまわないよう、枝を高くせず、雪が滑り落ちるような剪定をしているんですよ」冬になると辺り一面、1mほどの積雪に覆われるそう。そのような体験したことがない私にとっては想像を絶する世界。剪定一つを取っても、そこの土地や環境、気候などで全然違う農作業になるのだと気づかされました。

こちらの果樹園では、15種類のリンゴを栽培。「うちは、多品目多品種で作っています。いつ来てもいろんな味を楽しめますよ」と丸山さん。お伺いした時に実っていたリンゴを、試食させて頂きました。

・シナノスイート
10月~11月にかけて盛んに収穫されるのが、長野を代表するリンゴ、シナノスイートです。丸久果樹園のシナノスイートは、甘みが強く酸味は穏やか、リンゴ独特の花のような香りが強く、果肉も柔らかくて、大人から子供まで好まれそうな味でした。

口に入れて噛んだ瞬間、まるでスポンジを絞った時に出てくる水のように、甘い果汁がジュワジュワ〜と溢れ出し、後味はなんだかクリーミーな余韻も。おいしすぎて食べ過ぎちゃいそう!

・秋映(あきばえ)
10月頃に盛んに出回ります。甘みも十分な上、酸味もしっかりとあります。果肉はやや硬めでですが、蜜が入りやすく、コクがあり果汁もたっぷり。濃赤色をした果皮がなんとも美しく、お料理にも映えそうなリンゴです。

・シナノゴールド
10月~12月にかけて収穫されます。果皮は黄金のように輝く黄色をしています。酸味が強く爽やかな甘みがクセになる味。果肉は硬めですが、果汁はたっぷり。ジャムやコンポートなどの加工品にもよく使われています。

シナノスイート、秋映、シナノゴールドは、長野県生まれのオリジナル品種ということもあり、信州の「りんご三兄弟」と呼ばれ、絶大な人気です。ぜひ食べ比べをして頂きたいです!

(丸久果樹園様ご提供)

新しい品種もありました。
・涼香の季節
シナノスイートよりももっと甘みの強いリンゴでしたが、名前の通り、爽やかな甘みとふわっと漂う花のような香りが印象的でした。お庭で紅茶と一緒に食べたくなるような気分にされてくれます。

・炎舞(えんぶ)
「このリンゴは中も赤いですよ。でもまだ早いかな?割って見ましょうか?」と丸山さん。果肉が赤いリンゴを見るのは初めて!割っていただくと、淡いピンク色をした果肉が姿を現しました。もっともっと赤くなるそうで、主に加工用に使われるそうです。加工用というと甘みが少ないイメージでしたが、このリンゴは甘さの中に酸味が程よく含まれており、旨味も感じられ、さらに蜜のような味と香りがあり、生食でもオススメしたい味でした。

・ぐんま名月
黄色に淡い赤がふんわり色づき、黄と赤のグラデーションがなんとも美しい果皮が特徴。蜜が入りやすく、甘みが強いリンゴなんだそう。収穫は11月頃から。

昔ながらのリンゴも!
・サンふじ
晩生種のふじは、これから収穫に入ります。太陽の光をたっぷり浴びた採れたてのサンふじ、待ち遠しいです!

・サン陸奥
袋かけをしない陸奥は、果皮が黄色〜黄緑色をいています。

「上から見て五角形になっているものを選ぶといいですよ」とのこと。形も美しく、食味のバランスもいいそうです。

農園は山の斜面にあり、周りは杉などの木々に囲まれています。リンゴは日光に照らされることで赤く色づくのですが、木々に囲まれていることで日光が入りにくいんだそう。しかし、赤系のリンゴはしっかりと色づき、鮮やかな色をしていました。

「日光が当たりやすい場所に赤系のリンゴを植え、影になりやすいところに黄色系のリンゴを植えたりして、植える場所を工夫しています。さらに、ミネラル豊富な肥料などでおいしさの調整をしています。甘み、酸味、旨味など複雑な味が絡み合うことでおいしさにつながる。そのおいしい味を求めて研究し続けました」と、丸山さんのお父様からも教えて頂きました。

収穫されたリンゴは、−5℃の冷蔵庫で保存。秋に収穫したものが、3月ごろまで保存可能なんだそう。家庭で保存する場合も冷蔵庫の野菜室で保存すると2週間ほど長持ちします。リンゴは熟成を促進するエチレンガスを多く放出しますので他の果物と分けるために、ビニール袋などに入れ、口をしっかりと閉じましょう。

「リンゴでこんなものも作ってますよ」と見せていただいたのがリンゴアート。リンゴがまだ色づく前に、形取ったシールを貼って成長させます。すると、貼った部分は日光が当たらないので、その部分だけ黄色いまま。いろいろな模様が入ったリンゴの完成です。贈答として大変喜ばれるそうです。

(丸久果樹園様ご提供)

丸久果樹園では、いろいろな果物で作られたジャムも販売されています。果肉が大きくカットされているので、ヨーグルトと一緒に食べると、本格的なフルーツヨーグルトになるそうです!シナノゴールドのジャムは甘酸っぱくて、パンに塗るのはもちろん、これからの季節、パイ生地に包んでホットパイにしてもおいしそう!


(シナノゴールドジャム)

「多品目の果物栽培を生かして、果物狩りやカフェなどもできればいいなと思っています」と丸山さんご家族。お話を聞くたびに、本当に果物作りを楽しまれていることが伝わってくるのです。今回は、リンゴのことを詳しく教えて頂きましたが、好きな仕事をして楽しむことの大切さ、それがリンゴの味をより一層おいしくさせていること、さらにお客様が喜ばれるための工夫、固定観念を超えてチャレンジし続けることなども教えて頂いた貴重な時間でした。

(シナノホッペ)

絶景広がる果樹園で、おいしいリンゴと素敵なご家族に出会えて感謝です。
丸久果樹園:https://maruq-orchard.com/index.php

熊本県まつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロの佐藤真美でした。

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