まつのベジタブルガーデン

兵庫県世界初のハイテク技術を活用した次世代農業

まつのベジフルサポーターレポート

大阪府のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・ジュエルフルーツクリエイターの万ノ記子(まんののりこ)です。

日本列島を縦断した台風24号による暴風と豪雨の被害には胸を痛めております。度重なる自然災害に為す術もなくただただ祈るばかりです。一日も早い復旧・復興を心から願い、被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。

平成27年、兵庫県佐用町では旧三土中学校の跡地を活用しハイテク技術を活かした次世代農業モデルプラントの整備を実施するプロジェクトが開始されました。

人と機械をつなぐ制御機器製品を提供するIDEC株式会社は、最先端の技術を惜しみなく提供し官民連携・地域連携により、付加価値を高めた農業の実践・地元雇用の創出・新規就農者の増大など多様な価値を追求しています。

その素晴らしい次世代農業モデルプラントをこの目で見たいと思い立ち大阪から約2時間半をかけて自然豊かな「佐用まなび舎農園」を訪問しました。佐用町は世界最大の『西はりま天文台』に代表される澄み渡った美しい星空や朝霧などの豊かな自然に恵まれており、夏には約120万本の大輪が咲き誇るひまわり畑も有名です。

南北に構えた栽培エリアであるハウスは北棟2,095平方メートルと南棟4,277平方メートルの合わせて約6,300平方メートル。天窓換気・遮光カーテン・換気扇を備えた隔離土耕高設ベンチで溶液栽培されているのはトマト「夢茜(ゆめあかね)」です。

今回まなび舎農園を案内してくださったのはIDEC株式会社の小川隆宏さんと米谷佳恵さん。

ここではできるだけ化学肥料を使わずに有機栽培に近い減農薬野菜を育てています。またAI技術を活用しクリーンなハウス内の温度・湿度・光・灌水を自動で制御し栽培に最適な環境を保ち続けています。

そして世界で初めての最先端技術を農業に導入されたのがこの農業プラントの最大の魅力の1つではないでしょうか。「有機物が土の中の微生物により発酵分解され根から吸収されることで植物が成長する」という自然が本来持つ物質循環メカニズムに、ウルトラファインバブル水という新しい技術を活用することで根の張りを良くし養水分吸収率を格段にアップさせ収量を上げています。

このウルトラファインバブル生成技術とはナノレベルの泡を水中に発生させ、長時間気泡を滞留させるものです。IDECは制御技術の会社で、水の流体制御の研究をしていたところ水の中にファインバブル(UFB)の発生に気付き、UFB発生装置をつくり、UFB活用の用途開発を次々と行われました。用途開発の中には半導体製造の洗浄工程での使用、川や池の水質浄化用途での活用など水を使うさまざまなシーンでの用途開発を進め、その中の一つに農業での活用があったそうです。

UFBを灌水と与えることで、高い溶存酸素が根を活性化させ、根の周辺の根圏微生物を活性化させることで自然の物質循環力を飛躍的に向上させます。「農業では水耕栽培や土耕栽培もありますが、どちらにおいても植物成長において著しい効果を見て取ることができました。ちょうど世の中は「農業のビジネス化」のムーブメントの中にあり、付加価値のとれる農業を作り上げていく必要があったことから、果菜類でも育てやすい土耕栽培での活用を考えました。」と小川さんはおっしゃいます。

さらに溶存酸素だけでなく、ナノレベルの泡そのものが根を刺激し、植物の成長ホルモンであるサイトカイニンの分泌を活発化させるそうです。根は水と同時に空気も必要としているため成長を格段に促進するのです。

UFBの特許については「泡の作り方」に関する技術的な特許はありますが、作物栽培に関する特許はありません。洗濯機などの工業製品では洗浄効果が上がるなどの理由で徐々に取り入れられている技術ですが、農業システムに導入したのは佐用まなび舎農園が世界で初めて!農業で大規模実用化第1号として次世代農業ともいえる土耕栽培を行ってらっしゃいます。

笑顔が素敵な従業員さん達がトマトの枝の誘引作業をされていました。

私も作業を教えて頂き誘引作業を体験させて頂きました。

時期をずらして栽培してある夢茜が別棟で元気に育っています。真っ赤に色づいてきた夢茜。ハウス内では地元に住む従業員さん達によってどんどん収穫が始まっています。こちらの枝も、もう間もなく収穫ですね。
 
非破壊検査で糖度・酸度が測定され、サイズセンサーで大きさを測定し規格別に選別されるシステムを利用し徹底した品質管理により出荷されていますパッケージも可愛いデザインの夢茜はこれからが収穫の最盛期。来年の2月頃まで大阪府内の百貨店で購入できます。

農園内に併設されたジュース加工場では収穫してすぐのトマトが持ち込まれ徹底した衛生管理の下、ストレートのトマトジュースも生産されています。

このトマトジュース、酸味がほどよくとっても飲みやすくて美味しかったです!トマトジュースが得意な方ではない私もゴクゴク飲め、濃厚なのに飲みやすいトマトジュース。

夢茜トマトをふんだんに使用し甘み・香り・栄養素をギュッと凝縮し無添加・無着色・無香料で塩も砂糖も一切使用していない正真正銘のストレートのトマトジュースです。こちらのラベルも高級感があって素敵ですね。

最先端の技術を活用したスマート農業で色々な取組をされていますが、地域と共に愛されるブランドトマト「夢茜」をたくさんの方々に知ってもらいたいと語る小川さん。夢は大きく農業をパッケージ販売できるようなモデルケースを「佐用まなび舎農園」から発信するべく日々奮闘されています。

大阪府のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・ジュエルフルーツクリエイターの万ノ記子(まんののりこ)でした。

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