まつのベジタブルガーデン

福井県合言葉は「リゾットの町、円山。」リゾット米で町おこし!

まつのベジフルサポーターレポート

福井県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロ、だしソムリエ協会認定講師の水嶋昭代です。

今回は、福井市内で地域おこしのためにリゾット専用の米の栽培を行っている団体の取り組みをご紹介します。福井市円山(えんざん)地区は、福井市中心部から東に1キロ近く、住宅地と商業地と田園地帯が混在する地域です。希薄になりがちな地域の繋りを取り戻したいと、2016年3月に立ち上がったのが、若手まちづくりグループ「円山CMB」です。

(写真提供 円山CMB)

円山CMBとは、Circle(円) Mountain(山) Build(築く)という意味を込めて付けられました。円山地区の若手が楽しいことを通じて交流できることはないかメンバー全員で話し合い考えたのが「円山イタリア化計画」です。日本のイタリアと呼ばれるくらい円山をイタリアカラーの町にしたい!ということでメンバー全員が選んだものは「リゾット専用の米」でした。

まだ日本ではあまり知られていなくて、他では作っていないもの、一過性ではなく、継続できるものを作ろう。ゆくゆくは、テレビの情報番組に来てもらって、リゾット米を食べたタレントさんに「おいしー!!」と叫んでもらうという大きな夢を目標に彼らは、やったこともない米づくりを始めます。

円山CMBが栽培している米は、農研機構中央農業総合研究センターが育成した水稲品種「和みリゾット米」です。福井が生んだコシヒカリは、甘味と粘りがあり大変美味しいお米ですが、本格的なリゾットを作るのには、柔らかくなりすぎ、アルデンテな仕上がりにするのは難しいのです。一方、イタリア原産の輸入米「CARNAROLI」は大粒でリゾットに適した米ですが、収量が少なく、とても高価です。

国産のリゾットに適する大粒米をという要望を受けて「CARNAROLI」と「北陸204号」を交配し、リゾットへの調理適性のある「和みリゾット米」が育成されました。
(左)円山リゾット米 (右)コシヒカリ  (写真提供 円山CMB)

和みリゾット米は、従来からの国産米に比べて粒が大きく、粘りがなく、歯ごたえがあり、煮崩れしにくいことから、リゾットを作ることに適した期待の米です。この和みリゾット米の種籾を取り寄せ、円山リゾット米の栽培が始まりました。そうは言っても、円山CMBのメンバーは農業の経験がなく、米作りの知識はありません。

2016年の春、地元の農家、河戸文雄さんが若者の夢を実現するために農作業全般を引き受けてくださいました。一年目は初めてでもあり200キログラムだった収穫が2年目の2017年は研究を重ね、販売も視野に入れて栽培し、5倍の1トンになりました。

河戸さんは知識と経験を活かしリゾット米作りをし、円山CMBは円山リゾット米をイベントを通じて円山地区内外の方に食べてもらうことで、新聞や雑誌などのメディアに地区の若手の新たな活動として取り上げてもらい、知名度を上げてきたのです。

昨年から田植えや収穫を、円山地区内外から募集。「がっつり田植え!やるんやざ~!」の募集広告にひかれて私も参加しました!5月19日小雨の降る中でしたが、小さな子供から大人までたくさんの人が集まりました。

苗を植える場所に目印をつける「田植え枠」を転がします。(写真提供、円山CMB)機械化が進んだ米作りですが、この田植えイベントでは、昔ながらの手植えをしました。

円山リゾット米の苗


田植えは初めての子供たち、田んぼの土に足を取られながらも、次第に上手に植えていきます。自分たちの手で植えた苗、早くお米にならないかと、もう収穫が待ち遠しくなりました。
今年の猛暑の中でも、円山リゾット米はすくすくと育ち、無事花が咲きました。(写真提供 円山CMB)
そして、9月2日、迎えた収穫の日、この日まで、私たちに代わって河戸さんが、リゾット米を育ててくださりました。粒の大きな円山リゾット米の稲穂は、重そうです。雨の心配もありましたが、この日はとてもよい天気、絶好の稲刈り日和です。鎌で丁寧に稲を刈り、

3~4株ほどを束ねて結わえ、

今はほとんど見かけなくなった、「はさがけ」をします。最近は、機械で乾燥することが多くなりましたが、天日にあてることで、よりおいしい米になります。
稲刈り終了後は、円山リゾット米をお店で使ってくださっている「フェリーチェ」のシェフ杉川義幸さんが作られたリゾットランチを頂きました。季節のさつまいもときのこを使ったリゾット。アルデンテで、本場の味を楽しみました。

また、明日9月29日から始まる平成最後の国体「福井しあわせ元気国体」の会場では、県から認定された「ふるマイスター」の皆さんが様々なものをふるまわれます。円山CMBでもリゾットを4回にわたってふるまいます。

ふるまわれる予定のリゾットの一例 (写真提供 円山CMB)

全国から福井を訪れる選手や応援の皆さんに、円山リゾット米を食べて、知っていただきたいです。
円山CMBでは、より円山リゾット米を食べてもらおうと、地区の平林幸二さんと()ザ・デリケンさんのご協力で、オリジナルリゾットソースと円山リゾット米をセットにした「円山リゾットセット」を今年5月に発売しました。

【 円山リゾットセット 】3種
きのこが薫る「 クリームソース 」
越のルビートマト使用の「 トマトソース 」
醤油と味噌が薫る「 味噌デミソース 」
どれも、1人分のリゾット米とソースが入っています。
1.フライパンにオリーブオイルを熱し、リゾット米を入れて強火で炒める。
2.米が透明になってきたら、米が入っていた袋で水をはかり、1のフライパンに入れて弱火で12分ほど煮ます。
3.好みの堅さになったら、ソースをからめて完成、パセリ、粉チーズをかけて。


フライパンと水があれば、簡単にリゾットが完成します。お好みで、野菜などを入れると、一層美味しくなります。円山リゾットセットは、福井市円山公民館で販売、セット以外にも、5畳分の田んぼのオーナー制度があり、リゾット米を販売、円山リゾット米を使ってくださる飲食店も積極的に募集しています。

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お問い合わせは 円山CMB事務局(福井市円山公民館内)
住所:福井県福井市北今泉町7-12
電話:0776-54-0048
mail:enzancmb@gmail.com 
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円山CMBの代表、福田智司さんは「勢いだけでやってきて3年、多くの皆さまと交流ができています。ありがとうございます。みんなで楽しんで円山地区を、そして福井を盛り上げていきたいと思います」と語ります。

円山リゾット米に関わってくださった多くの皆さん、これから出会う人々と円(縁)の山を築くように繋がる活動をしていきたい。「リゾットの町、円山。」を合言葉に、結束を固め、勢いのある活動をしている円山CMBと円山リゾット米に今後も注目していきたいです。

福井県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロ、だしソムリエ協会認定講師の水嶋昭代でした。

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