提携産地レポート

高知県【JA高知県│前編】茄子・ピーマン・茗荷の産地へ

商品部の清田達郎です。この度、2020年2月25日~26日にかけて高知県高知市、安芸市、土佐山田町、南国市を中心にJA高知県管内の各圃場の視察へ行って参りました。まつのではJA高知県とさまざまな取組みを重ね、取引量は年々拡大しております。今後も取組をさらに深めるためにこの度、研修会が開かれることとなりました。

JA高知県視察

視察中は高知らしい青空の快晴続き。各圃場の野菜も大きな実りを付けており、実際の生育状況を拝見することができました。

JA高知県は、昨年、高知県園芸連と県内12カ所のJAグループが統合して新しく誕生した組織です。これにより県全体として出荷規格統一の強化や、農業にまつわる情報の交換、生産技術の共有によるノウハウ向上、指導力の強化、伴って、県内農業就業者採用の拡大と、様々な取り組みを発展させる事が可能となり、この研修に関しても今まで以上にエリア地区の全域で視察できる運びとなりました。

これから各地区の力を集結し「一丸となって高知の魅力を県外へ伝えていきたい」と園芸販売部の平山部長。 冒頭のミーティングでは私より近年の外食業界の傾向や、昨年の高知県産青果物の実績報告、並びに今期の見通しなどをお伝えいたしました。

JA高知県視察

JA高知県からは新しい提案として、時期が限定される青や黄色の柚子を氷結冷凍し周年出荷に繋げられる事や、フルーツトマトの新しい活用方法として同じく氷結冷凍し、シャーベット状にして食べやすくしたものも、外食で活用できるのではないかとご提案頂きました。

JA高知県視察

試食すると、瞬間冷凍により香りと風味が落ちることなく、外食向けでも欠品の回避策として需要があると感じました。

JA高知県視察

続いて、選果場と圃場へ。

安芸市・茄子選果場

大規模なナスの選果場は全国的にも珍しく、センサーカメラで、A品の長茄子と、3本、5本のパック向けの茄子に選別する機械が中央に大きく設置してありました。農家様が持ってこられたコンテナはすべてにバーコード印字されており、重量を計算後、各圃場がどのくらい納品したかをすべてデータで管理します。

JA高知県視察

また、最初に重量測定機付きのレーンに乗せた瞬間からレーンがスタートし、自動で選果し、一度、検品や梱包時に人の手は入るものの、ほぼ全自動で段ボールに入った正品になるまでを、2フロアを使ったコンベアー式で操業していたのが特徴的でした。

JA高知県視察

レーンの設備はアップデートを重ね、レンズ部分を交換する事で定期的にセンサー性能を向上させているとのこと。これによりセンサーカメラの選別率は近年向上しているものの、青果物の検品においては、ハリやツヤなどをはっきりと判別するのは未だに完璧では無いそうで、現在でも約60%のクリア率となり、各レーンの終着部分にはベテランのスタッフ様が配置され、目視作業を行っておりました。

60名ほどのスタッフの中には、海外からの技能実習生もおられ、同じ出荷場で作業されております。

JA高知県視察

安芸市・ピーマン圃場 尾原農園

法人化して株式会社としても経営され、大きく生産されている圃場です。

JA高知県視察

真新しいレールが設置されていたのが印象的で、このレールは最近自作で作成されたそうです。 これにより、車輪付きのコンテナを使って、各列から集めたものを、一気に出荷トラックに集められるようになり、大幅な効率化が図れたと仰っておりました。

JA高知県視察

主に緑ピーマンのみの出荷となる尾原農園様ですが、苗木が植えてあるウネ部分のヤマが無いことも特徴でした。

JA高知県視察

降雨に左右される露地ものとは違い、雨よけのハウスでは一定量の水まき作業になるので、水分量の調節が可能となり、わざわざヤマを作り根部分の水分を保たなくてよい事から、全面フラットな移動がしやすいハウスとなっておりました。

JA高知県視察

露地もので48アール、ハウス物で42アールと大規模な農園様となり、ピーク時では日量1トンの出荷になるとのことです。また、こちらではインドネシアの方を実習生として招き、現在3名在籍されております。

JA高知県視察

安芸市・茗荷圃場 山本秀明さん

JA高知県視察

水耕栽培で、まだ若く青々とした茗荷が特徴だったハウスでは、特に乾燥が厳禁な野菜のため、常に多湿状態を維持されておりました。

拝見したハウスはまだ、若い苗ばかりとの事でしたが、それでも3メートル近く伸びており、これを切り落とす事無く、ハウス天井まで伸び切らせ、さらに隣のヤマと重なってアーチ状に茂ったジャングルのような状態になるまで、成長させます。

茗荷が生えている所には遮光カーテンが一列すべてに一面に被せてあり、そこをめくるときれいな茗荷が伸びておりました。青くなるのは、収穫1~2回目のものになり、3回目以降からスーパーで見かける、ピンク色の茗荷が多くなるとの事です。

また、一回取るとその同じ部分からは二度は生えない特徴があります。各列、水耕栽培の為、地面から底上げして各列独立しており、万が一、病害が発生しても全体に蔓延することはありません。

手入れ時以外は常にカーテンをかけた状態にしており、暗室で色目を付けていきます。

試しに1本取らせて頂きましたが、特に密集した収穫部分はハサミなどを使うと傷を付けやすいことがある為、これらは、すべて手摘みで収穫されるそうです。また、土耕の場合は準備期間があり、一度、圃場全体を水浸しにして、その後、ハウス内温度を上昇させて土中の菌を殺す作業が伴います。

山本さん直伝の食べ方として、半分に切って焼いて、もろみ味噌を付けて食べるのが、バーベキューなどの際におすすめとの事でした。因みに、収穫終盤を迎え苗木が疲れてくると、棒状の茎が伸びてきます。これが茗荷竹になるそうです。

JA高知県視察

安芸市・茄子圃場 小松義之さん

JA高知県視察

茄子の形やツヤが、審査基準になる県主催の品評会で、優秀賞をとられたこともあるという圃場。ハウス内も綺麗な茄子がたくさん実っておりました。

高知視察

一般的に高知の茄子は、土佐タカ、しんたろう茄子、龍馬ナス、ハヤブサと4種の種がポピュラーとなっており、こちらでは主に土佐タカをメインで使用されております。品種ごとに特徴があり、温度変化に強いものや、生食可なもの、周年安定型のものなど、それぞれ、各圃場の土壌や立地環境などを確認しながら適宜選んで使用されるそうです。

高知視察

また、茄子には健康効果の諸説がありますが、例えば体を冷やす効果があるという話は迷信であり、冷やしてから食べる機会が多いことから誤解が生まれたのとのこと。一方で近年、リラックス効果や血圧を下げる効果があることが医学的に認められ、今まで皮目を一緒に食べたほうが身体に良いというイメージから、果肉部分のみでも健康効果があることが分かったそうです。

安芸市・米茄子圃場 公文勝己さん

JA高知県視察

大きく実った米茄子がこうべを垂らしていたのが印象的でした。高知と言えば米茄子といっても過言ではございません。その所以として、通年出荷を行っている県が高知県しかないためです。

JA高知県視察

これは、生産者の方々が手間をかけ、丹精込めて栽培されて収穫に繋げていることが前提になりますが、さらに県内でリレー方式にて栽培し、促成ハウスや露地栽培をうまく回しながら周年栽培に努めており、全体をうまく繋いでいく各農協のコントロールも重要なカギとなります。

安芸市の米茄子のハウスの生産者は12名で、こちらのハウスでもピークの4月には日量150~180キロの収穫量を誇ります。出荷の基準は260グラム以上としており、1ツルに2~3個成るように受粉を調整し、葉が大きく日光に隠れやすいため枝切りなど施して、日々調整されているとのことです。

JA高知県視察

大体1本の苗木で80個ほど収穫できます。10月末から収穫可能となりますが、春先になり暖かくなる季節は収穫量がどんどん増えてくるそうです。

高知視察

後編では、やっこねぎやニラ、甘長唐辛子の圃場視察の様子をお伝えします。

 

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