小鉢ひろかの旬だより

No.21 笹がきごぼうから卒業!ごぼうの切り方アイディア

料理のレパートリーに悩む人のほとんどの原因は、切り方がワンパターンなことです。同じ切り方だと、見た目や食感に代わり映えがせず、例え味付けを変えても「いつもと一緒」と感じてしまいます。

調理師専門学校に勤務していた時、料理のプロを目指す学生の授業の大半は、包丁研ぎと切る練習 と言っても過言ではないほど、料理において「食材を切る」ことは大事なことです。

では、皆さんは食材の切り方をどうやって決めてますか?

レシピに書かれたように?調理時間?そういえば、いつも大根はおでんサイズが定番だった、白菜は鍋のざく切りが多いわね。と振り返っていただけたら、今日のコラムはもうゴールしたようなもの。自分で振り返ることが大事です。無意識に意識を向けてみましょう。

いつもどうやって切ってますか?切ることをコントロールできるようになると、台所に立つのがとっても本当に楽しくなりますよ。

切り方を変えると、健康につながる

今週の特集は「ごぼう」。一般的なごぼうは、晩秋から冬にかけて出荷量が増えますが、初夏に出回る早生品種や寒さを待たずに若取りされた「新ごぼう」は、やわらかく、味も香りも上品なのが特徴です。

土を洗うのが面倒ですが、泥付きの方が断然風味も、日持ちもいいので、急ぎではない時は土つきを選びましょう。皮を真っ白になるまでこすってしまうと、皮の周りにあるポリフェノールが減ってしまいます。抗酸化作用が期待できるポリフェノールを残す意味でも、擦って土が出てこなけければOK。きれいにしなきゃと神経質にならなくて大丈夫です。

ごぼうといえば、食物繊維が豊富な食材。腸内環境を整えるリグニン(不溶性食物繊維)と、急な血糖値の上昇を防ぐイヌリン(水溶性食物繊維)の両方を含みます。

でもこの栄養素、実はアク抜きと切り方を間違えると大幅に減ってしまうので注意が必要です。下処理するときは、以下の2つのポイントに気をつけましょう。

①アク抜きは水につけず、サッと水で流す程度で

水につけてアク抜きすると、ポリフェノールと水溶性食物繊維、香りと旨味も消えてしまいます。1分水につけると1.5倍抗酸化力がダウンとの研究結果も。切った後のアク抜きは、さっと水で流す程度でOKです。

②細かく切りすぎも注意

ごぼうといえば、鉛筆を削るように薄く削る「ささがき切り」が一般できです。しかし、細かく切りすぎると、水溶性の栄養素が抜けやすくなってしまいます。輪切り、斜め、半割、棒状、ささがきといろんな食感を楽しみましょう。

切り方を変えると、レパートリーが増えたような気持ちにもなりますし、健康にもつながる。だからこそ、どう切るかって、大切に考えて欲しいのです。

定番料理も切り方を変えて楽しもう!

半分に切って煮込んだごぼうを、最後甘辛く煮絡める「甘辛煮」はいかがでしょうか。時間はかかりますが、かみごたえがあるのでダイエットにもおすすめ!私は甘辛味に豆板醤も入れて、ピリ辛に仕上げています。

乱切りにして、味噌煮にするのはどうでしょう。モツ煮込みにしてもおいしそう!ごぼう単体で仕上げれば、お弁当にも入れやすいおかずに仕上がります。

ささがきにしたごぼうも、サッと水で洗うだけで調理すれば栄養素の流出も防げますよ。片栗粉と混ぜて、カリカリ焼きにしてみました。これはお酒のアテにも、お子さんのおかずにもぴったり!なにせ、好みが小学生の旦那さんが一人で食べ切っていたので。ぜひ試していただきたい1品です。

ごぼうの食感が苦手…という方には、ピーラーで薄切りにし、少し多めの油でカリカリになるまで炒めた「ごぼうチップ」がおすすめです。お好みの野菜と混ぜて、パリパリサラダにするのはどうでしょう。スナック感覚で、あっという間に食べ切れますよ。

きんぴらごぼうもいいですが、切り方を変えれば景色が変わる。ぜひ、いつもと違うごぼうを楽しんでください。レシピはこちらをどうぞご参考に。

お菓子の仕事を通じて

日本の食文化をストーリーを通じて世界に発信する、英語の和食メディア「Umami Recipe」様とご一緒させていただいています。野菜専門の私ですが、こちらでは広く「日本の食文化」をお伝えするためお菓子も担当させていただいています。というのも、私、幼稚園から夢はケーキ屋さん。前職ではフランス菓子をお客様に提供していたほど、お菓子作りは大好き。

海外の材料で作れる日本のスイーツを考える必要があるので、メロンソーダをかき氷シロップなしで、フルーツから作ったり工夫をしています。でも、日本人でもあるもので憧れの料理ができたら嬉しいですよね。制限のある中でも、多くの方が料理を楽しめるよう、鍛錬の日々です。

 

 

次の特集は「ねぎ」。

また次回の更新で、月曜朝6:00にお会いしましょう。

小鉢 ひろか / 社会問題を料理で解決する 料理コンサルタント
instagram: https://www.instagram.com/kobachi_hiroka/

☆「まつのFresh!宅配」はこちらから!

通年野菜の最新記事