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2011年 7月 1日 (金)

トキタ種苗:Gusto Italia オープンデー

by ジュニア野菜ソムリエMINA

6月28日(火)
トキタ種苗主宰、
「Campo Prova 2011」 
〜 第1回Gusto Italia(グストイタリア)オープンデー 〜 

に、行ってまいりました。


“グストイタリア”とは、ヨーロッパで種を売るために、
日本の種苗メーカーとして先駆けてイタリアに子会社を設立した
「トキタ種苗」が、今度は日本でイタリア野菜を広げるために、
品種改良や食べ方のご紹介までを行うプロジェクトです。

現在、家庭栽培向け11品種、プロ向け6品種
の販売が開始されています。

受付を終えるとすぐに、
“グストイタリア”圃場の方へ案内されました。

参加者が、自由に見て回れるようになっており、
スタッフの方があちこちにいらして、質問に答えたり、
説明をしてくださったりしていました。

まず一番手前には「フェンネル」
大きなスペースを取って植えられています。
“グストイタリア”の中でも、フェンネルは一押しの野菜なのだそうで、
かなり力を入れられているようです。

一列が、イタリアで実際に生産されているのとほぼ同じタイプのもので、
それ以外は、トキタ種苗で開発しているF1タイプだそうです。


イタリアで生産している本来のタイプ。
比較的、根元の部分が小振りで他の列と比べると薄めです。


夏に強い、冬に強い、病気に強い、などの、F1タイプ。
ふっくらしているものが多く感じます。

フェンネルは、縦と横が同じくらいに丸々しているものが、
ジューシーで美味しいのだそうです。

ちなみに、「フェンネル」に関する勘違いとして、
日本では、葉っぱも使う、という思い込みから、
葉をつけたまま出荷されることが多いのですが、
実は、本場イタリアでは葉の部分を使うことはあまりなく、
使う場合でも、
「ディル」などの葉っぱ専用の品種を用いるのだそうです。


たとえ、レストランで、
葉っぱの部分も肉料理などの香草として使うことがある場合でも、
葉と根元部分は別々にして出荷した方が、持ちが良いので、
そういった理解が進むと嬉しい、とのことでした。

現在は9品種を栽培中で、商品化されているものもありますが、
すべて商品化できるわけではないようです。


次に、チコリです。
チコリは、日本では「トレビス」と呼ばれることが多いのですが、
実は、この野菜の名前にはかなりの混乱があるそうです。
チコリには、
「キオッジャタイプ」と「トレヴィーゾタイプ」というものがあり、

「キオッジャ」が丸くなるもの(結球)で、
「トレヴィーゾ」が丸くならないもの(半結球)だそうです。


「ラディッキオ・ロッソ・キオッジャ」(商品名:ヴェネチア)


「ラディッキオ・ロッソ・トレヴィーゾ」

日本で言う「トレビス」とは、
この、「トレヴィーゾ」から来ているのですが、
野菜の種類の名前として定着してしまい、
丸いものも丸くないものも、「トレビス」と呼ばれる傾向にあります。

また、学名でも、イタリア語とフランス語が混ざるなどして、
チコリと呼ばれたりエンダイブと呼ばれたり、混乱しているようです。
ちなみに
「キオッジャ」と「トレヴィーゾ」はいずれも地名の名前なのだそうです。

さらにこれに、晩生を意味する「タルティーボ」、
早生を意味する「プレコーチェ」なども加わって、
例えば、
「ラディッキオ・ロッソ・トレヴィーゾ・タルティーボ」
(頭がクラクラしそうです…)という品種の場合、
「ラディッキオ・ロッソ」の半結球タイプの晩生品種

ということになるそうです。

なお、「トレヴィーゾタイプ」は栽培が難しいらしく、
チップバーンが出やすい、とのことでした。

このほかに、レタスのような見た目で、
色のつかないチコリ「カステルフランコ」という品種もありました。

チコリは全般的に、苔立ちが早く、本来の収穫期は4〜5月だそうです。
今回はこのイベントのために栽培しているため、
かなり過熟気味になっているようでした。


最近は、あちこちで見かけるようになった、ロマネスコもありました。
名前は「ロマネスコカリフラワー」(商品名:ダヴィンチ)です。

ロマネスコは、ブロッコリーやカリフラワーと同様の栽培方法で育つので、
栽培自体は難しくないものの、
これまでは、日本の夏の暑さや冬の寒さに強い品種がなかったのだそうです。
そして開発された、この「ダヴィンチ」は、夏にも冬にも強いF1タイプだそうです。


ロメインレタスもありました。

「ラトゥーガ・ロマーナ」(商品名:コロッセオ)という名前のロメインレタスは、
従来のものより、肉厚で、生食よりは、
スープなどの加熱調理の方が向いているそうです。


ビートもあります。
「バルバビエトラ・キオッジャ」という「ビート」です。
なるとのような渦巻き模様が美しいビートで、生食にもできるのだそうです。



ルッコラです。
フェンネルと並んで、
トキタ種苗様が“グストイタリア”の中でも、最も力を入れている、
もうひとつのお野菜「ルーコラ・セルバーティカ」(商品名:ローマ)です。

ルッコラと言っても、私たちのよく知っている葉っぱとは
かなり雰囲気が異なります。
形は、水菜の葉っぱにも似ています。

「フェンネル」もこちらの「セルバーティカ」も、
まだまだ、その存在を知らない人が多いので、
「まずは知っていただくところからです」と、
トキタ種苗の方はお話されていました。


もうひとつのルッコラ、
「ルーコラ・セルバーティカ」(商品名:ローマロッソ)は、
先ほどの「ローマ」と違って、いわゆる一般的なルッコラと同様の形状です。

そしてこの「ローマロッソ」は、種に対する工夫が面白かったです。
種が小さすぎるため、扱いに困るのが難点だったそうで、
種の育成を少し進めて、
数個ずつ小さなカプセルに入れて販売しているそうです。

カプセル1つから、3〜5株育つのだそうですよ。


こんなバジルもありました。
「バジリコ」(商品名:バジリコ・ナーノ)

見た目がとってもかわいいです。
葉っぱがとても小さく、こんもりとした形が目を惹きますので、
花壇などにも向いています、とのこと。
隣の、一般的なバジルと比べてみましたら、香りは、弱めでした。
家庭で育てて、摘んで刻まずにそのまま料理に入れられるので、
キッチンガーデンには、ぴったりですね。


こちらはセロリの「セーダノ」です。
軸が緑のタイプのセロリで、特徴は、早く太ることと、密植が可能ということ。
ミニセロリとしての栽培も可能だそうです。
上からでは、軸も見えないくらい、かなりぎっしりと植わっていました。

食感は、軸が少なく食べやすいのですが、
栽培は難しく、家庭菜園にはあまり向かないそうです。
一緒に見学されていた多くの方々が、このセロリに興味を示されていました。

ズッキーニもありました。
ズッキーニは、細くて長く、花が落ちない花ズッキーニに向いている品種や、
丸形など、いろいろな種類がありますが、
特にイタリアのズッキーニはカラフルなものが多いようです。
また、茎の部分のトゲをなくして、作業性を高めた品種もあり、
触ってみると、本当につるつるしていました。

中の豆を食べるタイプの、いんげん
「ファジョーリ」もありました。
見学の時点では、一見、大きなインゲンか、
横幅の短いモロッコインゲンのように見える未熟な状態でしたが、
完熟すると、赤み帯びた莢になり、豆は白色だそうです。
この豆は、莢は食べずに完熟させた中の豆を取り出して食べる豆で、
イタリアではスープなどによく使われるそうですが、
日本ではまだ、スープに豆、という組み合わせに馴染みが少なく、
食べ方の浸透に苦戦中だそうです。


このほかにも、レタスなどをはじめ数種類のお野菜が栽培されていました。


これで、圃場見学は終了です。

今年は、4月の種まきの時期が大変低温で、
死んでしまったりして、生育が悪いものや、
今日の日まで収穫せずに引っぱったために
過熟になって本来の姿ではなかったものも、あったようです。

また95%ほどが、無農薬で栽培されているそうで、
虫食いなどもあり、お見苦しくてすみませんとのことでした。

そして、ここからは、試食会です。


まず、最初に、野菜の料理4点盛りとスープです。

4点をご紹介します。

ロマネスコの温野菜。
今まで私が食べたロマネスコより、やや、まろやかに感じました。

フェンネルと肉のオイスター炒め。
セロリと肉炒めに近いですが、フェンネルの香りが引き立っていて、大人の味です。

フェンネルルッコラのサラダ。
ルッコラのほろ苦さが引き立っています。
このほろ苦さは、なんとなく、大根やかぶの葉のほろ苦さに似ている気がしました。

フェンネルそのまま。
何もつけず、加熱もせず、そのまま食べてみましたが、
比較的クセが弱く、フェンネルらしい香りや清涼感はあるものの、
強すぎることもなく、そのままで十分美味しく食べることができました。

ロマネスコのコンソメスープ。
カリフラワーより味わいがあり、ブロッコリーより青臭さがなく、
食べやすいスープでした。

さらに、料理と、各料理に使っている野菜とを目で見て分かるように演出する
ディスプレイがあり、とても素敵でした。

ピザもありました。トマトソース風味のピザなのですが、
上に乗っているルッコラを、それだけで食べるとほろ苦さがあるのですが、
ピザ生地と一緒に食べると、葉っぱの味わいが引き立ちつつ、
苦さは、完全に打ち消されていました。不思議でした。


ルッコラと白ごまのおにぎりです。

メニューの中で最も驚きだったのが、このおにぎりです。
あんなに苦みのあるルッコラが、
刻んで生のままそのままおにぎりに混ぜるだけで、
菜っ葉おにぎりのような味わいになっており、
全くクセが出ていません。

菜っ葉よりむしろクセが弱いくらいでした。さわやかな、おいしいおにぎりでした。

トキタ種苗の有名な商品、トマトベリーも試食させていただきました。
ハート形のかわいいミニトマトです。


また、会場には、“グストイタリア”の生産者さんの作ったお野菜も
展示されていました。
あおあお、いきいき、どれも美味しそうで、
はつらつとしたお野菜たちでした。

また、会場内に大きなスクリーンがあり、
映像でも、野菜や種について、紹介されていました。

種や書籍も販売されていましたので、
7月でも間に合うということで、
私も、バジリコナーノと、ミックスレタスの種を購入してみました。


これで、すべての見学と試食が終了です。

イタリア野菜は、まだまだ日常使いしているものは少ないですが、
それでも、バジルやズッキーニなど、馴染みのある野菜もありますし、
ロマネスコルッコラなど、頻繁ではなくても、時々食する野菜も増えてきています。

フェンネルやチコリなども
いずれそれくらいの存在感を出してくるのでしょうか。とても楽しみです。

また、
イタリア野菜は全般的に苦みのあるものが多い印象でしたが、
その分、上手な調理法や食べ方と出会えば、
クセになる味わいの野菜が多いと感じました。


日本におけるイタリア野菜の最先端
を拝見させていただくことのできたこの見学会は、とても有意義でした。


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