まつのベジタブルガーデン

鳥取県乾シイタケをもっと気軽にもっと美味しく食べよう【後編】

まつのベジフルサポーターレポート

こんにちは。鳥取県のまつのベジフルサポーター 野菜ソムリエ上級プロ アスリートフードマイスター2級 長島明子です。

前編のシイタケの生産現場レポートに続いて、後編では乾シイタケの使いこなし術をお届けします。

前編でご紹介した大家さんが栽培されている「菌興115号」の乾シイタケ。全国規模の品評会で上位を独占する人気品種で、高い評価を得ています。全農の乾シイタケの規格は20以上あり、「どんこ」と「香信」に大別されますが、「どんこ」の中でも、傘に白い亀甲模様ができる「花どんこ」は数がきわめて少ない最高級品です。

(写真提供 一般財団法人日本きのこセンター)

乾シイタケの特徴といえば、香りとうまみ。シイタケは乾燥させる過程と調理の過程で、酵素の働きによりレンチオニンという香り成分とうまみ成分グアニル酸が増えます(下図を参照)。香りとうまみは生シイタケより上回っているといえます。



(資料提供 一般財団法人日本きのこセンター)

乾シイタケのうまみを引き出すには、戻し方にコツがあります。乾燥した状態で数分間水に浸し、表面の汚れを取ります。乾燥した状態からそのまますぐに水に浸けて戻さないようにします。水を替えて、きれいな水と洗った乾シイタケ、昆布1切れを一緒に入れて冷蔵庫でじっくり時間をかけて戻します。昆布のグルタミン酸とシイタケのグアニル酸の異なるうまみ成分の相乗効果で戻し汁がぐっとおいしくなります。

冷蔵庫でゆっくり水戻しした後、さらに60~70℃の温度で加熱するとうま味と香りが増します。時間がないからと、ぬるま湯で戻したりすると苦みやえぐみの成分が生成され、うまみのもととなる成分が減ってしまいます。

私はこのような密閉できる蓋つきの保存容器(水漏れしないもの)に入れ、時々容器を逆さまにして向きを変えながら冷蔵庫で半日かけて戻します。

戻し汁はうまみの塊ですから、捨てずに調理に使ってくださいね。

こちらは、先日の料理教室の写真です。5品のうち3品に乾シイタケの戻し汁を使いました。
中央の「ごまなます」は、戻した乾シイタケと油揚げを、戻し汁と砂糖と醤油で煮て、大根、にんじんと合わせます。ごまをきかせた和え衣で、お酢が苦手な人にも食べやすく、ご飯のおかずになるなますです。我が家では10年前からおせち料理の定番です。

手前の「豚汁」は、昆布といりこでとっただしに加えて、シイタケの戻し汁を1人当たり大さじ1加えます。だしがしっかりきいているので味噌は控えめに。

右奥は「厚揚げのおろし煮」。すりおろした大根としょうゆ、酒、みりんで煮ますが、ここに乾シイタケの戻し汁を加えています。

鳥取県には、原木乾シイタケを使った加工品もたくさんあります。
右は「ナシータカレー」。鳥取特産の二十世紀梨と原木乾シイタケのカレーです。シイタケが丸ごとゴロっと入っていてインパクト大。肉厚シイタケのぷりっとした食感、歯ごたえがあります。シイタケと梨、初めての組み合わせでした。

真ん中は「鳥取県産きのこのカレー」。鳥取県産食材がふんだんに使われています。原木乾シイタケのうまみがあり、やなぎまつたけとエリンギの歯ごたえが楽しめます。最初に香りと甘みを感じ、あとから辛さが来ます。

左は「のど越しつるつるうどん」。麺に鳥取県産原木乾シイタケの粉末が練りこんであり、茶色がかっています。昆布とかつおでとっただしを使ってつゆを作りましたが、これにもシイタケの戻し汁を入れました。うどんは名前の通りの“のどごしつるつる”でした。

国産原木乾シイタケを使った佃煮「椎茸一筋」。材料の乾シイタケは鳥取県産以外も使用されています。4枚入っていて、どれも直径が8cm以上の特大サイズです。


これは、シイタケを4等分に切り、酢飯にのせただけ。佃煮の材料は、国産の乾シイタケ、砂糖、しょうゆ、本みりん、清酒のみ。シイタケの含め煮を作るのが苦手な人におすすめ。ごはんによく合う甘辛味です。

「菌食」や「菌活」という言葉を聞かれたことはありますか?自然界の生物は、植物、動物、そして菌類の3つに分類されます。シイタケをはじめ、きのこは菌類です。肉食、菜食に加えて菌類を食べることで、自然の理にかなった、より健全でバランスのよい食生活ができます。きのこは食物繊維やビタミンが豊富で低カロリー。ぜひ、毎日の食事にもっと取り入れてみてください。

鳥取県のまつのベジフルサポーター 野菜ソムリエ上級プロ アスリートフードマイスター2級の 長島明子でした。

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