ベジフルサポータージャーナル

佐賀県あれもこれもキャベツ・大家族のアブラナ一家【後編】

野菜・果物品目レポート

皆さまこんにちは。佐賀県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエ・食育マイスター前田成慧(まえだなりえ)です。

「キャベツ」について食育エピソードを織り交ぜながらご紹介しています。後編はキャベツの歴史やルーツなどについてご紹介します。

アブラナ科の野菜のパワーは大昔から知られていました。

約5000年も昔。エジプトではファラオ達の宴会の前に食べられていたり、古代ギリシャや古代ローマでも酒宴の前にはキャベツのスープを飲んでいたと言われています。万能薬として重宝されており、薬草効果を研究した書物も沢山残っています。

数学者のピタゴラスは「キャベツは元気をつけ気持ちを落ち着かせてくれる」、医学の父ヒポクラテスは腹痛と赤痢の特効薬としてキャベツを食べなさいと広めました。古代ローマの政治家カトーも「農業について」という本にキャベツが胃によいことを綴っています。カトー家は死亡率が高かった時代に23人もの子だくさんだったとされ、「うちのわんぱくどもはキャベツしか食べない」とまで言っていたそう。

ところで、世界には約3000種類のアブラナ科の植物がありますが、共通するのがピリッとした辛味。キャベツから感じたことはありませんか?この辛味こそがアブラナ科の野菜のパワー!「イソチオシアネート」です。デトックス効果やアンチエイジングに欠かせない抗酸化酵素を増やす働きがあります。

「キャベジン」(ビタミンU)も有名ですね。ビタミンUは正確にはビタミンではなくアミノ酸の一種です。キャベツから発見されたので「キャベジン」と呼ばれ、胃腸薬として胃の粘膜を健康に保ちます。古代の人々が二日酔い防止に食べていたり、キャベツの栄養や効果に注目していたことは驚きですね。

こちらの写真は、コズイラーナと言う品種の黒キャベツですが、結球しないケールの仲間なので、昔のキャベツはこんな感じだったかもしれません。

しかも、キャベツは薬として食べられていただけでなく、ロマンチックな言い伝えもあります。中世スコットランドでは若者が目隠しをしてキャベツ畑に行き、恋占いをしたといわれています。かじった葉の味や引き抜いた根に土がついているか、どんな人に巡り合えるのか恋が実るのかどうか‥‥。ヨーロッパでは赤ちゃんはキャベツ畑からやってくるという言い伝えもあるそうです。

また、キャベツは例え話にも使われます。「キャベツを植えに行く」とは、俗世間から離れて静かに暮らすこと。「キャベツを太らせる」とは、お金を貯めることです。キャベツの語源はラテン語の「Caput(カプート)」頭という意味、フランス語の「Cabouche(カボシュ)」頭という意味からきています。ふっくらとした形がキャベツに似ている「シュークリーム」はフランス語の「シュ・ア・ラ・クレーム」=「クリーム入りのキャベツ」からできた和製外来語なんですよ!


面白くて不思議なキャベツ。「キャベツ」について、知れば知るほど奥が深く、食育エピソードがいっぱい!キャベツの葉のようにつまっています。

冬が終わりを告げ、春キャベツが出回る頃、毎年作るのが春キャベツとジャガイモのペペロンチーノ。キャベツの甘味が春を感じる一品です。

今年は同じカットの仕方でポトフにもしてみました。

佐賀県の郷土料理『かけ和え』(酢味噌和え)にもキャベツを使います。我が家で伝わる鯨を使った酢味噌和えは、キャベツとたまねぎ、鯨のみのシンプルなものですが、昔ながらの味付けでお酒の肴になります。ハレの日の料理なので、お客様が来られるときには必ず作ります。

紫キャベツは、ザワークラウト(塩漬け)にして保存食としていつも使います。一般的なキャベツでもよいのですが、色が綺麗なので料理を見栄え良くする脇役として重宝します。

【ザワークラウト風マリネ】
材料
・紫キャベツ100g
・ビネガー(酢)大さじ3
・オイル大さじ3
・砂糖小さじ1
・塩ひとつまみ
・黒こしょうひとつまみ

作り方
1.紫キャベツをやや太めに千切りし電子レンジで30秒加熱し、冷めたら水分をしぼる。
2.酢、油、砂糖、塩、こしょうを混ぜてマリネ液をつくる。
3.紫キャベツとマリネ液を混ぜて冷蔵庫で冷やす。
4.汁を絞って密閉容器で保管すると1か月程保存できます。アレンジ:くるみ、アーモンド、マスタード、レモン汁などをお好みで加えると味が引き締まります。

※ 本来のザワークラウトは塩漬けし、唐辛子、キャラウェイシード、ローリエなどを入れて二週間冷暗所で乳酸発酵させて作ります。ヨーロッパの漬物です。

最後に食育エピソードをもうひとつ。

日本に1600年春、オランダの船リーフデ号が豊後の国(今の大分)に漂着しました。出航したときにいた乗組員は110名。多くが壊血病で次々に命を落とし、生存者はわずか24名でした。1747年イギリスの軍医ジェームス・リンドは壊血病の患者にレモンやオレンジなどを食べさせると治ることを証明しましたが、冷蔵庫の無い時代、かんきつ類は船の中で腐ってしまうことが問題でした。しかし、イギリス海軍ジェームス・クックは1768年にエンデバー号の指揮官として船に乗る際、大量に酸っぱいキャベツの塩漬け「ザワークラウト」を積み込みました。キャプテン・クックは壊血病による死者を1人も出さない歴史上初の航海をなしとげたのです。壊血病がビタミンCの不足によって起きることが明らかになったのは1932年のこと‥‥昔の人の知恵には驚きです。

私は、キャベツを使ったスムージーも頻繁につくります。栄養の多い外葉や芯を使えるのでおすすめです。ヨーロッパでは昔からキャベツのしぼり汁を飲むと胃腸の粘膜を保護するとして胃潰瘍や口内炎の方には重宝されていたそうです。繊維質は刺激を与えるのでスムージーではなくしぼり汁で試してみてください。

キャベツって、どんな料理にも使えて、歴史もルーツも魅力的!!
このように、すべての野菜や果物には歴史やルーツがあります。身近なベジフルの歴史に思いを馳せてみませんか?

佐賀県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエ・食育マイスター前田成慧でした。

※ キャベツ畑のお野菜写真は佐賀県吉野ヶ里町北部でイタリア野菜を中心に年間300品種ほどを栽培されている、こだわり農業を営む野菜ソムリエ「森田浩文」さんからご提供頂きました。
吉野ヶ里あいちゃん農園
http://yoshinogariyasai.com/ec/

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