まつのベジタブルガーデン

静岡県新茶の季節到来!静岡茶市場の初取引へ

まつのベジフルサポーターレポート

静岡県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエの小櫛香穂です

若草色が一面に広がる鮮やかな季節、新茶シーズンの到来です。そこで今回は、4月18日に行われた「新茶初取引」に潜入取材!静岡茶市場ってどんな場所?お茶取引はどのように行われる?今年最高価格のお茶とは?静岡県民でも意外と知らない静岡茶業界の熱い熱い取引の様子をお伝えします!

静岡市葵区北番町、ここに全国荒茶生産の年間取扱量約10%を占める「株式会社静岡茶市場」があります。茶市場は売手である生産者やJAから委託されたお茶を買手とよばれる製茶問屋などに販売する場所で、買手はここで荒茶を仕入れ、それぞれで製茶作業を行って販売します。

午前6時。すでに多くの人で会場は混雑していました。来場者に新茶がふるまわれ、あちらこちらで聞こえる「おめでとうございます」の言葉に、お祝いムードはより一層盛り上がります。

午前6時30分。「新茶初取引セレモニー」がスタート。冒頭、株式会社静岡茶市場の内田行俊社長が「生産者には安全・安心な良質のお茶をたくさん生産してもらい、茶商の皆様にはぜひケースに応じた値段で買ってもらいたい」と挨拶がありました。
関係者からの御祝いの言葉が続き、最後は株式会社静岡茶市場の取締役・内野泰秀取引部長の発声に「よーーーぉ!!」と全員で威勢のよい三本締め!会場の高揚感も最高潮に!

いよいよ静岡茶市場『新茶初取引』の始まりです!
静岡茶市場では「相対売買」として売手と買手が直接買取価格の交渉を行います。色分けした帽子が【緑=売手(生産者)】【黄=仲介(茶市場取引職員)】【青=買手(茶商)】を表します。

相対取引は【拝見】【値押し】【手打】と進みます。その様子を見ていきましょう。

会場内には、静岡県内から出品されたお茶が産地ごとに並んでいます。まず買手は、出品された荒茶の本質を見極めるため、五感を使って確認。この作業が【拝見】です。拝見盆に置かれた見本茶を手に取り、外観、状態、手触り、硬さ、香りをチェックします。しっかりと手に取って指先で感触を確かめ、鼻に近づける様子が印象的でした。

気になる見本茶があれば拝見盆から適量とり、会場に設置されている拝見場へ。ここで湯呑に見本茶を入れ、熱湯を注ぎその色や味を確認します。拝見場には常に湯気が立ち上っていました。
湯呑の中の茶葉をすくい、香りを確かめます。
2種類の水色、香り、味わいを比べています。

買手である茶商は手触りや色だけでも概ねその良し悪しがわかるそうですが、希望する荒茶を仕入れるためにも、ここは真剣勝負。お茶の個性や品質を見極めるその姿はまさに職人。仕入れたい荒茶が決まったら次はいよいよ交渉へ。

静岡茶市場で行われている【相対売買】これは売り手と買い手が一対一で交渉するやり方です。見本茶は伝票と一緒に展示されており、そこには希望価格である【親値(茶市場と生産者で決める)】が記入されています。茶商はこの親値を仕入れたい希望価格まで交渉。これを【値打ち】と呼びます。

価格は生育状況や出来具合で変わるため、まさに売手と買手の真剣勝負!茶市場職員がソロバンを片手に数字を打ち両者の交渉を進めます。

こちらが実際の取引で使用されれるそろばん。裏側に板が張られ周囲に交渉金額がわからないようになっています。交渉中も具体的な数字は口に出さず、売手、買手、茶市場職員がそろばんの珠を真剣に見つめながら価格交渉の攻防戦が繰り広げられていました。

もちろん交渉がまとまらない時もあります。生産者の想いと茶商の想い、どちらも真剣勝負です。交渉が進み価格や条件などの両者の折り合いがついたら、3者が揃って『パン!パン!パン!』と3回手打ち。これが取引成立の合図です。

今年の取引市場最高価格はJA富士宮茶業委員会出品の品種「さえみどり」。それがこちら

1キロなんと109万円!
こちらは4月12日にJA富士宮茶業委員会、茶関連部会、職員30人で2時間かけて手摘みし、富士宮の手もみ保存会が手もみで仕上げたもの。昨年の108万円からさらに記録を更新しました。購入した富士宮富士山製茶合同会社の土井貴代表(写真左)「茶業界にいて頑張る生産者をバックアップしたい」と熱い想いを語りました。

栽培した佐野農園の佐野俊英さん(右から2人目)は「非常に光栄です。照りがあり、昨年よりさらに良いものになりました。みんなで力を合わせ作った自信作です。普段お茶を飲まない人にもぜひ飲んでもらえたら嬉しい」とのこと。JA富士宮生産指導課の遠藤義典さん(一番右)は、「今年は樹の成長でさらに品質に自信があったので、109万円をつけました」と話します。このお茶は本日午前10時に富士宮市にある富士山本宮浅間大社に奉納されました。

今年の新茶初取引は昨年の6倍の上場数量になりました。春先の天候も良く、霜の影響もないため上々の出来きだそう。また来場者数はおよそ1000人!静岡茶への関心の高さがうかがえますね。

生産者、茶商、そして茶市場取引と、多くの人の熱い想いを胸に、今年も美味しいお茶を楽しみたいと思います。

静岡県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエの小櫛香穂でした。

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