ベジフルサポータージャーナル

福井県戦国時代から伝わる伝承料理「朝倉膳」

まつのベジフルサポーターレポート

こんにちは。福井県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロ、だしソムリエ協会認定講師の水嶋昭代です。

全国には、様々なその地域に伝わる伝承料理があります。お祖母ちゃんからお母さんへ、お母さんから娘や嫁へと代々伝わってきた料理の数々、その地域ならではの食材を使って、日常の食事はもちろん、宗教的な行事や地域のお祭りなどの時に出された料理であったりします。

今回は、一乗谷朝倉地区に伝わる伝承料理「朝倉膳」をご紹介します。この地域は、16世紀半ば、戦国武将朝倉氏一族の居城と城下町が100年もの間栄えた土地です。応仁の乱で功績を挙げた朝倉孝景が京の文化を取り入れて築城しました。


1573年8月、織田信長の焼き討ちに遭い、三日三晩焼け続けた後、820日に灰燼(かいじん)に帰しました。その後昭和40年代に永い眠りを経て、武家屋敷や城下町がほぼ当時そのままの形で発掘されました。当時の暮らしを偲ばせる発掘品の多くは、国や県の重要文化財に指定されています。

私が小学生の頃、遠足で訪れたときにはまだ発掘が始まったばかりでした。ただ広い野原に石があるだけの場所でしたが、現在は当時の建物が再原され朝倉氏一族の栄華や武家や町民の暮らしぶりを垣間見ることができます。また有料で語り部さんが、詳しいお話をお聞かせくださります。
少し前には、携帯電話会社のCMで犬のお父さんの故郷として、描かれていたことを記憶されている方もおられると思います。室町幕府15代将軍足利義昭が一時期、一乗谷の安養寺を御所として滞在されました。5代城主朝倉義景が義昭の元服の祝いにもてなした17の膳の一部を再現したものが、今回私が紹介する「朝倉膳」です。「朝倉膳」は、この地域に伝わる伝承料理を後世に伝えていこうと、「一条ふるさと料理クラブ」の女性たちによって、丁寧に作られています。


お出しする三日前からゼンマイをもどし、大豆を浸けるというとても手間のかかるそのお料理の数々は、ほっとできて、なんだか懐かしい味がします。福井県内には似たような料理がたくさんありますが、この地域ならではの作り方を守り食べる人を思って、お料理の下に敷かれた葉っぱの一つ一つにまで、心配りがされています。


【本膳】


 【黒豆ご飯】うるち米ともち米を使うことで、モチモチとした食感のご飯になります。炒った黒豆と梅肉を炊き込み、ほんのりとピンク色に染まります。


【ごまころ】だしで煮た里芋を丁寧に擦った黒ゴマ衣で包んでいる。1つに使うゴマの量は5グラム


【ぜんまいの白和え】白和えには、豆腐を使わず、大豆を茹でたものをすり鉢で丁寧にすります。春に収穫して干したゼンマイを和えます。


【あえませ】めかぶ、スルメ、山芋、煎り酒(煎り酒とは、お酒、梅干し、かつお節などで作られた調味料、刺身などに醤油の代わりに使います)


【しのだ巻】鶏ひき肉、にんじん、いんげん豆などを薄揚げで巻いて煮たもの。


【水ぶきとニシンの炊き合わせ】春に収穫した水ぶき(ミズ)と北前船で運ばれた鰊を炊き合わせたもの。福井では、水ぶきは、焼き鯖と煮ることが多いです。


【麩の辛し和え】精進料理や浄土真宗の報恩講料理には欠かせない1品。型崩れしにくい角麩ときゅうりを福井ならではの地からしのからし酢味噌で和えます。


【二の膳】


 【おろしそば】手打ちの蕎麦を大根おろしとネギと花かつおで、冷たいかけそばで食べる。福井ならではの蕎麦。大根のアミラーゼ分解酵素のおかげで、さっぱりと食べられます。


【天ぷら】南瓜、大葉、奥越特産の舞茸

その季節の野菜で作られます。
【三色団子】


【手作りあられ】寒の内についた餅で作ったのしもちを揚げたあられ

この他に【佃煮】と【漬物】が出されました。


【呉汁(ごじる)】大豆粉を使う地域もありますが、ここでは、大豆を水に浸け、生のまますり鉢で擦ったものをみそ汁の中に入れ、火が通るまで、吹きこぼれないように、加熱します。ふわふわに仕上げるには、熟練の技が必要です。

料理を盛り付ける皿や椀、お膳は、地域の家々に代々受け継がれたものを提供していただいたとのことです。少し欠けたところがあるところが、人々によって、大事に使い込まれた品であることが分かり、愛着がわきます。
料理の中の1品、「麩の辛し和え」は、福井に伝わる伝承料理です。主に法事や報恩講などの仏事で食べられてきました。ここで使われる辛子は、麩市というお店の「地がらし」です。
固有種の辛子種(麩市HPより転載)

麩市さんでは、江戸時代から福井の固有種の辛子種を使っています。(現在は、福井固有種の種を80%、品質と味覚調整のためにカナダ産の辛子を20%合わせて作られます)辛子種は、油脂を40%含むことから、そのままつぶすとペースト状になり、普通は脱脂してから製粉されます。麩市さんでは独自の秘伝の製法により、種を丸ごと粗挽きにして製粉しています。茶色と黄色の色になっているのは、皮が含まれているからです。このことによって、辛子古来の風味と辛みを味わえます。 
福井では、麩の辛し和えには、この地がらしじゃないと、という根強いファンがおられます。この辛子を使って、私も麩の辛し和えを作りました。四角い麩を4等分し、水やお湯で戻して、水気を切ります。地がらしに熱湯を入れて、すり鉢でよく練り、辛い香りがしてきたら、器を伏せて30分以上待ちます。酢、砂糖、味噌を辛子と混ぜ、麩、薄切りして水気を絞ったきゅうりを和えます。しばらく置いて味がなじんだ頃が食べごろです。

今回、朝倉膳を食べて、私が子供の頃から食べてきた福井の伝承料理について、改めて考えました。朝倉膳のように、守り伝えていこうとする方たちがおられる一方で、核家族化が進み、地域での仏事の機会も無くなった昨今意識して守り伝えていきたい食文化があることを感じました。

福井県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロ、だしソムリエ協会認定講師の水嶋昭代でした。

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