まつのベジタブルガーデン

北海道和寒町「ストライプペポ」!種を食べるカボチャとは?

野菜・果物品目レポート
みなさま、こんにちは。
北海道のまつのベジフルサポーター、
シニア野菜ソムリエ、
6次産業化プランナーの
田所かおりです。

 

街中ではハロウィン一色ですね。近郊の産直でも、果肉を食べるカボチャ、飾り用のおもちゃカボチャ、色々なカボチャを目にします。

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さて、カボチャには、種を食べるための品種があるなんて意外ですよね!

今回は、食用種子向け品種「ストライプペポ」の魅力と、和寒町での官民一体となった生産・加工・販売までの、一連の取り組みをご紹介致します。
 
カボチャには大きく3つの分類があり、ホクホクで甘味の強い西洋カボチャ、水分が多く日本料理に使われる日本カボチャ、ズッキーニやおもちゃカボチャを含むぺポカボチャがあります。「ストライプペポ」は、ペポカボチャに分類される食用種子生産用のカボチャで、札幌市内にある農研機構北海道農業研究センターで「豊平1号」と「豊平2号」とのF1品種として、平成24年に品種登録されました。果実は4kg程度の重さがあり、外観は鮮やかな黄色に濃い緑色のストライプが入ります。熟度が進むと、緑色は消え、やがて全体的に黄色に着色します。
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一般的なカボチャの種は硬い殻に包まれていますが、食用種子向け品種「ストライプペポ」は種子に殻がありません。種は西洋カボチャよりも大きく、コクがあり味が濃いのが特徴です。和寒町産ストライプペポ種子の栄養価は、ナッツ系の中でも栄養価の高いアーモンドと比較して、鉄、亜鉛が約2倍含まれています。またヨーロッパでは、利尿作用、前立腺肥大等、泌尿器系の改善に役立つ健康食品として、広く認められています。

横断面に包丁を入れると
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四葉のクローバー型にワタが入り、濃緑色の種が沢山詰まっていました。1果から採種できるのは、約600粒といいます。
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種子は洗浄、乾燥、ローストし、食べることができます。

和寒町の食用種子向けカボチャの取り組みのきっかけは、北海道でカボチャ収穫量No.1の産地である和寒町【平成25年産野菜の市町村別収穫量(北海道)北海道農政事務所より】の和寒町農業活性化センター農想塾所長横井義雄氏に相談があったことに始まります。

その内容は、品種登録前の「ストライプペポ」を和寒町でも栽培できるか試して欲しい、というものでした。それから、和寒町農業活性化センターで、その後、上川農業試験場でも試験栽培が実施され、和寒町での栽培指標が作成されました。そして、平成24年に品種登録され、平成25年から本格的な生産が始められ、和寒ストライプペポ研究会を設立し、郷農園の郷政雄氏が会長に就任されました。

今年は生産面積に調整が入り、13戸の生産者で栽培された「ストライプペポ」。一般のカボチャよりも生育期間を要することから、田植えや他の作物の播種で忙しく、霜害の恐れのある5月下旬に定植する必要があります。また、生産者の高齢化で2~3kgのカボチャでも収穫が大変なところに、4~5kgの「ストライプペポ」を作り始めたとあって、とても大変なのだそうです。
それでも、和寒町の新しい特産物として定着させたいという「夢」があるから頑張って作っている、と笑顔でお話してくださいました。
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収穫されたカボチャは、種を取り出し、乾燥させる加工場が必要です。
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その加工を引き受けたのが、株式会社和寒シーズの平崎徹氏。大学卒業後に、奥様のご実家の農家を仕事として選ばれ、その縁で平成25年9月に会社を立ち上げられました。加工、営業、経営など、これまでの仕事と全く異なる内容で、ご苦労も多いといいます。

さらに、「ストライプペポ」の加工自体も、本格的に取り組んでいる企業がなく、果実の搬入から種子の加工まで試行錯誤を重ね、工程作りから確立されています。
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販売を始めた頃は、高い、いらない、売れないという状況だったといいます。日本では、カボチャの種はトッピングでの利用というイメージで、種そのものを食べるという食習慣があまりありません。それでも、地道にPRを続けられ、素材の味をそのまま楽しめる「ペポナッツ」をリピートくださる方や道内の加工業者と連携し果肉も利用したお菓子「ペポたると」を始めとした商品が生み出され、徐々に認知度も広がっています。
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今は、加工工程等を見直したりと、足固めの段階で、営業に頻繁に出向く機会を設けることが難しい状況。
そこで「ペポカボチャ」のPRをバックアップをされているのが和寒町役場産業振興課の輿水昌明氏。販路を広げないと、生産も安定しないため、和寒町特産物を様々な展示会等で紹介し、販路拡大を強力に後押しされていらっしゃいます。

このように、和寒町では町をあげて「ストライプペポ」の生産・加工・販売に取り組んでおられます。品種登録からわずか3年目。短期間でここまで大きな取り組みとなったのは、和寒町の皆様の想いが強いからだと
感じました。

かぼちゃの種といえば和寒町!
ぜひ、皆様も和寒町産のカボチャの種を召し上がってみてくださいね。
こちらのHP(http://wassamu-seeds.com/)からお取り寄せすることができます。

北海道内の取り扱い店舗
◆どさんこプラザ札幌店
◆きたキッチン
◆くるるの杜
◆ホクレンショップ(一部店舗のみ)

今回、お話を伺った皆様
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左から
和寒町役場産業振興課
参事 輿水 昌明 氏 
和寒ストライプペポ研究会
会長 郷 政雄 氏
和寒農業活性センター農想塾
所長 横井 義雄 氏
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株式会社和寒シーズ
代表取締役社長 平崎 徹 氏

貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。

以上、
北海道のまつのベジフルサポーター、
シニア野菜ソムリエ、
6次産業化プランナーの
田所かおりのレポートでした。

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