まつのベジタブルガーデン

山梨県果樹王国次世代のエース候補「せとか」

まつのベジフルサポーターレポート

こんにちは。
山梨県のまつのベジフルサポーター
野菜ソムリエプロ・パンアドバイザーの村上由実です。

果樹王国と呼ばれる山梨で生産されている「せとか」。現在収穫の最盛期を迎えています。

せとかは、2001年に登録された平成生まれの柑橘で、ミカン科ミカン属タンゴール類。「清美」と「アンコール」を掛け合わせ、さらに「マーコット」を交配した品種で、その多くは四国や九州など、温暖な地域で栽培されています。外皮が薄くて柔らかいミカン類と、香り豊かなオレンジ類の良いとこどりをした品種といわれ、「柑橘の大トロ」と評されることもあるそう。ビタミンCが豊富で美肌効果があり、風邪予防にも良いといわれています。

この日訪問したのは、山梨県山梨市にある「矢崎桃店」さんのハウス。代表の矢崎敦仁さんに話を伺いました。

「桃店」という名の通り、矢崎さんは桃の生産を行っていますが、ある時市場で食べたせとかの味に感動し、7年前から栽培を始めたのだそう。

せとかは4月頃白い花を付けます。桃やスモモのような人力による受粉作業は行わず、自然に任せます。

水やりは井戸水を利用しています。夏場は自動で行っていますが、今の時期は手動。量を最小限に抑え、甘みを引き出す。ただし減らし過ぎると葉が枯れてしまう。その調整にはとても苦労されているそうです。

また、温暖な気候で栽培されるのが一般的なせとかは、昼夜の寒暖差がある山梨県で育てるのはとても大変。寒い時期は夜通し暖房用のボイラーを動かしています。

標準的なせとかの重量は200グラム~270グラム。ずっしりと重みのある実を支える枝はしなっています。

そして、その大きな果実を得るための重要な作業が摘果。必要な実を見分け、丁寧に摘果作業を行うことで、大きな果実が育ちます。これはあえて摘果せずに育てた様子。

小ぶりで収穫量は増えますが、品質はいまひとつ。これでは「柑橘の大トロ」にはなれません。

手間をかけて育てた収穫間近のせとかがこれ。傷がつきやすい桃とは違い、検品で規格外となる通称「はねだし」はほとんどないそう。

そんな貴重なせとかを、ご厚意で試食させてくださいました。切ってみると外皮が薄く、瑞々しいのがよく分かります。種がないのも特徴の1つ。じょうのう(内皮)も薄くて柔らかいので、そのまま食べても口に残りません。香りも強く、味も濃厚!矢崎さんが栽培したくなっちゃった気持ちが少しだけ分かりました。(笑)

また、矢崎さんのハウスでは、他にもいろいろな柑橘を育てています。

まずは、赤い果汁のジュースでおなじみ「ブラッドオレンジ」。

市場に多く流通しているレモン「アレンユーレカ」。

レモンとオレンジを交配してできたといわれるレモン「メイヤー」。

他にもライム、伊予柑などもあります。

ちなみにこれは仲良く並ぶアレンユーレカレモンと伊予柑。そして奥に小さく見えるのはせとかです。同じハウスでいろいろな品種を育てるココならではの豪華な共演ですね。

しかし、どの柑橘も今のところ市場には出回っておらず、お隣甲州市で月に1度(1月を除く)開催される「かつぬま朝市」や県内のマルシェ等で販売されるのみ。中でもせとかは2月の「かつぬま朝市」でしか買えません。

現在は苗木の育成も進めており、将来的にはせとか狩りができるようにしたい、というのが矢崎さんの願い。果樹王国と言われる山梨でも、これまで柑橘類はあまりありませんでしたので、矢崎さんの願いが叶えば、桃や葡萄に負けない人気者になるのでは?と私は思っています。

そして、いろいろな柑橘を育てる矢崎さんが、特に愛情を注いでいるのがレモン。
甲州市にあるラーメン店「ガキ大将塩山店」では、そんな矢崎さんのレモンに惚れ込んだ店主の望月公夫さんが「レモンラーメン」を開発し、10月頃~4月頃の期間限定で提供しています。

私も食してみましたが、「面白半分の企画モノ」という印象は全くなく、「レモン」と「醤油」がそれぞれ主張しすぎず、まろやかな酸味でさっぱりいただけるんです。矢崎さんのレモンはワックスを使っていませんので、皮ごと食べても問題ありません!スープも後を引き、最後まで飲み干したくなるラーメンでした。他にも地産地消にこだわった多くの独創的なメニューがありますので、気になる方はぜひ行ってみてくださいね。

●矢崎桃店
http://www.facebook.com/%E7%9F%A2%E5%B4%8E%E6%A1%83%E5%BA%97-1711269802440800/

●かつぬま朝市
http://katsunumaasaichi.com/

●ガキ大将塩山店
404-0043 山梨県甲州市塩山下於曽1541
0553-33-8851

山梨県のまつのベジフルサポーター
野菜ソムリエプロ・パンアドバイザーの村上由実でした。

山梨県の記事