まつのベジタブルガーデン

熊本県熊本限定デコポン「肥の豊(ひのゆたか)」

畑の社会見学

熊本県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエの佐藤真美です。

全国的にも有名になったデコポン。デコポンの正式な品種名は「不知火(しらぬい)」といい、デコポンという名前は、熊本県果実農業共同組合連合会が平成5年に商標登録しました。
ただし、デコポンの名前を使うには糖度13度以上、酸度1%以下などの条件をクリアしたものとされており、基準を満たさない場合は、品種名の「不知火」として流通されます。この基準をクリアするのは、とても大変で、収量性が悪いことや酸が高い果実ができやすいなど、いくつかの問題点がありました。

そこで熊本県は、このような問題点を解決する切り札として、「肥の豊(ひのゆたか)」という品種を育成。熊本県限定デコポンとして開発し、平成15年に品種登録されています。
「肥の豊」は、不知火にマーコットを交配したもので、平成元年から平成11年の間育成された、熊本生まれ、熊本育ちのデコポンです。

その「肥の豊」を作られている、宮本裕一さんの農園を訪問しました。

熊本市の北部にある植木町という、主に果物の生産がさかんな地域です。

こちらでは、露地栽培とハウス栽培の両方の栽培をされています。

露地栽培の方は、以前は木造ハウスを建ててハウスとして栽培していた場所でしたが、現在は露地栽培となっているそうです。
約27年前に建てた木造ハウス↓

デコポンはデコの部分が傷ついてはいけないので、収穫後、コンテナへ移す際も、手で一つ一つ移して行きます。

こちらは、ハウス内のデコポン。まるでクリスマスツリーのようです!

生長の遅い実などを未成熟のうちに摘み取り、残した実に充分な栄養を与える「摘果」作業を行い、一つの果実を大きく実らせます。

収穫も一つ一つ手で行います。デコポンの選果は、選果機では転がしません。

温州みかんなどは、機械で転がしながら選果しますが、デコポンはデコが命!専用の規格版を使ってこちらも一つ一つ手作業です。

そして、一番大事なことは、肌質!人の肌と一緒で、きめ細やかな肌質が出せるように育てられているとのことでした。

肥料は、珊瑚の化石の粉末や魚を中心としたオリジナルの肥料を使っているため、ミネラル分の多いデコポンができるそうです。

また、デコポンの木の性質として、まず最初に根が伸び、葉が伸び、根と葉の成長が止まったら、花が咲き、実がなって、果実に果汁が入っていくとのことですが、この一連の流れが早ければ早いほど果汁の入りも早くなり、果実に濃い果汁が入るそうです。

その見極めは、長年の経験と木への愛情から成るとのこと。宮本さんは、毎日の観察の中で、葉と握手をし、 木が何を訴えているのかを把握しているそうです。

「植物と会話をする」植物にどう取り組むかで、果実の味が決まるとも言われていました。

さて、デコポンはどのように食べるか知っていますか?
①デコを折って取り

②2つに割ります

③さらに4等分し

④皮をはいで、頂きます!

最初にデコをもいだときに皮から果汁がはじけて吹き出し、一瞬にして、柑橘の甘い香りが漂い、心が癒されます。味は、とても甘みが強く、さわやかな酸味があり、果汁もしたたるほどたっぷりでした。

こちらでは、デコポンの他に現在では、温州みかんの「宮川」

温州みかんの「川田」

はっさく

甘夏

などを作られています。
中でも、ブラッドオレンジは、「モロ」という品種で2〜3月になると真っ赤になるそうです。熊本市の特産物となっています。

また、「EC10」といって、まだ名前もついておらず、流通もされていない柑橘があります。これは、熊本県が12月から出荷できる品種を生育する目的で作られています。糖度13度以上で甘く、「ありあけ」に「はるみ」を交配して作られた早生カンキツとなっています。

市場に出回るのが楽しみですね!

宮本さんが作られる柑橘類は、熊本市内の小中学校の給食で利用されたり、全国に出荷されているそうです。みかんで有名な愛媛県にまで出荷されているそうですよ!

みかんの見分け方も教えて頂きました。一般的に、
①ヘタの色をチェック!
黄緑色のものは完熟しており、黄色から茶色になると食べごろをすぎているとのこと
②肌のキメをチェック!
キメの細かいものは糖度が高く、荒いものは糖度が低い。
購入されるときにお役立て下さい!

熊本限定「肥の豊」。こだわって丁寧に作られたこのデコポンを見かけましたら、ぜひ味わってみて下さい。

「肥の豊」は香りを楽しみながら、そのまま食べるのがオススメ!中の薄皮(じょうのう)は食物繊維が豊富なので、果肉と一緒に食べましょう!水抜きヨーグルトをつけて食べてもおいしいです!

そして皮は、捨てずにとっておき、入浴剤としておふろに入れましょう!香りですごくリラックスできます。

温州みかんはこたつで食べるのもおいしいですが、いろいろアレンジするのもいいですよ〜!「温州みかんのチーズケーキ」ケーキを焼く前に、果肉を乗せて焼いただけ!

酸味もあって、さわやかさが増します。

「温州みかんのゼリー」
下はみかん&ヨーグルトのムース、上はみかんゼリー。どちらもゼラチンで固めただけのもの。みかんが十分甘いので、お砂糖はいれなくてもOKです!

ぜひ、作ってみてくださいね!

クリスマス、お正月に、甘くておいしいデコポンもいかがでしょうか?

熊本県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエの佐藤真美でした。

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