ベジフルサポータージャーナル

熊本県4つの味を奏でるぜいたくトマト「プレミアムトマトまいひめ物語」

まつのベジフルサポーターレポート

熊本県まつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロの佐藤真美です。

熊本県宇土市に「プレミアムトマトまいひめ物語」という中玉トマトがあります。

このトマトに最初に出会ったのは直売所。真っ赤な色、スターマークもはっきり入っており、販売ポップには高糖度で濃厚な味と書いてあります。直売所を一周してまた戻って見ると、なんと売り切れ。あれから約1年、その思いが現実のものとなりました。

熊本の生産者仲間で「デリシェ」というマルシェ(年に3~4回ほど開催)の打ち合わせをしていると仲間の一人が「小森ファームさんが参加してくれますよ!まいひめ物語っていうトマト、知ってる?」と言うのです。

まいひめ物語!あのトマトだ!・・・マルシェ当日、私は小森さんに「ぜひ、まいひめ物語の生産現場を視察させてください!」とお願いしました。こうして、私の1年越しの夢が叶ったのです。

初夏にしては少し暑い日で、汗ばむ陽気です。「早速、ハウスに行きましょう!」ご案内して下さったのは、小森大将(だいすけ)さん。夏のビニールハウスはとても暑く、長い時間入っていられないものですが、こちらのビニールハウスは思ったほど暑くないのが最初の印象でした。

そして次に目に入ったのが、トマトの茎がまっすぐに吊るされていること。今までよく見ていた光景は、長く伸びていく茎を斜めに誘引する栽培方法でしたが、茎をまっすぐに吊るしているので、トマト自体の背丈が短いのです。この方法でトマトの収量が採れるのでしょうか?

「トマトの栽培の過程にある脇芽取りをあまりやりません。一つの苗から二本の茎を成長させ、さらに一つの茎を二股に分けていくという栽培方法にしています。よくある栽培方法だと、実を20段ほど着けさせて行きますが、ここは5〜6段で生長点を止めます。そういう栽培方法でトマトの収穫量を多くしています。」

昨年私がミニトマトを生産したときは、全ての脇芽を取り、15段ほどの実を着けさせていました。小森さんがされる全く逆の栽培方法にびっくり!しかし、一つの苗からたくさんの茎を増やすということは病気にかかりやすくなるリスクも避けられないとも思うのですが、どういう工夫をされているのでしょうか?

「土の部分を見てください。直接地面に植えているのではなく、このような大きなトレーのようなものに定植しています。」

「さらに、一つ一つの苗は大きなポットに植えており、それをはめ込むように植えています。そうすることにより、ポットの側面が壁のようになるので、外からの病原菌が入りにくく、また必要な水や養分だけを十分に吸い上げられるような仕組みになっています。また、この苗は接木をせず、自根で栽培しています。自根で栽培すると病気のリスクは高まりますが、この定植の方法でリスクは最小限に抑えることができます。」ポットごと植えるなんて考えても見ませんでした。この栽培方法を「隔離床栽培」というそうです。この方法が、トマトの味にも繋がっているということでしょうか。

「この、茎のところを触って見てください。そして匂いを嗅いで見てください。」茎をですか?!言われた通りにしてみると、指からトマト特有の甘い香りがするのです。なんと、茎からトマトの香りが染み出してきているのです!

「自根にし、5〜6段で生長点を止めているのは旨味を凝縮するためです。育苗の段階から灌水(水やり)も少なくし、味の追求をしています。」そう言われながら、小森さんはトマトをもいでくださいました。「もぎ取った先(切り口)を匂って見てください。ここから甘い香りがするトマトは、甘いトマトの証です。さあ、食べてみてください。」

「思いっきりかぶりつくと、トマトの汁が飛び散るので注意してくださいね!」と言われながらも、ガブリとかぶりついたので、トマトの汁が滴ってしまいました。このトマトは「ぜいたくトマト」という品種名。やはり、ぜいたくな食べ方がしたいもの!手に汁を付けながら食べるトマトの、なんと甘いこと!濃厚な旨味と甘味、そして程よい酸味。あれ?塩っぱい味もしますが、塩分が含まれた土なんですか?

「ここは海に近いわけでもないし、土に塩分を含ませてもいません。塩分要素は何も含んでないんですけど、食べられた方から、塩が含まれているのですか?と聞かれます。塩味は旨味の味なんですよ」皮はパリッとした食感、溢れんばかりの果汁、そして旨味、甘味、酸味、塩味と4つの味を奏でた、ぜいたくなトマトでした。

「手を洗いに行きましょうか。」と連れて行っていただいた場所が、日本名水百選の一つ「轟水源」でした。「この辺一帯の水は、この轟水源の水が利用されています。もちろんトマトにあげる水も、この水源の水なんですよ!」

名水百選とは、環境省が全国各地から100カ所選定したリストのこと。熊本はこの名水百選に選ばれた箇所が日本一多いと言われています。轟水源は、この地域の方々にとって貴重な水資源。この水がトマト栽培に使われていることも、これまたぜいたくです。だからみずみずしいトマトができるんですね。

選果場も案内してくださいました。収穫したトマトを一つ一つ機械に乗せて何かを調べているようですが、何をされているのでしょう?「糖度検査をしています。収穫した全てのトマトの糖度を測るんですよ。糖度8.5度以上のものだけが、プレミアムトマトまいひめ物語として出荷されます。8.5度以上とは、いちごと同等の糖度になります。9.5度以上になると特選です。」糖度の高さにもびっくりですが、全てのトマトを一つ一つ手作業で糖度を測るという作業に驚きました!

こうして厳選された「プレミアムトマトまいひめ物語」。輝く真っ赤な宝石のようですね。

規格外のものはジュースに加工されます。保存料、添加物、水一滴も入れず、100%まいひめ物語のトマトジュースになります。

糖度9度や糖度11度のトマトで作られるトマトジュースで、香り高い濃厚な旨味が特徴。

「毎日毎日試行錯誤して納得いくまで味の追求し、常に挑戦し続けることによって、日々進化し続けているのを実感しています。”そこそこおいしいもの”ではなく、人が待ち焦がれるほどにおいしいものを求めているのです。それには手間も時間もかかるので、収穫量も少なくなり時期も限定されます。それでも挑戦し続けるのは、おいしいものは人々の笑顔を引き出すということを知っているからです。将来、大きな夢の実現のために毎日畑と向き合っています。」と小森さん。

私が魅了されたこのトマトは、栽培方法や選果のこだわりだけでなく、小森さんの日々のご尽力や挑戦し続け諦めないということ、そしてトマトへの熱い愛情が込められていることにあると実感しました。

帰宅途中、ずっと口の中は濃厚なトマトの旨味でいっぱい。水を飲んでもそれは消えることがなく、時間が経っても余韻を楽しむことができました。あの時買えなかった「プレミアムトマトまいひめ物語」。想像以上のおいしさと小森さんの思いを乗せて、やっと出会えたことに感謝です。

熊本県まつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロの佐藤真美でした。

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